背寒日誌

2024年10月末より再開。日々感じたこと、観たこと、聴いたもの、読んだことなどについて気ままに書いていきます。

ジャズ喫茶~GENIUS

2010年04月14日 20時22分11秒 | ジャズ
 思い返せば今から40年前、高校3年ごろから5,6年間はジャズばかり聴いていた。渋谷の道玄坂を上って、ヤマハの手前を右に曲がったところは百軒店(ひゃっけんだな)と言って、行きつけのジャズ喫茶が2軒、「音楽館」と「スイング」があった。「音楽館」は「クルーヴィ」と名を替え、7年ほど前までやっていたが、ついに閉店してしまった。「スイング」がいつ閉店したかは知らない。百軒店の奥の方に「ありんこ」という小さなジャズ喫茶もあったが、ここもずっと前に閉店したようだ。「デュエット」という店もあった。
 それともう一つ、百軒店まで行かずに道玄坂の中ほどを右に曲がった小路の地下に「GENIUS」があって、ここへもよく通っていた。「GENIUS」は、私がジャズを聴きに行かなくなってからもずっとあって、平成になって中野新橋へ移転した。地下鉄・丸の内線の支線に中野新橋の駅はあるが、駅からちょっと離れた住宅街の小さなマンションの1階に今の「GENIUS」はある。新「GENIUS」へはこれまで4度ほど行ったことがあるが、先日久しぶりに訪ねて、70歳近い店長と昔話に花を咲かせた。移転したとはいえ、40年間、店を続けているのだからすごいものだ。
「40年前と同じスピーカーを使っているんですよ」と店長。
「この大きなスピーカー、憶えていますよ」
「レコードもあの頃と同じものをかけています」
 店長に「何かリクエストありませんか」ときかれたので、マイルスの「FOUR AND MORE」をかけてもらう。このLPは、私がジャズを聴き始めた頃、一番よく聴いていたものの一枚で、今聴いてもゾクゾクする。トニー・ウィリアムズのドラムに煽られて、マイルスもノリに乗って吹いている。
 ところで、昔の「GENIUS」は、前衛ジャズが多かった。オーネット・コールマン、アルバート・アイラー、アーチー・シェップ、アート・アンサンブル・オヴ・シカゴなどのレコードがよくかかっていたことを憶えている。今は、こういうジャズを聴く人は少ないにちがいない。店長の話によると、中野新橋に移ってからはハードバップ系のジャズをかけることが多いそうだ。
 ジャズ喫茶と言えば、明大前に「マイルス」という店があって、ここは場所も替えずに、多分50年以上続いている。駅から甲州街道に向かう商店街の端に、今にも倒れそうな古い二階建ての家屋があり、その二階にある小さな店。店長は女性で、彼女もすでに70歳くらいだと思う。最近ここへは行っていないが、たまに前を通りかかることがあるので、いつもまだやってることを確認し、ほっとした思いにとらわれる。夕方に開店し、夜の11時ごろまで営業しているだけで、商売というより店長が道楽でやっているようなジャズ喫茶である。「GENIUS」もそうだが、「マイルス」もCDはなく、LPレコードしかかけない。


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