荘子の言葉に、
「小さい浅い谷川に小さな
橋が架かっている。これは
安心して渡れる足幅があれ
ばよい。
これが“有用の用”である。
しかし、深い谷間に架かる
橋はそうではない。
足幅の何倍もの幅がなけれ
ば危なくて安心して
渡れるものではない。
この余分の幅が
“無用の用”である」という
教えがあります。
この言葉の解釈は、各人によ
って違います。
大きな仕事や良い仕事を
するには、単なる専門知識や
能力だけでなく、人間の幅が
ものを言うのだという意味に
取る人もいます。
剣豪宮本武蔵は、
「幅一尺の板を渡したとき、
低いところなら誰でも渡れる
が、天守閣の間に渡した
ら渡れなくなる」と言い、
日頃の不動心の鍛錬が肝要
だと説いています。
私は、二つとも大切だと思
います。
日頃から基礎を鍛錬することに
よって自信を養う。
ここぞというときにその力を
遺憾なく発揮するためには
心の習練を行っておく。
仕事だけでなく人間の幅を
広くすることが、
その人の魅力を増します。