Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

「団塊ジュニア」の闇とその未来-ロスジェネ世代-

このブログをはじめてから、あと数か月で10年。

ことあるごとに、自分たちの世代論、「団塊ジュニア論」を書いてきました。

例えばこれ

***

団塊ジュニアは、団塊世代の子どもたちの世代のことをいい、1970年代前半に生まれた世代の人々です。僕は75年なので、団塊ジュニア末期に入るのか、入らないのか、という感じですが、ずっと「団塊ジュニア」と呼ばれて生きてきました。

2014年現在、団塊ジュニアは、40歳~45歳くらい。この40歳~45歳くらいの人が、日本に実に多いのです。年間に200万人産まれていた時代ですからね。この国の人口を見ても、この世代は、歴史的に見ても、団塊世代ほどでないにしても、突出して多いのです。(ちなみに、その前がバブル世代[1965-1969]で、その前が新人類世代?!)

最近、この世代の人たちの「事件」が、かなり増えているように思います。どの世代でも、事件は起こりますし、どの世代が危険だ、とも思いません。

ただ、団塊ジュニア世代は、いろいろと鬱積したものを抱えています。色んな意味で、暗くて、陰鬱なメンタリティーをもっていると思います。

そこで!

団塊ジュニアを示すキーワードをいくつか示したいと思います。


①団地

団塊ジュニアの多くが、団地で生まれたり、育ったりしました。僕も団地で幼少期を過ごしました。小さい頃なのでほとんど何も覚えていませんが、とにかく団地だらけでした。地方からやってきた人たちが大勢、団地で暮らし、そこでみんなで暮らしました。同じ世代の友達も多く、生活圏に、同世代の友達がわんさかといました。今みたいに、車や電車で公共施設等にいかなくても、子どもが遊ぶ場所がちゃんと身近な場所にあり、思うままに遊ぶことができました。ただ、この世代の「父」は、不在です。戦後、空前の経済成長を遂げる最中とあって、団塊ジュニアは、「親父の背中」を見ないで、育った人が多いように思います。団塊ジュニアは、ある意味で、「父親像」が極めて希薄な世代かもしれません。

②バブル世代の音楽の消費とヴィジュアル系の世界

団塊ジュニアは、基本的に暗いです。そのひとつ前の世代は、バブル最中にヤングアダルトを経験しており、とにかくはじけてました。80年代後半、空前のバンドブームとなりました。いわゆる「ヤンキー」が消えて、「バンドマン」があふれました。原宿の歩行者天国(ホコ天)には、バブル世代の「お兄ちゃん・お姉ちゃん」がいっぱいいて、とにかくはっちゃけてました。そういう姿をみて、バンドをやろうと思った人も多いと思います。が、団塊ジュニア世代は、バブル世代の音楽を受け入れませんでした。自分たちが選んだのは、退廃感の溢れる「ヴィジュアル系」の世界でした。X JAPANのTOSHIは、1965年生まれ(つまりあの方もバブル世代)。TOSHI自体はバブル世代ですが、彼らの音楽は、当時の主流とは違っていました。彼らの音楽は、バブル世代にはあまり受け入れられませんでした。彼らを受け入れたのが、団塊ジュニア世代でした。皮肉に言えば、この時代のバンドが今も活躍できるのは、それを支持する団塊ジュニア世代がいるからです。ちなみに、LUNA SEAの河村さんは1970年生まれ。LUNA SEA自体が団塊ジュニアバンドなんですよね。これで、伝わると思います。団塊ジュニアは暗いんです。ダークなんです。

③いじめ・不登校の時代→のちの「ひきこもり」へ

その闇を象徴するのが、いじめと不登校という問題でした。闇を抱えた団塊ジュニアは、先輩たちの管理教育を見て、目立たないように問題を起こそうとするようになったようにも思います。「リンチ」、「しかと」、「パシリ」、「しめる」、そういう言葉が日々飛び交いました。「あいつ、こんど、しめるわ」、みたいな言い方をみんなしていました。今の若者だと、「パシリ」の意味、分からないんじゃないかな。あと、「ボコボコにする」、という言い方もよく使いました。今の若者たちは、この言葉使わないんじゃないかな? そして、不登校。当時は、「学校恐怖症」と言われていました。学校に行くのが前提で、それに行けないのは、病気だ、と考えられていました。団塊ジュニアの世代になって、これが「不登校」と呼ばれるようになり、徐々に支援体制が整っていきました。が、当時の不登校児の行く場所など、ほとんどどこにもありませんでした。今の40代には、そういういじめ経験(する側も含め)、不登校経験を隠し持っている人がたくさんいます。うまく立ち直った人もいますが、うまく立ち直れず、心の傷を負ったまま、大人になり、「ひきこもり」になってしまった人も多数います。

④受験戦争

いじめや不登校という「排除」が行われた一つの要因が、これかもしれません。受験戦争。今ではあり得ないと思いますが、団塊ジュニア世代は、大学入試に失敗して、自殺する、という若者が毎年現れました。僕が中三の時だったか、新聞を見ていたら、「早稲田大学入試に失敗し、自殺」という記事を見つけ、ショックを受けました。女子でした。団塊ジュニアは、そういうわけで、「勝ち組意識」と「負け組意識」が強くうえつけられました。受験予備校はバブルとなり、カリスマ講師がぼんぼんと飛び出しました。彼らは、団塊ジュニア受験生の支持を集めるかたちで、巨万の富を得ました。そんな話を、予備校のサテライト授業で、堂々と自慢するカリスマ講師もいました。団塊ジュニア世代は、バブル崩壊後に就職活動をすることになったので、いわゆる「高卒」という学歴で十分という条件はほぼなくなっていました。それでも今よりはあったとは思いますが…。しかも、いい大学に行っても、そのいい大学に行く学生自体が多いので、就職活動自体も過酷でした。

