時間外、休日、深夜に労働させた場合、法定の割増率以上の率を乗じた賃金を支払わなければなりません。その元となる時間単価算出計算が、労基法施行規則の方に載っています。これがないと、はたして法定割増率以上支払ったか、刑事罰に処する上で判別つかないからです。よく似た規定で年次有給休暇の休暇日賃金を、通常働いた時間分の賃金支払いを選択した場合の算出計算があります。それらを対比してみました。割増賃金は時間、休暇日賃金は日を単位にしています。
割増賃金 | 年次有給休暇日賃金 |
労働基準法第37条第1項第4項 同法施行規則第19条第1項第2項 |
労働基準法第39条第9項 同法施行規則第25条第1項 |
1 時間によつて定められた賃金については、その金額 |
1 時間によつて定められた賃金については、その金額にその日の所定労働時間数を乗じた金額 |
2 日によつて定められた賃金については、その金額を1日の所定労働時間数(日によつて所定労働時間数が異る場合には、1週間における1日平均所定労働時間数)で除した金額 |
2 日によつて定められた賃金については、その金額 |
3 週によつて定められた賃金については、その金額を週における所定労働時間数(週によつて所定労働時間数が異る場合には、4週間における1週平均所定労働時間数)で除した金額 |
3 週によつて定められた賃金については、その金額を週における所定労働時間数(週によつて所定労働時間数が異る場合には、4週間における1週平均所定労働時間数)で除した金額 |
4 月によつて定められた賃金については、その金額を月における所定労働時間数(月によつて所定労働時間数が異る場合には、1年間における1月平均所定労働時間数)で除した金額 |
4 月によつて定められた賃金については、その金額をその月の所定労働日数で除した金額 |
5 月、週以外の一定の期間によつて定められた賃金については、前各号に準じて算定した金額 |
5 月、週以外の一定の期間によつて定められた賃金については、前各号に準じて算定した金額 |
6 出来高払制その他の請負制によつて定められた賃金については、その賃金算定期間(賃金締切日がある場合には、賃金締切期間、以下同じ)において出来高払制その他の請負制によつて計算された賃金の総額を当該賃金算定期間における、総労働時間数で除した金額 |
6 出来高払制その他の請負制によつて定められた賃金については、その賃金算定期間(当該期間に出来高払制その他の請負制によつて計算された賃金がない場合においては、当該期間前において出来高払制その他の請負制によつて計算された賃金が支払われた最後の賃金算定期間。以下同じ。)において出来高払制その他の請負制によつて計算された賃金の総額を当該賃金算定期間における総労働時間数で除した金額に、当該賃金算定期間における1日平均所定労働時間数を乗じた金額 |
7 労働者の受ける賃金が前各号の2以上の賃金よりなる場合には、その部分について各号によつてそれぞれ算定した金額の合計額 |
7 労働者の受ける賃金が前各号の2以上の賃金よりなる場合には、その部分について各号によつてそれぞれ算定した金額の合計額 |
② 休日手当その他前項各号に含まれない賃金は、前項の計算においては、これを月によつて定められた賃金とみなす。 |
時間を単位に求めさせるか、日を単位に求めさせるかで各項の表現がことなります。ところどころで細かく異なりますが、大きく異なるのは第6号出来高払いです。休暇日賃金支払いでまったくその月に歩合給支払いがつかないなら、直近の実績を計算対象としています。これは年次有給休暇等で全休した場合を想定して支払わせる意義をもちます。一方、割増賃金計算には、家族手当、通勤手当ほかを含めなくてよいことになっています(法37条5項、則21条)が、休暇日賃金では除外されません。
(2024年12月31日投稿)