90年代・パチンコドラマ「グッドラック」
(日本テレビ、主演:松本明子)レビュー
第2話「パチンコ娘の悲鳴」
・放映日…1996年(平成8年)7月10日(水)
・放映時間…22:00~22:54
・スタッフ
脚本:寺田敏雄
演出:雨宮望
チーフプロデューサー:小杉善信
プロデューサー:田中芳樹
演出補:羽住英一郎 プロデューサー補:土井かおり 製作補:藤本一彦
・音楽…BIG HORNS BEE(オープニングテーマ…「GOOD LUCK」)
・主題歌(エンディングテーマ)…氷室京介「SQUALL」
・挿入歌…鈴里真帆「もっと静かに」
・撮影協力
パチンコ「平和」(代々木駅東口) 「FRESCO」(新宿西口) 株式会社SANKYO ほか
・番組提供(スポンサー)
大塚製薬、日産自動車、象印、黄桜酒造、花王、国内信販
・出演
松本明子(飛鳥鈴子) 佐野史郎(藤堂竜作) 豊原功補(高原俊輔)
原田龍二(高原祐二) 勝村政信(佐藤年男) 秋本祐希(飛鳥友利)
網浜直子(栗原妙子) 金田明夫(松岡恵一) 宮地雅子(木村緑)
伊藤俊人(長谷川義彦) 原田泰造(杉本真) 西田健(黒部辰吉)
真梨邑ケイ(吉川美沙子) ドン貫太郎(園田満吉) 山田明郷(村瀬和則)
徳井優(鬼頭清十郎) 木孝子(川村芳江) 桑原貞雄(野崎邦夫)
山下容莉枝(佐藤香織)
・友情出演
出川哲朗
(開店後、店内になだれ込む客。セリフは、カウンターの店員に
「どの台が出るの?」と一言だけ。ピンポイントでの出演。)
・あらすじ
老舗パチンコ店「飛鳥球殿」の初代オーナーである、父・光太郎(橋爪功)の急逝後、
店を引き継ぎ、店買収を目論む「黒部興産」リーダー、俊輔と戦う事を決めた鈴子(りんこ)。
だが、彼女は「パチンコど素人」。妹・友利には「お姉ちゃんに経営は無理」とバカにされ、
従業員達からも、まともに相手にされない。味方と言えば、父・光太郎に恩義を感じて
店に出入りする、メーカー営業の祐二くらい(その祐二は、俊輔の「実の弟」であった)。
さらに、二日酔いで遅刻したカウンター係の妙子を鈴子が注意すると、短気な妙子は
逆ギレして、そのまま早退してしまう(妙子は、妻子持ちの松岡と、不倫関係にあった)。
オーナーの威厳など皆無の鈴子だが、店はいつものように開店。常連が店内になだれ込むと、
その中に俊輔がいる。店から出ていくよう注意する鈴子に、俊輔は「客として遊びに来ただけ」
といって取り合わない。
俊輔の隣には、光太郎が過去に絶大な信頼を寄せた、元パチプロ・竜作(ブッコミの竜)の
姿があった。だが、彼が、かつて凄腕プロだった事を知った主任の松岡は、「この店はプロ
お断り」といって、追い出してしまう。
鈴子はその後を追い、父の店を継いだ事を竜作に告げるが、「悪いけど、アンタ、パチンコの
何を知ってるっていうの?」と、彼の態度は冷やかだった。
事実、彼女の素人ぶりは酷いもので、光太郎に代わって釘調整する松岡に「今日の割数は
12割で宜しいですか?」と聞かれても、「割数」が何なのかさえ知らない。そんな経営の
基本も判らない彼女に、妙子や緑、杉本、長谷川といった店員達から、さらに軽蔑される。
その裏で、松岡は、俊輔から他店への「引き抜き」の誘いも受けていた。条件は悪くないが、
長年勤めた飛鳥球殿への思いもあって、心揺れ動く松岡。そんな彼を見透かすように、
俊輔はさらに攻勢をかける。黒部社長の愛人、美沙子が仕切る銀座の高級クラブで、
社長同席の上、松岡に「接待攻撃」を仕掛けたのだ。彼の気持ちは、ますます揺らぐ。
そんなある日、店内にいた鈴子は、シメ釘で「出ない、出ない」と愚痴る常連達に、思わず
当日の割数が回収の「12割」だと教えてしまう。当然、店から客の姿は消える。それを知った
松岡は激怒。「割数12と知って、打つ客などいない、それを教えるマヌケがいるか!」と、
素人丸出しの鈴子を怒る。呆れた他の店員達からは、盛んに「お嬢さん」呼ばわりされる。
「私はお嬢さんじゃなくて、オーナーです!」と鈴子は反論するが、全く説得力が無い。
鈴子は、何とか客を呼び戻すべく、祐二に釘を開けて貰って、「ファン感謝デー」を計画。
自らもチラシを作り、駅前で配り歩いた。そのお蔭で、当日は満席。常連の八百屋(ドン)、
床屋(山田)、易者(徳井)、主婦(木)、浪人生(桑原)も、大当り連発で喜んでいる。
客足戻って得意顔の鈴子だが、赤字確実で松岡達は不満。さらに、この「付け焼刃」な
思いつきを見透かされた竜作に、「ご愁傷様」と皮肉られてしまう。
ともかくも客が戻り、まともに営業出来る…と思ったのも束の間。イベント翌日、なぜか
シメた大半の台に客がつかず、どの常連も、数少ない開放台にピンポイントで座っている。
「釘の情報が漏れた…」と、ショックを隠せない祐二。鈴子も、「一体、誰が?」と疑心暗鬼。
