昭和が明るかった頃 (文春文庫)を読み、「昭和」を懐かしく想う。
「昭和が明るかった頃(関川 夏央)」とは、、、
昭和30年代。高度経済成長が緒についたとはいえ、巷には未だ貧しさが残り、社会は大規模な変質を強いられつつあった。こうした世相を最も色濃く反映していたのが映画であり、日活という映画会社と、石原裕次郎、吉永小百合というスターだった。現代社会の原型を形成したこの10年間の時代精神を描く長編評論。
著作の中に出てくる石原裕次郎の「あいつと私」(石坂洋次郎)に興味を持ち、TSUTAYAへ。
ついでに「キューポラのある街」も借りた。
「キューポラのある街」から観たのは正解。
「あいつと私」のさわやかなあと味はきっと、「裕次郎」のせいだろう。「石原裕次郎」という役者がいなければ、成り立たない映画であることは間違いない。それに「芦川いづみ」という女優がよかった。
キューポラ・・・に映る「おおみや」駅を観て、こんな田舎の駅だったんだな、と懐かしく想う。
気になったのは吉永小百合演じる学業優秀な中三の「ジュン」が目指す高校である。恐らく「埼玉県立浦和第一女子高等学校」(通称:一女)がモデルではないだろうか?
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2011.02.21 追記
http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000071135
どうも、間違いないらしい。
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あいつと私 1961年
スキー骨折の癒えた石原裕次郎が、久々に主演した石坂洋次郎原作の青春映画。裕次郎扮する売れっ子美容師の息子と、芦原いづみの女子大生が、自分たちをとりまく性の問題、出生の秘密などに対して、若いエネルギーをぶつけていく様を描く。
キューポラのある街 1962年
鋳物の街、埼玉県川口市。そこに住む鋳物職人の娘ジュンが、父の解雇に始まり、貧困、進学、組合、差別など、さまざまな社会問題に直面する。しかし決してめげることなく、まっすぐに青春を堪能していく姿を感動的に描いた、社会派青春映画の名作である。
対照的な2つの映画だが、共通点も多い。
・日活である。
・吉永小百合が出演している。
・同時代の作品である。
吉永小百合は川口の貧しい家庭の娘と、田園調布の裕福なお嬢様を演じるが、ともにオーラが出ていた。
ただ、それ以上に出ていたのが、芦川いづみだ。
さらに、「石原裕次郎」が別格で存在している。
50年前の映画だが、古さを感じさせないところもある。
若者が「理屈っぽい」のは時代のせいか!
それとも、今の若者に理屈がないのか!
この時代、救われるのは中卒でも仕事があることだ。
そして、希望がある。
今の時代、「貧しい」ハズなのに、それが映画にならない。その先に希望がないからか。
「昭和」という時代がおもしろい。
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