遼、ホールアウト後に決めた最終組
「マイナビABCチャンピオンシップ」3日目を通算7アンダーでホールアウトした石川遼だったが
仕事はまだ終わっていなかった。
「(同組の)ヒョンソンがすぐにスコアカードをくれた」という石川は
「先に行っていいよ」という甲斐慎太郎の言葉にも後押しされ、足早にアテストエリアへ。
同じく7アンダーで終えた金亨成よりも一足先にスコアカードを提出し見事に明日の最終組を勝ち取った。
翌日のペアリングは、スコアの良い選手が後ろの組からスタートするが、同スコアの場合は
先にスコアカードを出した選手がより後ろになる。
「16番位から、どうすれば最終日最終組で回れるか考えていて、状況は把握していました」という石川。
18番グリーンからクラブハウスまで速かったですねとの問い掛けに、「そうですか
僕は普通な感じでしたけど」と応じたが、その顔は嬉しさを隠せずにほころんでいた。
この日は、2バーディ2ボギーとスコアを伸ばせなかった石川。
特にショートアイアンでグリーンを外すなど、“らしくない”ミスも目立ったが、原因は掴めている。
「大きめのクラブで小さく振りたい時、スリークウォーターのショットなどでトップの形に
ばらつきがあった」という石川は、ホールアウト後の練習場ですぐに問題箇所を確認。
「修正出来ました」と、自信を覗かせた。
首位の鈴木亨との差は6打と大きく離れているが、狙い通りの最終組に入り、逆転の道筋も描けている。
「優勝するには、14アンダーは出さないといけないと思う。
でも、15番までに3つか4つ伸ばせていれば、最後の3ホールで3連続バーディもあるし、イーグルもある。
大きな運が必要だけど、奇跡的なことが起これば優勝できるかも知れない」。
ここまでの3日間は順調という石川。
昨年大会は3位から3打差を逆転してプロ初優勝。
大会連覇を狙う今年も「たなぼた」と照れる最終組から6打差逆転を目指して残り18ホールに挑む。
メディアももっと勉強を藤田が苦言
通算8アンダーの2位でホールアウトした藤田寛之が、珍しく憤りを露にしていた。
「最後は3パットね。カメラの人が動いて、サードでもタイミングを外されて…。
映像を撮りたいっていうのは分かるけど、その前にちゃんとプレー出来る環境を整えないと、本末転倒でしょう」。
藤田が話していたのは、この日の最終18番での出来事。
最終組で回る藤田が、レイアップした3打目を打とうとした際、一組前でホールアウトした
石川遼を追い掛けていたテレビカメラが、グリーンサイドに戻ってきて、藤田の視界に入ってきた。
これを嫌って仕切りなおした藤田だが、3打目はバックスピンが掛かりすぎてピン下10m程に落ちてしまう。
バーディパットを1.5m程ショートさせると、この大事なパーパットを打つ前にも、
再び三脚を取りに来たというテレビクルーの動きが気になり、集中力を欠いてしまう。
結局、このホールを3パットのボギーとし、冒頭の怒りの言葉に繋がった。
「それのせいにはしたくないけど、もっと勉強して貰わないと。
(メディアとの)勉強会もやっているけど、全く生かされていない。
基本中の基本なんだから、ギャラリーの事を言う前に、関係している人たちがしっかりやらないと」。
藤田の言葉はもっともだ。
プレーしているのは石川だけでは無い、というのは我々メディアがもっと真摯に受け止めないといけない事実だろう。
現場での動きだけでなく、記事の扱いに関しても同様だ。
それは、ゴルフ界の発展という共通目標に向けて、関係者が協力して取り組んでいかなければいけない課題といえる。
選手達の優しい対応に感謝ですね遼君
しっかし良く転がるグリーンだこと
さ~最終日最終組は9:30スタートです
スカパーは8:OOから1Hから9Hまでを流してくれます
今朝も遼君の練習風景が長く流れて早朝の忙しい時間帯はもう大変です
見るのに・・・あたふたします~
TV朝日は14:00からOAです
今日のスコア
その内配信されるハイライト3日目
今日の紙面から
遼360ヤード連覇へ飛ばす
石川遼が「マスターズ当確V」へ2打差2位に浮上した。
18番パー5で360ヤードのビッグドライブを披露してバーディーを奪うなど69をマーク。
通算7アンダーまでスコアを伸ばした。
大会連覇なら現在36位の世界ランクは、30位前後まで浮上する見込みで「年末時の同50位以内」が
得る来年マスターズ出場権獲得が確定的になる。
