演奏力、表現力、コンセプト、ヴィジュアルどれも優れたV系ホープ!
期待の大型新人メロ(現在、MELLOと表記することのほうが多い)の初となるミニアルバムがリリースされた。メロは、V系の伝統系譜で言えば、ラルク、ルアージュ、ラピュータ、ファナティックなどに近い。歌を重視していて、演奏力にも定評があって、エモーショナルで、恋愛の歌をメインに歌っている。メロは、ある意味、王道V系の伝統を引き継ぐ、メインストリームをゆくエリートバンドとも言えるだろう。本作は、現在の彼らの勢いがそのままパッケージされた強烈な作品に仕上がっている。(しいていえば、ボーカルの歌う言葉が若干こもっているところがウィークポイントか?!)
【全曲解説】
01 EpiLogue
ロマンティックな幕開け。感情的で人間的なメロディーに思わず聴き入ってしまう。三拍子だけど、三拍子を感じさせない内的なパワーがある。ちょっと曲調的にラルクと重なる部分があるが、サディと同じく、ここまで「影響の跡」が見えると、潔くてよい。かつて、黒夢とラルクが同じ時代にインディーズシーンで頑張っていたが、今、サディとメロはまさにそういうV系の二軸の中核を担うフロントバンドになっているように思う。ネオV系の新たな新時代を切り開くバンドだという確信を抱かせてくれた。
02 Labyrinth
ダンサブルでうねりのある強烈ビートを刻むハードな一曲。ちょっとレトロな雰囲気も漂いつつも、確実に新たな地平を切り開く一曲。荒々しいボーカルamonnのメロディーは圧倒的。また、安定した演奏力を誇る彼らだけに、安心して聴ける一曲。単純にただ「かっこいいぞ」と言っておきたい。
03 Reminds me
これまたダンサブルでファンキーなロックビート。歌詞も含めて、かなり緊張感のある勢いあふれる一曲だ。「早く急げ 次の路で 右へ曲がればあともう少し」という歌詞はシンプルながらに臨場感を出している。
04 EnVee
これは言葉遊びかな?envyという語を壊したのかな? これまた雰囲気のあるメランコリックな一曲。こういう曲には僕、弱いんだよな~ 夏の甘い恋心が蘇ってくる(苦笑)。そう、メロは夏がよく似合う。ラルクに似ているとよく揶揄されるが、歌詞的には結構メロ節というのが確立されているように思う。この曲はまさにメロらしい内容の歌詞となっている。「都会の恋の物語」、そんな言葉がよく似合うバンドだ!
05 不義理の国のアリス
これはかつてリリースされたシングルのリバイバル。ハードでスピーディーなハードチューン。アッパーなイントロのビートが気持ちよい。Aメロはかなり抑えている。Bメロのブレイクはかなりいい意味で抑制されていながらも、緊張感を産み出している。なんか94年頃のV系には、こういう曲調が多かったよな~と思ったり。また、ライブではこういう曲が一番盛り上がるのだろう。ライブには欠かせない一曲だ。サビは(微妙にうちに篭りつつ)突き抜けようとしているところがいやらしくて良い!(微妙な表現だが・・・)
06 瞳を閉じて見る夢
こういう曲で終わるのも、V系フリークとしてはたまらないだろうな。文句なく好きです、はい。
わずか6曲だったけれど、10曲のフルアルバムに負けない仕上がりになっていた。彼らのコンセプトの枠内に納まりつつも、様々なアプローチを仕掛けてきている。今後、V系の未来を作るメインアーチストになるべく、どんどんアグレッシブに動いていってほしいと願う。
*サディとメロ、この二バンドに現在のところ交流は確認されていない。が、V系の伝統を考えると、非常に興味深い。かつてデランジェとジキルは、共に互いを認めるスーパーバンドだった。その後、黒夢とラルクは、やはり互いに互いを認めるライバル同士だった。また、ルナシーとグレイはよく比較されつつ、互いに競い合ってきた。97年頃には、四天王(ラクリマ、シャズナ、ファナティック、マリス)が切磋琢磨しあった。さらに今世紀初めには、ムックとメリーとカリガリが競合して一時代を作った。そして、ネオV系になって、ガゼット、ナイトメア、アリスナインなどがぶつかり合った。そして、2007年~08年にかけて、まさにサディ、メロが激しくぶつかり合うことで、新たなパースペクティブを切り開こうとしている。今後の彼らの動向から目を離すことはできない!