今日はお昼の授業と夜の授業の、二人の生徒さんのお稽古がありました
「今日の着物(帯)はどれを合わせようかなあ」と考える時、季節や自然との深い関係を感じるのが、和や着物の世界だと思います
「季節の柄」とまで突詰めなくても、自然の中で感じる「季節の色」は無限にあり身につけて表現したくなります
今日は今週着ている紬に、帯だけを替えてお稽古に臨みました
水曜日の生徒さんと「木賊(とくさ)色」の話になったこともあり、奥入瀬渓流沿いに群生していた「木賊」を思い出しながらこの木賊色の帯にしてみました
「木賊」は植物の一種で「木賊色」としては黒みを帯びた落ち着いた緑色として表現されています
『日本の色辞典(吉岡幸雄著)』はページをめくっているだけで、色の巾も奥行きも無限に広がっていくような幸せに満たされて時間を忘れてしまう一冊です
色の和名と植物が密接な関係を持つことや、染料として使われる植物やその意外性を知るだけでも、目の前の扉が次々に開かれる感覚を覚えてドキドキしますよね?
そんな話を深く共感し合いながら生徒さん方とで共有できるのは、本当に有難く幸せを感じる大切なひととき
「教室をしていて良かったなあ」とつくづく思います
これからも生徒の皆さんと、着物を通して色の感覚を磨いていく時間を楽しみにしています
ブログの過去の記事でも「日本の色」については何度か触れたことがありますが、その中から2つだけ貼らせて頂きます
■『夏の読書』(2008/8/15)
■『紅花から生まれた紅』(2013/1/20)
今日のお稽古では、お昼の生徒さんにも夜の生徒さんにも「衿巾の広げ方」について気をつけて頂くようにアドバイスしました
衿巾を折る時に「末広がりに広げる意識」が足りないときれいになりません
いい加減になりがちな「耳の下の部分」を折る時に気を遣うことも大事だと思います
着姿のポイントになる衿元ですので、習慣にできたらいいですね
ところで、今日の夜の生徒さんのこの小紋は・・なんと!!
「お母様がむすめさん時代に着ていらした小紋」だそうです
ということは、もうかれこれ40年以上前の着物.. ということ・・
楓が赤くないので、秋にも春にも似合いますし、菊も季節を問いません
帯揚げや帯締めの色でどちらの季節にも傾けることができる、賢く素敵な小紋です
着物や帯でなくとも、そんな小さな部分に気持ちを込めることができるのも着物の楽しみの一つですね
そんな楽しみをお母様がなさっていらしたように、この生徒さんが新たにまたご自分なりの工夫をされながら繰り返されるでしょう
時代を超えてそんな風に、一枚の着物をとことん楽しむ知恵を共有したり育んでいく行末を思えるのも、母娘ならではの幸福だと・・しみじみと感じます