冗談みたいだが本当にトランプさんがアメリカ大統領になってしまった。
なんだかイギリスのEU脱退と似たような脈絡で、これぞデジャブと言ってよいのではないだろうか。
メディアが予想(期待)していたものと、アメリカの多くの国民の本音とが、またしても大きく乖離していたようだ。
西側の先進国が、国境や国籍を想定しないリベラリズム(言わばお人好しの人道主義)及びグローバリズムを無批判に受入れ、推し進めた結果、移民問題や宗教対立しかり、世界が抱える様々な矛盾を国内に持ち込み増幅させた。それらの問題に対して既存の政治が有効な手だてを示さないまま、その被害(製造業の海外移転に伴う雇用の流出、外国人労働者の流入による賃金の低下、また諸外国のスパイ活動やテロリズムの流入等)を受けたと感じる多くのアメリカ国民が漠然とした不満を貯め込み、トランプさんを支持することで、これを解決できるのではとの期待が、このような結果をもたらしたのかもしれない。
選挙中のナショナリズムを刺激するような、大衆受けする過激な発言と、現実の政治・経済とのバランスをどこまで取れるかによって、今後のアメリカの未来、それどころか世界の命運に大きく係わってくるのだろう。
偉大なアメリカを取り戻す、グローバリズムよりアメリカ第一主義、行き過ぎたリベラリズムの反動で、違法な移民の排除を目指し、安全保障については、世界の警察の看板は下ろして、アメリカの利害に関係しない秩序の維持は、自前でやるかお金を払うか(自分のけつは自分で拭け)との発想の持ち主のようだ。
今回の選挙では、ただのよっぱらいおやじでしかない発言から、世界のトップとして品性が疑われるかもしれないが、トランプさんの政治経験のないど素人(有効な手だてを示せない、きれいごとばかり言う既存の政治家よりも幾分まし)、また大富豪であるが故に、金に転ぶことはないであろう(利益団体や諸外国の誘惑に比較的影響を受けない)との期待も、支持する側にあったのかもしれない。
(つづく)