星野英正(32)が69で回り通算9アンダーで首位を守った。
手応え以上に、実際の飛距離は伸びていた。
最終18番パー5。
石川のドライバーショットはフェアウエーを突き抜け、360ヤード地点の右ラフまで飛んだ。
「あそこまで飛んでいくとは思わなかった」。
約20ヤード手前にあった同組の小田龍の球を、一瞬自分の球と間違えたほど
本人にとっても驚きの一打だった。
「今日1日の中でも最後はいいショット。スムーズに振れた。
意外と力は入れなかったけど、アドレナリンが出てヘッドスピードが出たのかも。
すごくうれしかった」。
第2打は8番アイアンで2オンし、2パットで楽々バーディー。
初の同一大会連覇へ、2打差2位の好位置で予選を終えた。
ドライバーの不調に不満げだった初日から、調整を重ねた成果が出た。
「(トップで)右足のつま先に体重が乗りすぎていた。
それと重心が上すぎて、体の上下動も多かった。
かかとに乗せて、重心も下げることで、いいスイングができた」。
フェアウエーキープ率35・71%は初日と同じ数字だが、大きく曲げたトラブルは1度もなし。
「ストレスがなかった。やるべきことをやれたラウンド」と振り返った。
大会連覇で今季5勝目を挙げれば、来年のマスターズ出場に早くも当確ランプがともる。
今年は特別招待枠での出場だったが、年末時点で世界ランク50位以内に入れば
来年の出場権を手にでき、現在36位。
関係者によると、現時点でもすでに出場権獲得濃厚で
「今後予選落ちが続いても、年末までの8週間で50位以下に下がることはないはず」という。
仮に今週勝てば30位前後まで浮上する見込みで、2年連続の夢舞台が確定的になる。
「2日間のスコアはこれ以上ない。100点に近い。
明日も我慢して、最終日に最終組で回れるように頑張りたい」。
賞金ランク1位奪回、来年のマスターズ出場につながる勝利へ。
手応えは十分だ。
大切な日忘れかけ、ごめん
なんて薄情なんだろう。
あの日の恐怖とショックは今でも克明に覚えているけれど、今年、その
10周年記念日を当日になるまで忘れていた。
99年10月25日。
米ツアー最終戦の取材に向かう途上だった。
空港のテレビモニターから臨時ニュースが流れ、人だかりができていた。
「フロリダ州オーランドから飛び立った小型ジェットが“無言”で浮遊飛行中。
有名プロゴルファーが乗っている」。
当初は「タイガー・ウッズかもしれない」と怪情報が交錯したが、やがて搭乗者は
その年の全米オープン覇者ペイン・スチュワートと関係者ら合計6人と判明した。
米空軍戦闘機が発進し、エスコート飛行を試みた。
「窓が真っ白に凍りつき、気圧異常が発生した模様。生存を示す反応はない」。
残酷な現実が報告された。
小型ジェットは4時間5分も自動操縦のまま大空をさまよった末、燃料切れとなり
サウスダコタ州の草原へ機首から墜落。
現場から「ソフトボールより大きい人体の破片はない」という報告を聞いたとき、
最終戦の会場は涙と嗚咽に包まれた。
機体の小さな亀裂が原因で気圧と温度が急激に低下。
スチュワートらは、ほぼ瞬間的に酸欠状態と凍結状態に陥り、死に至った。
ほんの5日前に取材したばかりの選手がこんな壮絶な死を遂げた
現実を受け止めるのはつらかった。
根っからのいたずらっ子だったスチュワートはカメラを向けると帽子で顔を隠す照れ屋のくせに
音痴と呼ばれながらも生バンドで歌ったり演奏したりする目立ちたがり屋。
明るくおどける三枚目なのに、ニッカボッカーズ姿は二枚目俳優並み。
米国を愛した彼は、米国が誇るスターだった。
メジャー2勝の後、高額契約に目がくらみ、クラブを変えて不調に陥った。
が、無名パターに助けられ、99年全米オープンでメジャー3勝目を達成。
優勝の瞬間、競い合ったフィル・ミケルソンの顔を両手でつかみながら自分の顔を近づけ
「キミはもうすぐ父親になるんだ。それに勝るものはないぜ!」と敗者を励ました。
最高の名場面だった。
悪夢は、そのわずか4か月後だった。
「気張りすぎるな。笑って生きよう」が口癖だったスチュワートは、42年の短い
人生の最後の年に思い切り気張ってメジャーを制した。
けれど最期の瞬間は、笑うこともできぬまま息を止めた。
あれから10年。
ペイン、大切な日を忘れかけて、ごめんね。
「気張って覚えてなくていい。思い出してさえくれればいい。ほら、笑って」。
そんなスチュワートの声を、もう一度だけ聞きたい。(在米ゴルフジャーナリスト)
