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フリークアウト(奥村、権利物)

2015-03-27 20:22:35 | 権利モノ




権利物の紹介が続いて恐縮だが、今回は1994年(平成6年)初頭に奥村遊機から登場した、新要件権利物「フリークアウト」を取り上げる事にする。



★賞球…6&13
★大当り確率…1/243
★始動チャッカーはスルー式(スルー下の賞球口もなく、玉持ち悪し)
★デジタル停止順…左⇒右⇒中
★図柄…左右デジタル=赤の「0~9、F」(11個) 中デジタル=赤と緑の「0~9、F」(22個)
★同色ゾロ目(中デジ赤)で3回権利、色違いゾロ目(中デジ緑)で1回権利
★出玉…3回権利=約5500発、1回権利=約2000発
★意図的な連チャン性…なし
★都内設置店…渋谷・道玄坂小路「ホワイトバード」(閉店)、溝の口・十字屋近くのバス通り沿い「エース」(閉店)、大塚駅・都電停留所近く「ニューカワイ」(閉店)、中目黒駅そば「マツヤ本店」(現存)、巣鴨駅北口「ニュー太平」(現存)などなど…


この当時、現金機に対する「連チャン規制」(CR機普及を目論む当局の圧力)が強まっていた。その為、「合法的」に出玉ボリューム感を出せる「権利物」が再注目されて、各メーカーも新機種開発に力を注いだ。本機も、そうした流れで登場した、「ポスト連チャン機」の一台といえる。

デジタルは、流行りの液晶モニタではなく、シンプルな7セグを採用。かの一般電役「フルーツパンチ」(大一)を彷彿とさせた。左右デジタルが「赤」で、中デジが「赤・緑の2色」というのも、フルパン譲りだった。

一方、ゲーム性は連チャン一般電役のフルパンと違い、「同色(赤・赤・赤)のゾロ目で揃えば3回権利、色違いのゾロ目(赤・緑・赤)なら1回権利」と、打ち手の「ヒキ」次第で出玉に大きく差がつく、「変則タイプ」の権利物であった。この時期、ニューギン「トリオ」(1993年)や京楽「天国キッス」(1994年)など、図柄によって権利回数が異なる機種は、割と人気があった。

なお、本機はメインアタッカーが13個戻しの為、1回権利の出玉は2000発程度。3回権利だと、途中の出玉ロスを考慮して約5500発。まぁ、高確率中に「妙な」ハマリを見せて、大きく出玉を削られる事もあったが…。

1回/3回の権利回数振り分けは、純粋に「1/2」(後述)。それでも、好調時は3回権利に偏ってドル箱を重ねる一方、ツイていないと1回権利の連発に泣かされるなど、収支もバラつきがちだった。

仕組まれた連チャン性こそなかったが(後述)、元の確率が「1/243」と甘めで、自力での数珠連チャンは十分期待できた。ただ、それはホールも承知で、通常営業でのシブ釘調整も目立った。逆に、新装で釘が甘い時などは、かなり「オイシイ」結果が得られた。

なお、当時の「持ち玉ルール」に関していえば、都内や神奈川では、「無制限」主体の店も徐々に増えつつあったが、「ラッキーナンバー制」(時には「一回交換」)のルールを採るホールやシマも、まだ多く存在した。本機も同様に、「どの図柄で当っても無制限」「3、7で無制限、その他は交換」、「3回権利は継続、1回権利は交換」、「奇数継続、偶数交換」など、バラエティに富んだ持ち玉ルールが存在した。また、換金率も「2円」~「等価」と店毎に様々で(当時は3円以下が主流、都内は2.5円が多かった。神奈川の地元L店は2.2円)、こうした営業方針の違いが、各ホール、或いは各エリアの「個性」を引き出す要素になっていた。





なお、本機の盤面の特徴として挙げられるのが、デジタル真横にある「風車」の存在であった。
通常と異なり、本機はデジタルの左サイドに風車はあるが、右サイドには存在しない(画像参照)。因みに、同じ奥村の権利物「アトラス3」(1994年)も、やはり右側に風車がなかった。

こうした「左右非対称」の作りが、ちょっとした攻略要素にも繋がった。すなわち、風車が露骨にマイナス調整されており、風車の外へ玉が逃げがちな台でも、思い切って右打ちに切り替えると、邪魔な風車が無いお蔭で、デジタルがブン回る事があったのだ。この右打ち攻略、釘にも左右されたが、かなりの効果があった。ちょっとした「創意工夫」が、思わぬ好結果を招いた好例といえる。



