のほほん書斎(日高茂和)

これは、りっぱな見識だ!

テレビで,今は亡き古今亭志ん生師匠や先代の正蔵師匠の現役時代の収録番組が再放送された。

正蔵師匠の放送の時に気づいたのだが、番組のおしまいに、お囃子(出囃子)担当の演者と前座さん(だと思う未確認)の名前が流れたのだ。

昨今落語にスポットが当たってきているようで、テレビではけっしてスターではないが、実力のある落語家の噺を放送で聞ける機会が多くなり、ファンには嬉しい限りである。
そんな放送でも、お囃子さんの名前が放送されることはほとんど無いようだ。

相撲の世界で、大銀杏の結える十両以上の関取を落語の「真打」に例えるなら、相撲の幕下が落語の「二つ目」、相撲の三段目以下が落語の「前座」に例えられよう。
伝統の世界は、厳しい階級を登っていくという修行の道のりを進んで成長していく。
また、大看板と下積みと、その他の世話をする人たちがそれぞれ役割を果たしながら円滑に運営されていく。

三十年近く前の記憶だが、、ある女優さんが、映画公開日の舞台挨拶で、「どうか、カーテンが閉まるまで席を立たないでください。映画の製作に関わったすべての人の名前を見てやってください」と語った記事を読み、印象に残っている。
数多くの人たちの活動の集積のうえで完成する映画への見識からの言葉である。

寄席では、前座さんたちは大忙しらしい。
先輩を迎える準備、着物やお茶の世話、呼び込みや開演の太鼓、めくりや座布団の世話、出囃子に追い出しの太鼓・・・・・
前座さんやお囃子さんが活躍して、寄席が成立する。
その前座さんやお囃子の名前も、大看板とともに放送したのは、芸の世界と寄席文化を理解した、ひとつの見識だと思う。
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