「マイナビABCチャンピオンシップ」3日目を通算7アンダーでホールアウトした石川遼だったが
仕事はまだ終わっていなかった。
「(同組の)ヒョンソンがすぐにスコアカードをくれた」という石川は
「先に行っていいよ」という甲斐慎太郎の言葉にも後押しされ、足早にアテストエリアへ。
同じく7アンダーで終えた金亨成よりも一足先にスコアカードを提出し見事に明日の最終組を勝ち取った。
翌日のペアリングは、スコアの良い選手が後ろの組からスタートするが、同スコアの場合は
先にスコアカードを出した選手がより後ろになる。
「16番位から、どうすれば最終日最終組で回れるか考えていて、状況は把握していました」という石川。
18番グリーンからクラブハウスまで速かったですねとの問い掛けに、「そうですか
僕は普通な感じでしたけど」と応じたが、その顔は嬉しさを隠せずにほころんでいた。
この日は、2バーディ2ボギーとスコアを伸ばせなかった石川。
特にショートアイアンでグリーンを外すなど、“らしくない”ミスも目立ったが、原因は掴めている。
「大きめのクラブで小さく振りたい時、スリークウォーターのショットなどでトップの形に
ばらつきがあった」という石川は、ホールアウト後の練習場ですぐに問題箇所を確認。
「修正出来ました」と、自信を覗かせた。
首位の鈴木亨との差は6打と大きく離れているが、狙い通りの最終組に入り、逆転の道筋も描けている。
「優勝するには、14アンダーは出さないといけないと思う。
でも、15番までに3つか4つ伸ばせていれば、最後の3ホールで3連続バーディもあるし、イーグルもある。
大きな運が必要だけど、奇跡的なことが起これば優勝できるかも知れない」。
ここまでの3日間は順調という石川。
昨年大会は3位から3打差を逆転してプロ初優勝。
大会連覇を狙う今年も「たなぼた」と照れる最終組から6打差逆転を目指して残り18ホールに挑む。
メディアももっと勉強を藤田が苦言
通算8アンダーの2位でホールアウトした藤田寛之が、珍しく憤りを露にしていた。
「最後は3パットね。カメラの人が動いて、サードでもタイミングを外されて…。
映像を撮りたいっていうのは分かるけど、その前にちゃんとプレー出来る環境を整えないと、本末転倒でしょう」。
藤田が話していたのは、この日の最終18番での出来事。
最終組で回る藤田が、レイアップした3打目を打とうとした際、一組前でホールアウトした
石川遼を追い掛けていたテレビカメラが、グリーンサイドに戻ってきて、藤田の視界に入ってきた。
これを嫌って仕切りなおした藤田だが、3打目はバックスピンが掛かりすぎてピン下10m程に落ちてしまう。
バーディパットを1.5m程ショートさせると、この大事なパーパットを打つ前にも、
再び三脚を取りに来たというテレビクルーの動きが気になり、集中力を欠いてしまう。
結局、このホールを3パットのボギーとし、冒頭の怒りの言葉に繋がった。
「それのせいにはしたくないけど、もっと勉強して貰わないと。
(メディアとの)勉強会もやっているけど、全く生かされていない。
基本中の基本なんだから、ギャラリーの事を言う前に、関係している人たちがしっかりやらないと」。
藤田の言葉はもっともだ。
プレーしているのは石川だけでは無い、というのは我々メディアがもっと真摯に受け止めないといけない事実だろう。
現場での動きだけでなく、記事の扱いに関しても同様だ。
それは、ゴルフ界の発展という共通目標に向けて、関係者が協力して取り組んでいかなければいけない課題といえる。
選手達の優しい対応に感謝ですね遼君
しっかし良く転がるグリーンだこと
さ~最終日最終組は9:30スタートです
スカパーは8:OOから1Hから9Hまでを流してくれます
今朝も遼君の練習風景が長く流れて早朝の忙しい時間帯はもう大変です
見るのに・・・あたふたします~
TV朝日は14:00からOAです
今日のスコア
その内配信されるハイライト3日目
今日の紙面から
遼360ヤード連覇へ飛ばす
石川遼が「マスターズ当確V」へ2打差2位に浮上した。
18番パー5で360ヤードのビッグドライブを披露してバーディーを奪うなど69をマーク。
通算7アンダーまでスコアを伸ばした。
大会連覇なら現在36位の世界ランクは、30位前後まで浮上する見込みで「年末時の同50位以内」が
得る来年マスターズ出場権獲得が確定的になる。
