ある、診断

自覚症状はあった。
宣告されたあと、予感の的中に、ついにきたか！という思いだった。

禿げる兆候があると、行きつけの床屋のオヤジがズバリ診断した。
ちなみに部位はテッペン付近からである。

床屋暦五十年近いオヤジの、数千数万の視診触診ならびにたくさんの家族と、その一族の数代に渡る遺伝の状態を観察してきているオヤジの診断は、間違いなく当たるのである。医者なら臨床経験豊富というべきところだが、床屋だから臨頭経験豊富の大ベテランの診断である。

ここ一～二年、ドライヤーで髪を乾かす時に、髪の毛が柔らかくなったような感触がしていた。
密度が薄くなっているのだろうと思っていたが、オヤジの診断では、毛の質も変化してきているのだそうだ。

オヤジの話では、進行を防ぐ方法には決め手がなく、いろいろな努力をした人をみてきたが、ほとんどの投資が無駄になっているという。
得体のしれない育毛剤に金を使うより、美味いものでも食ったほうがためになるゾとのアドバイスをいただく。
もとよりそのつもりだ。

さて、禿げてからのプランであるが、これを機会に坊主にするのが楽しそうだ。
それとも、サンプラザ中野みたいにつるつるにするのも一興ナリ。

あまり禿げてからのことをあれこれ考えると、禿げる勢いにはずみがつきそうなので、このくらいにしておこう。