★リーチアクション

フルパン同様、「左⇒右⇒中」の順に停止する7セグデジタル。左右テンパイ時、中デジはリーチ図柄の手前5コマからスタートする。フルパンでは、リーチが掛かった瞬間の中デジ図柄を読むと、連チャンするかどうかが予測できたが(勿論、保留点灯が条件)、本機にそのような特徴はない。

ノーマル1周目(リーチ直後)でいきなり当ったり(ショート)、ノーマル2周時に普通に当る事も多かったが、最も期待感を煽ったのは、3周目突入後に3コマ進むと高確率で突入する「SPリーチ」だった。

SP発展時は、大当りの「手前1コマでハズれる」事はあっても、「通り過ぎてハズれる」事は絶対になかった。中デジの各図柄は、「緑」⇒「赤」の順に並んでいる(フルパンとは逆)。つまり、中デジが「緑のゾロ目」まで辿り着けば(手前1コマを超えた時点で)、1回権利以上の大当りが確定したのだ。さらに、緑図柄も超えれば、嬉しい3回権利(赤)が約束された。なかなかアツいアクションだったといえる。

この辺り、同時期に大ヒットした、西陣「CR花満開」のSPリーチ(花びらリーチ、1コマ手前の図柄が散れば大当り)に通じるものがあった。

ただ、期待を持たせる割には、1コマ手前でピタッと止まって終了…の哀しいパターンも、案外多かったと記憶する(実戦での信頼度は1/3程度。なお、再始動アクションは無し)。



★メインデジタルが揃った後

デジタルが揃ったら、始動チャッカー真下の電チューが開放。電チューに入賞した玉が、その下にある役物(回転体)のVゾーンに入れば、権利発生。玉切れさえ気をつけていれば、電チューに1個以上入れた時点で、ほぼ確実に権利獲得となる。

権利獲得後は右打ち。右上の回転体と、その下のアタッカーの連動で出玉を稼ぐ。16R継続だが、先述した通りアタッカーが「13個戻し」なので、出玉は約2000個。

3回権利獲得時、2回目・3回目の権利中は確率が10倍アップ(1/24.3)しており、権利獲得は容易…のはずだったが、実戦中、50~60回程度の「2倍以上ハマリ」が結構あった。まぁ、単なるヒキ弱だとは思うが。



★デジタル確率の内部状態切替

・通常時…1/243
・デジタル揃って権利発生…1/243
・デジタル揃って権利発生せず…1/243(救済措置なし)
・1回目権利消化中…1/243
・1回目権利終了後…1/24.3(10倍アップ)
・2回目権利消化中…1/243
・2回目権利終了後…1/24.3(10倍アップ)
・3回目権利消化中…1/243
・3回目権利終了後…1/243

⇒内部では、専用の「確率変動カウンター」によって、上記の状態ごとに、確率の高低が随時切り替わっている。よって、高確率状態を利用した「連チャン打法」等は存在せず。



★大当り判定、連チャンの有無

一発抽選方式を採用。大当り判定カウンターは「0~242」の243コマ。通常時は「6」のみが当選値。一方、高確率中は「6~15」の10通りが当選値となる。よって、大当り確率は、通常時=1/243、高確率時=1/24.3。

時期的な問題もあって、露骨な連チャンプログラムを組み込むのは、メーカーにとって相当「危険」な事だった。本機の解析でも、連チャンが仕込まれていた事実は認められなかった。実戦では、50回転以内の数珠連も起こったが、「1/243」という甘めの確率による「自力連」と思われる。



★権利回数の振り分け

大当り判定に当選すると、「大当り出目カウンター」(「0~10」の計11コマ。赤図柄11個に対応)を使って、大当りの表示出目(0~9、F)を決定(Rレジスタを用いて、ランダムに選択)。

さらに、この時、「中出目カウンター」(「0~21」の22コマ。赤と緑の図柄22個に対応。通常はハズレ中出目作成に用いる)の値も参照する。拾った値が「偶数」なら中デジに赤図柄停止(3回権利)、「奇数」だと緑図柄停止(1回権利)という内部処理が行われる。

即ち、中出目カウンターが「出目そのもの」を決定するのは「ハズレ時」のみであって、大当り時は、カウンター値が「奇数か偶数か」で、中出目の「色」を決定するに過ぎない。

よって、1回/3回の権利回数振り分けは、純粋に「1/2」。また、大当り出目の意図的な偏りもなく、ラッキーナンバー狙いは不可。