忘れ去られたマイナー機に、再び光を当てるシリーズ(笑)
1991年(平成3年)にマルホンから登場した新要件権利モノ「トランポリン」
★2回権利モノ
★賞球…7&15
★メインデジタルに「33」「55」「77」が出ると、天下の電チューが5.6秒開放(1個入賞で閉鎖)
★デジタル当選率…1/17(2回目の権利時は1/1.7にアップ)
★振り分け用の二段クルーンを搭載(上段クルーンは三つ穴、下段クルーンは二つ穴)
★下段クルーンの手前穴に入ると、権利獲得となる。
★アタッカー開放…10カウント(or9.9秒)×16ラウンド(×2回権利)
★平均出玉…二回権利消化で3500~4000個
この機種名にピンときた人は、少なからず「マルホンマニア」であろう。現在、ネット文献がほぼ皆無の「超マイナー機」である。
平成2年10月の風営法規則改正により、翌・平成3年春になると、いわゆる「平成新基準機(新要件機)」が各メーカーから続々と登場した。この改正では、おまけチャッカーデジパチと並んで「一発台」がNG扱いとなった為、新要件初期にはデジタルタイプや役物振り分け式の2回(3回)権利物が、「ポスト一発台」として脚光を浴びることとなった。
(参考)新要件初期(1991年)に登場した、主な2回権利物
三共⇒タイムショックI、ビッグポーカーIIIA
西陣⇒ハッピーキャッスル、ニュークーデター
平和⇒バレリーナ、エポック(※エポックのみ3回権利)
ニューギン⇒ダブルエース、ツインズ、ミルキーエース
三洋⇒スーパースリー、ニューヨーク
奥村⇒フラッシュ、トライアングル2
京楽⇒ミュータント2、ミュータント3
大一⇒アベニュー
豊丸⇒シティ、エスカルゴ1、スペースマウンテン、バトルロイヤル
※その他、旧要件の一般電役「フルーツパンチ」(大一)、「アニバーサリーI(&II)」(大一)、「アメリカンドリームP1(&P2)」(豊丸)なども、この時期人気を博した。
当時、本機の設置店はかなり少なかったと記憶するが、都内ではJR山手線・新大久保駅近くの「サンキン」(⇒後に「USA」)などに置いてあった。
サンキン(三金)は、山手線沿いに赤と黄色の目立つ看板(「パチンコサンキン」のロゴ)を出しており、大学通学で新宿⇒高田馬場のルートを毎日通っていた私には、非常に馴染み深い店だ。’90年の旧要件時代には、一発台「スターライトII」(三共)なんかも設置していた。
その他、91年当時の新大久保駅周辺には、今は亡き数々の香ばしいホールが点在していた。お寺(全龍寺)のすぐ隣で営業していた古臭い店「山水林」、通りを挟んではす向いにあった「ダイシン」(現「グランパ」)、新大久保駅の改札から横断歩道を渡り、左手の角地にあった「日拓ヤマテ」(現「エスパス日拓新大久保」)、ヤマテの少し先の「スターダスト」(⇒現存)などが思い出される。また、中央線の大久保駅まで足を延ばすと、「デルンダー夢広場」などもあった。
本機の主なゲーム性は、以下の通り(適宜、画像を参照されたい)。
(1)左右オトシ上部の「START」と書かれたスルーチャッカー通過で、天下の大きな二桁デジタルが回転する。このデジタルは、左右ともに「3,5,7」の3種類しかなく、左デジタルが停止した時点で「リーチ状態」となる。なお、スルーの入口は三角釘になっており、通常のオトシに比べると入賞しづらい。
(2)デジタルに「33」「55」「77」の何れかが出ると、左右デジタルの間にある電チューが5.6秒(or1カウント)開く。なお、デジタルの当選率は1/17と高い。
(3)電チューに拾われた玉は、その真下のクルーン役物に入賞する。このクルーンの特徴として、「上下二段構造」である事が挙げられる。マルホンは、旧要件末期に「ビッグスリー」という三段クルーンの一発台も出しており、同社の開発陣がこの時期、「クルーンを重ねる」という事に拘りを見せていた事が窺える。
(4)上段クルーンは三つ穴タイプで、手前(左右)に二つ、奥(中央)に一つの穴がある。役物内に入った玉は、まず上段クルーンで何れかの穴に入り、下段クルーンに落下する。クルーンの構造上、奥よりも手前の穴に入り易い特徴がある。
(5)一方、下段クルーンは二つ穴で、手前に小穴が一つ、奥に大きい長穴が一つある。一発台の「アトムII」(三星)などを彷彿とさせる形状だ。下段クルーン内を回った玉が、うまく手前の小穴に落ちると権利獲得となる。
(6)上段クルーンで奥の穴に入った玉は、真下にある下段クルーンの長穴にダイレクトで落ち易い。その為、一見すると奥穴はハズレ濃厚のようだが、運よく下段の長穴に落ちない事もあって、その場合は手前の大当り穴(小穴)に入り易くなっていた。
(7)一方、上段クルーンで手前(左右)の穴に入ると、玉は下段クルーンの両端にある「スロープ」を伝って、下段にアプローチする。右の穴に落ちた場合は右スロープ経由で時計回りに、左の穴に落ちた場合は左スロープ経由で反時計周りに、それぞれ下段クルーン内を回転する。一見するとクルクル回る玉の動きに期待させられるのだが、左右の穴から落ちた玉の大半は、下段奥の長穴に落ちて外れてしまう。上段クルーンは手前の二穴に入り易い構造の為、クルーンでの振り分けは総じて「キツ目」といえる。
(8)つまり、本機は、デジタルそのものは当り易いが、その分クルーンでの振り分け率を厳しくして、大当り確率のバランスを取っていたといえる。当然、スルーチャッカーの釘調整や役物のネカセなども、勝つ上での重要なファクターとなった。
(9)権利獲得後は、右打ちで消化する。盤面最下部(アウト穴上)の「GO」と書かれたスタートチャッカー入賞により、その上のメインアタッカーが10カウントまたは9.9秒開放する(16ラウンド継続)。但し、新要件初期・権利モノのスタートチャッカーは、「重複入賞でラウンド数が減る」というドギツイ欠点があった為、大当り中は適宜「単発打ち」を使って対応する必要があった。なお、アタッカーの拾いは、かなり良好の部類に入る(アタッカーセンサーが奥にあった為)。
(10)二回目の権利時は、デジタル確率が10倍アップの1/1.7に変動する為、デジタルは頻繁に当るようになる。但し、クルーン役物での振り分けは引き続き厳しく、釘のシブい台では玉減りも激しい。
(11)通常時の玉持ちアップ打法として、デジタルが回転を始めたら即・打ち出しを停止する「止め打ち」が効果的だった。これは、本機のデジタルが「保留ランプ」を搭載していない事による。
貴重な資料ありがとうございます