星野英正(32)が69で回り通算9アンダーで首位を守った。
手応え以上に、実際の飛距離は伸びていた。
最終18番パー5。
石川のドライバーショットはフェアウエーを突き抜け、360ヤード地点の右ラフまで飛んだ。
「あそこまで飛んでいくとは思わなかった」。
約20ヤード手前にあった同組の小田龍の球を、一瞬自分の球と間違えたほど
本人にとっても驚きの一打だった。
「今日1日の中でも最後はいいショット。スムーズに振れた。
意外と力は入れなかったけど、アドレナリンが出てヘッドスピードが出たのかも。
すごくうれしかった」。
第2打は8番アイアンで2オンし、2パットで楽々バーディー。
初の同一大会連覇へ、2打差2位の好位置で予選を終えた。
ドライバーの不調に不満げだった初日から、調整を重ねた成果が出た。
「(トップで)右足のつま先に体重が乗りすぎていた。
それと重心が上すぎて、体の上下動も多かった。
かかとに乗せて、重心も下げることで、いいスイングができた」。
フェアウエーキープ率35・71%は初日と同じ数字だが、大きく曲げたトラブルは1度もなし。
「ストレスがなかった。やるべきことをやれたラウンド」と振り返った。
大会連覇で今季5勝目を挙げれば、来年のマスターズ出場に早くも当確ランプがともる。
今年は特別招待枠での出場だったが、年末時点で世界ランク50位以内に入れば
来年の出場権を手にでき、現在36位。
関係者によると、現時点でもすでに出場権獲得濃厚で
「今後予選落ちが続いても、年末までの8週間で50位以下に下がることはないはず」という。
仮に今週勝てば30位前後まで浮上する見込みで、2年連続の夢舞台が確定的になる。
「2日間のスコアはこれ以上ない。100点に近い。
明日も我慢して、最終日に最終組で回れるように頑張りたい」。
賞金ランク1位奪回、来年のマスターズ出場につながる勝利へ。
手応えは十分だ。
大切な日忘れかけ、ごめん
なんて薄情なんだろう。
あの日の恐怖とショックは今でも克明に覚えているけれど、今年、その
10周年記念日を当日になるまで忘れていた。
99年10月25日。
米ツアー最終戦の取材に向かう途上だった。
空港のテレビモニターから臨時ニュースが流れ、人だかりができていた。
「フロリダ州オーランドから飛び立った小型ジェットが“無言”で浮遊飛行中。
有名プロゴルファーが乗っている」。
当初は「タイガー・ウッズかもしれない」と怪情報が交錯したが、やがて搭乗者は
その年の全米オープン覇者ペイン・スチュワートと関係者ら合計6人と判明した。
米空軍戦闘機が発進し、エスコート飛行を試みた。
「窓が真っ白に凍りつき、気圧異常が発生した模様。生存を示す反応はない」。
残酷な現実が報告された。
小型ジェットは4時間5分も自動操縦のまま大空をさまよった末、燃料切れとなり
サウスダコタ州の草原へ機首から墜落。
現場から「ソフトボールより大きい人体の破片はない」という報告を聞いたとき、
最終戦の会場は涙と嗚咽に包まれた。
機体の小さな亀裂が原因で気圧と温度が急激に低下。
スチュワートらは、ほぼ瞬間的に酸欠状態と凍結状態に陥り、死に至った。
ほんの5日前に取材したばかりの選手がこんな壮絶な死を遂げた
現実を受け止めるのはつらかった。
根っからのいたずらっ子だったスチュワートはカメラを向けると帽子で顔を隠す照れ屋のくせに
音痴と呼ばれながらも生バンドで歌ったり演奏したりする目立ちたがり屋。
明るくおどける三枚目なのに、ニッカボッカーズ姿は二枚目俳優並み。
米国を愛した彼は、米国が誇るスターだった。
メジャー2勝の後、高額契約に目がくらみ、クラブを変えて不調に陥った。
が、無名パターに助けられ、99年全米オープンでメジャー3勝目を達成。
優勝の瞬間、競い合ったフィル・ミケルソンの顔を両手でつかみながら自分の顔を近づけ
「キミはもうすぐ父親になるんだ。それに勝るものはないぜ!」と敗者を励ました。
最高の名場面だった。
悪夢は、そのわずか4か月後だった。
「気張りすぎるな。笑って生きよう」が口癖だったスチュワートは、42年の短い
人生の最後の年に思い切り気張ってメジャーを制した。
けれど最期の瞬間は、笑うこともできぬまま息を止めた。
あれから10年。
ペイン、大切な日を忘れかけて、ごめんね。
「気張って覚えてなくていい。思い出してさえくれればいい。ほら、笑って」。
そんなスチュワートの声を、もう一度だけ聞きたい。(在米ゴルフジャーナリスト)