⑤就職氷河期

それが、就職氷河期です。僕は、ドラマや漫画の影響で、先生になろうと思いました。が、教員採用試験の内容を知って、愕然としたのを今でもよく覚えています。かつては、「でもしか教師」といって、「先生でもやろーかなー」とか、「先生しかやれる仕事がない」っていう理由で先生になった人が多くいました。けれど、団塊ジュニア世代は、そんな先生にすらなれない時代でした。狭き門でした。一流企業も、それはそれは争奪戦でした。バブル世代は、企業が学生の奪い合いをしていました。団塊ジュニアは逆でした。学生たちが企業の狭い枠を奪いあいました。なので、受験戦争に続いて、就職戦争までもしなければならなかったのです。多分、多くの人が、この時代に、疲れ果てていたと思います。慰めとなったのは、LUNA SEAやGLAYの音楽でした。あるいは、ZARDの「負けないで」でした。「負けないで」を聴いて、頑張った人は多くいると思います。

⑥結婚しないという選択肢

就職後も闇は続きます。その大きな一つが、「結婚しない男女」(あるいは結婚できない男女)の増加でした。「結婚しない」というのは自分の意思です。が、団塊ジュニアになると、「結婚したくてもできない」という男女が増えたように思います。平成に入ってからずっと、「単身世帯数」は第二位をキープしています。四人世帯数は、今や第四位(出典)。一人で暮らしている(ないしは親と同居している)40歳~45歳はかなりいるように思います。それはそれで、一つの選択肢なので、いいとか悪いとかはありません。ただ、「結婚したくてもできない」、あるいは「結婚はもう諦めた」、という人が多いのも、団塊ジュニアの特徴かな、と思います。恋愛に花咲いたバブル世代とはかなり違う点かな、とも思います。もちろんいつの時代にも、結婚しない人はいたとは思います。が、団塊ジュニア世代は、結婚という人間の一大イベントを経験できなかった人(できずにいる人)が多数いる、ということは知っておいてほしいです。そして、そういう目で、起こる事件を見てほしいと思います。ニュース等で、「40歳、無職、独身」、という言葉を聴いた時、この人には、上に書いたような闇というか、暗い時代があったんだ、と知っておいてほしいです。団塊ジュニアは暗いんです。


…と、書くと、同じ団塊ジュニアの人から、「そんなことねーよ」って言われそうですが、、、

そんな団塊ジュニアが、もうそろそろ、この国の社会の中心に立とうとしています。正直、大丈夫なのか?!という気もしなくもないですが。

でも、悲観もしていません。

なぜなら、団塊ジュニアは、それだけ色んな意味で苦労している世代です。度重なる苦労の結果、大きな闇を抱えている人も多数いますが、その苦労を乗り越えてきた人もいっぱいいます。ヴィジュアル系の世界を育った人は、ある意味で、文学的?な素養をもっています。「楽しけりゃOK!」なんて思う人はほとんどいません。僕らの頭の中では、LUNA SEAの「何のために生まれてきたのかぁ~♪」という曲がすぐに流れます。

団塊ジュニアは、ヴィジュアル系世代ですから、たくさんの人が、「美意識」をもっています。刹那の快楽ではなく、永遠の美を求めています。面白可笑しい話ではなく、暗くてじめじめっとした話が大好きです(?!)。今の40歳~45歳の人は、意識のどこかに、そういう世界をもっています。ロクな人生を歩んできませんでしたからね。

上の世代から怒りを買いそうですが、団塊ジュニアより上の世代は、僕らが歩んできた闇の世界を経験していません。現在の地点で、45歳以上の人は、もちろん全てとはいいませんが、往々にして、「楽しければいいじゃん」っていうポジティブさがあります。

けれど、その論理は、団塊ジュニアにはありません。もとからありません。「人生なんて、楽しくも、おかしくもないですよ」、と瞬時に答えるでしょう。もちろん、そういうポジティブさが全くないわけではありません。けれど、楽しいことよりも、苦しいことや厳しいことの方が、圧倒的に多かった世代なのです。

だから、もちろん深い闇を抱えて、今日、明日をどう生きるか、思い悩んでいる人も多いと思いますが、逆に、苦労や厳しさに耐えて、上のどの世代よりもたくましく、ある意味でふてぶてしく、強靭な精神力や知性をもった人間も多いと思うのです。

僕は、そういう人たちに期待しています。団塊ジュニアは、数も多いです。厳しい戦いが常にありました。それを生き抜き、そして苦労してきたからこその愛情をもっている人も多くいます。自己の利益に囚われず、社会のために、つまりはこの国に暮らすみんなのために、何かしようという人もたくさんいます。そういえば、ボランティアブームも、団塊ジュニアたちの間で起こった現象でした。

まだ、今は活躍できるほどの地位を得ていません。けれど、あと10年経ったときに、もしかしたら政治の場も変わっているかもしれません。政治家たちも、今いる人はみんないなくなっています。僕ら世代の政治家なら、もしかしたら、本当にまっとうな政治ができるかもしれません。

もちろん、希望的観測です。もしかしたら、もっと闇が吹き荒れた社会になっているかもしれません。

団塊ジュニアの出番はそろそろです。

READY TO GOです。

暗黒の人生を生きてきた人間が、この国をどう作っていくのか。

来たる戦いの準備です。

みんなにとって幸せな国を目指すための。

そして、私利私欲ではなく、みんなが笑顔で生きていける社会をつくるための。

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