二十年ほど前に、病床にあった亡父が読んでいた本がずっと気になっていて、ようやく手にとり今朝読了した。 司馬遼太郎の最後の小説作品だという韃靼疾風録は、読むのに二週間かかる大作だったが、親父の思い出もあって楽しい読書となった。 週に一度病床を見舞ったが、読むのが遅いようなので、進んでないねと聞くと、根気が続かないと言っていたのが忘れられない。病はそれほど人を疲れさせていたのだと今になって思う。 この長い長い物語を、親父は読み終えたのだろうかと思うと、なんだか切なくなる。