その時、仕事をサボって遊ぶ常連・佐藤(勝村)のもとに、妻の香織(山下)が突如現れて、
パチンコにかまける夫に、罵声を浴びせる。佐藤も応戦するが、香織は「アンタなんか、
死ぬまで一生パチンコやってなさい!」と一喝して、店を去る。何ともバツが悪くなり、
苦笑いしかない佐藤。
それを見ていた鈴子は、佐藤に「帰って下さい!」と強く申し出る。差し出がましい対応を
松岡はたしなめるが、鈴子は聞き入れない。「そういう客が入り浸るから、パチンコの
イメージがいつまでたっても良くならない!」と、思わず日頃の「本音」を吐露してしまう。
興奮してカウンターに戻った鈴子。そこに、またもや竜作の姿が…。彼は、そそくさと
店を出ようとする客の手元から、一枚の小さな紙を奪い取る。そこには、台番号が
幾つか羅列してあり、全てが「開放台」の番号だった。聞けば、この紙が開店前から
店の前にバラ撒かれていた、という。明らかな営業妨害だ。一体、犯人は誰なのか…。
そういえば、昨日の閉店後、鈴子と祐二がシマにいた時、妙子が「忘れ物を取りに
来た」といって、店に戻ってきた。「クギ調整の現場に居合わせた、妙子が怪しい…」
早合点した鈴子は頭に血が上り、妙子のいる従業員寮に踏み込んで、彼女を詰問する。
身に覚えのない妙子だが、元来気に喰わない鈴子に嫌気がさして、「店を辞める」と告げる。
そこへ同僚の杉本が来て、「アイツはそんな事をする子じゃない。俺も辞めます」と反発。
これをきっかけに、長谷川も辞表を提出。さらに、頼りにしていた主任の松岡までが、店を
辞めると言ってきた。
また、鈴子は、妙子が俊輔から引き抜きの誘いを受けていたが、飛鳥球殿への義理から
断っていた事を、同僚の緑から知らされる。緑が、「そんな子が、台番号の紙をバラ撒いたり
する?」と言うと、鈴子は何も言い返せない。やっと自分の勘違いに気付き、寮に駆け込むが、
妙子の姿はなく、荷物も持ち出された後だった。部屋の隅には、従業員旅行の記念写真。
光太郎のすぐ隣で、妙子が満面の笑みを見せていた。
激しく落ち込む様子の鈴子に、竜作は「この商売が、思い付きや真似ごとで
出来るものじゃない事が、身に染みて判っただろう」と、冷たく言い放つ。
「店に残る」と言った緑を除いて、全従業員から「三行り半」を突き付けられた鈴子。
ガランとした店内で、玉の入ったドル箱を運ぼうとするが、転んで床に玉をぶちまけてしまう。
ガックリとうなだれる鈴子。その様子を、店外から妙子が複雑な表情で見つめていた。
そんな折、常連の佐藤が、「従業員に応募したい」と言って、鈴子の元を訪れる。とても
そんな気になれない鈴子だが、一緒にいた祐二が、半ば強引に面接を行わせる。
根っから明るい佐藤、「私は佐藤年男、サトウトシオ、砂糖と塩じゃ、あーりませんか!」と
茶化して自己紹介するが、全くウケない。だが、めげずに営業で鍛えた流暢な口調で、
得意の「マイクパフォーマンス」を披露。祐二は、「3人いれば、店も何とかなる」と言うが、
鈴子は「思い付きや真似ごとで、商売は出来ない」と、竜作の「受け売り」で二人を追い返す。
鈴子は、最後の望みをかけて、竜作が店主を務めるバー「グッドラック」に赴き、店を救う為、
力を貸して欲しいと懇願。しかし、竜作は「客として遊びでは打つが、それ以上は関わらない」
と、彼女の頼みをあっさり断ってしまう。
もう、誰の力も借りられない…途方に暮れる鈴子。悔し涙を流して、店の床を一人モップ掛け
していると、もう一本のモップが視界に入る。ハッと見上げると、辞めたハズの妙子が、
甲斐甲斐しく、だがきまり悪そうに、床をモップで磨いている。
一度は「辞める」と啖呵を切った妙子だが、かつて、保証人もいない自分を拾ってくれた
先代の光太郎には恩義があり、どうしてもこの店を裏切る事は出来ないとのこと。
そんな彼女が頭を下げて、涙を流して「もう一度働かせてほしい」と鈴子に頼み込む。
父の死後、ずっといがみ合っていた鈴子と妙子だが、ようやく一つの「絆」が生まれた。
嬉し涙へと変わった鈴子は、妙子と二人、父の形見の店の床を、一生懸命磨き続けた。
さらに、妙子は、店を裏切ったのが松岡で、開放台の紙をバラ撒いたのも、他の従業員が
辞めたのも、全部松岡と俊輔が仕組んだ事だと鈴子に伝える。
真相を把握した鈴子は、翌日、駅前にオープンしたばかりの綺麗なホールに出向く。
すると、派手な制服に身を包み、いそいそと働く杉本や長谷川、そして俊輔と楽しげに話す
松岡の姿を見つける。
自分を裏切った松岡達、そして卑劣な手を使った俊輔を、グッと睨みつける鈴子。一方、
飛鳥球殿を手に入れる計画を順調に進める俊輔は、ニヤリと余裕の笑みさえ浮かべて、
鈴子を見つめ返すのだった…。
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