1991年(平成3年)に平和から登場した権利物「エポック」 (新要件機、3回権利)
★賞球…7&15
★デジタル図柄…左デジ=0~9の数字と「♪」(オールマイティ)、右デジ=0~9
★デジタル確率…1/30(2,3回目の権利獲得時は、1/3にアップ)
★クルーン振分率…1/3~1/10(台のネカセ・クセにより異なるが、通常は1/3よりもかなり悪い)
★平均出玉…3回権利で約5300個(MAXなら6000個オーバーだが、2,3回目の権利獲得に手間取り、玉減りする事多し)
★権利獲得⇒消化の流れ
(1)盤面中央の「START」チャッカー(ヘソ)入賞で、メインデジタル変動。
(2)デジタルにゾロ目が出ると(左デジタルはオールマイティの「♪」図柄でもOK)、ヘソ左側の黄色い電動チューリップ(THROUGH)が、約1秒開放する。通常時のデジタル確率は1/30。左デジタルに「♪」が出れば、その時点でデジタル当選確定。
(3)電チューに拾われた玉は、その下の「三つ穴クルーン」で振り分けられる。奥二つはハズレで、手前穴に入ると、その真下にある「CHANCE」チャッカー(Vゾーン)に入って、権利発生となる。
(4)権利発生後は、右打ちで消化。盤面下部中央の「GO」チャッカー入賞で、その上の「OPEN」電チュー式アタッカーが9.7秒(or10カウント)開放する。アタッカー開放は、最大16ラウンド継続。
(5)1回目の権利が終了したら、通常のストロークに戻し、再び「デジタルゾロ目⇒電チュー入賞⇒クルーン手前入賞」の流れで、次回権利を獲得する。2,3回目の権利時は、デジタル確率が1/3と10倍アップするが、電チューの拾いが悪いのと、クルーン振り分けが厳しい事に変わりはなく、玉減りが激しい。その為、3回権利でも平均出玉は5300発程度と少ない。さらに、権利消化中、オープンチャッカーに続けて入賞してしまうと、ラウンドがまるまる1つ減るという欠点もあった(当時の権利物の特徴、単発打ちで応対可)。
(参考:盤面下部のアップ。大当りまでは、ヘソの「START」チャッカー、(盤面上部のメインデジタル)、左上の「THROUGH」と書かれた電チュー、その下の三穴クルーン、その下の「CHANCE」チャッカーがポイント。一方、大当り中はセンター最下部の「GO」チャッカーと、その上の「OPEN」電チューが活躍する。なお、右サイドのヤクモノは単なる「飾り」に過ぎない。)
オールマイティ図柄「♪」でのデジタル当り。右デジタルは何が出ても良い。デジタルが♪で止まった瞬間の「安心感」が懐かしい…。因みに、盤面上部の「EPOCH」ロゴの左下には、「’91 NEW VERSION」という円形ロゴが描かれている。これは、当時のスペックが旧要件から新要件(新基準)に移行した事を示す、平和独特の表記である。この年に同社から出た台の多くに、同様のロゴが付されている(但し、中には付いていない機種もある)。
デジタル当選後、約1秒だけ開く電チュー。良く拾うように見えるが、やはり1秒は短い。また、電チュー周辺の釘調整が悪いと、玉が寄らずに空振りしまくる。その反対に、いっぺんに複数入賞する事もある。ただ、2個同時入賞して、2個ともV穴に入ってしまうと、権利1回分がフイになる。
電チュー下の三つ穴クルーン。奥二つがハズレ、手前がV穴。左右対称の水平構造ではなく、右上が高く、手前が低くなっている。その為、玉が手前に来た時に勢いが付いてしまい、手前穴には入りにくい。逆に、奥に向かう時には玉の勢いが殺されるので、奥の穴に入賞し易い(特に右上穴)。また、クルーン内部には小さな「突起」も付いている。さらに、V穴入賞率は台の「ネカセ」で大きく変わった。こうした構造上の「陰謀」が、当時のヤクモノには多く隠されていた。
本機は1991年・秋、高田馬場「ダイナム」(閉店)にて初打ち。
(在りし日の馬場ダイナム)
(ダイナム跡地。馬場ダイナムは1998年1月クローズ。今は飲食系のR店が入っているが、正面の太い円柱が当時を偲ばせる。)
実は初打ち時、上記のような詳しいゲーム性が頭に入っておらず、「デジタルが揃う=権利発生」と思い込んでいた。
これには布石があって、馬場ダイナムには、エポックが入る前に一発台「サイクロン」が置いてあった。因みに、サイクロンの背中には、藤商事の一発台「メガトロン」が入っていた。
(平和のデジタル式一発台「サイクロン」、1990年登場)
この「サイクロン」も、やはり平和から出た台で、しかもエポック同様「二桁デジタル」を使っていた(7セグとドットの違いはあったが…)。
サイクロンの場合、中央のデジタルが揃うと(確率は1/50)、デジタル上にある左右の電チューが5.8秒開放する。この時、左の電チューに玉が入ると、盤面右のチューリップが開き、大当りする仕組みだった。電チューの開放時間が「5.8秒」と長い為、電チューが空振りする事など、まずなかった。基本的には、「デジタルが揃えばOK」という、単純明快なゲーム性であった。
それゆえ、馬場ダイナムでエポックを見た時は、自然とサイクロンのゲーム性が頭をよぎったのだ。
で、実際に打って暫くするとデジタルが揃ったのだが、左の電チューがほんの一瞬開いて、一発も玉を拾わずに、そのまま閉じてしまった。実際、電チューは約1秒開いていた訳だが、その時は0,1秒ほどに短く感じられた。
「デジタルが揃ったのに、当らなかった」…本機なら当たり前の事だが、この時は結構ショックだった記憶がある。その後も、何回もデジタルが揃ったが(デジタルは1/30と高確率なので、結構揃う)、やはり空振りが多く、クルーンの振り分けにも負け続けて、何度もガックリさせられた。
結局、その時は一度も大当りしないまま、財布の中身を吸い取られて、茫然と店を出た。結果的に、本機は「サイクロン」というよりは、サイクロンの背中に並んでいた「メガトロン」を思わせるような、イライラ・ジリジリ感の募る台に感じられた。
その後、ダイナムで何度もリベンジを挑んだが、トントンかチョイ勝ちが精いっぱいで、大勝ちの体験は一度か二度くらいしかなかった。また、同じ高田馬場の駅改札近くにある「コスモ」(現存)にも本機が入っていて、「江戸の仇を長崎で取る」との意気込みで挑戦したが、コスモのエポックも電チューの拾いが悪く(デジタル自体は良く回った)、やはり空振りを多く経験する事になる。「単に、台選択が下手クソだったのでは?」という突込みには、とりあえず反応しない事にする(汗)。
結局のところ、「相性の悪かった台」という感じではあるが、デジタルとアナログを融合した独特のゲーム性は、決して嫌いではなかった。赤くなったり青くなったり(故・田山プロの表現を借りると、こんな感じである)と一喜一憂しつつ楽しんだ本機に対して、今も良い印象を持っている。まぁ、「思い出補正」とやらが掛かっている可能性も、大いにあるが…。