カルカッタより愛を込めて・・・。

今月のアピア40のライブは3月21日(金)です。また生配信があるので良かったら見てください。

初アジ。

2022-04-04 12:23:58 | Weblog

 「なぜめぐり逢うのかを私たちは何も知らない。いつめぐり逢うのかを私たちはいつも知らない」

 と言うのは有名な中島みゆきさんの「糸」の歌詞であるが、これには文句の付けようがない。

 しかし、きっと私たちはなぜかは分からないが引き合い、出会う。

 きっと私たちはそこに意味を感じる。

 その過程では解釈と理解を繰り返し、物語り、いつしか受肉し、必要性を感じるのではないだろうか。

 私はあのサビキに出会い、やっとアジに出会った。

 それは十日前のことである。

 いつもの場所、海釣りしていた。

 アタリもなく、もしかして坊主なのかと嫌な予感が頭をよぎり始めていた。

 釣り竿を出して、四時間、すでにアタリもなく、周りの釣り人も釣れていなかった。

 私の左隣に「ここ、良いですか?」と新しい釣り人が来た。

 「どうぞ」と私は挨拶代わりの返事をした。

 しばらくすると、その彼がサバを釣り上げた。

 私は近くに駆け寄り、「おお、良いですね。サバが釣れましたね」と話し掛けた。

 彼は軽く頭を下げ返事をした。

 私は右隣に一人で釣りに来ていた女性に「向こうでサバが釣れましたよ。これからこっちにも回って来ますね。頑張りましょう」と伝えた。

 彼女は諦めモードから、少し元気取り戻し、微笑んだ。

 それから、彼はサバを何匹も釣っていた。

 その度、「凄いな」と私は彼に伝えた。

 そして、彼はアジを釣り上げた。

 海釣り初心者の私は釣り上げられたアジを生れて初めて見た。

 「ここでもアジは釣れるんだ」と心のなかで大喜びした。

 そして、隣の女性にも「アジが釣れましたよ。向こうの人が」と伝えた。

 この時期、まだこの場所ではYouTubeを見ても、アジの釣果報告は一切なかったので、彼女も少し驚いていた。

 隣の彼にどんな仕掛けを使っているのか、聞いて見ると、いろいろと教えてくれた。

 彼はぶっこみサビキで釣っていた。

 使っているサビキも見せてくれた。

 私はトリックサビキをしていたが、すぐにぶっこみサビキに変えた。

 隣の女性にも彼はぶっこみサビキで釣りしていることを教えると、彼女は浮き釣りをしていたが、彼女もぶっこみに変えた。

 すると、彼女はすぐにサバを釣った。

 「良かったですね」と声を掛けると、彼女は微笑んだ。

 「自分だけ釣れていないから、さぁ、頑張ります」と伝え、守備位置に戻った。

 隣の彼が立派なコノシロを釣り上げた。

 「要りますか?」と言われ、「ありがとうございます。食べます」と言って一匹いただき、続いて二匹のコノシロをもらった。

 隣の彼に「何が悪いのかな?ぜんぜん来ないな・・・」と言うと、「私のサビキを一つあげますよ」と言ってきた。

 「いやいや、滅相もない。良いですよ」

 「どうぞ使ってみてください」

 「買いますよ」と言ったけど、小銭がなく、私は結局、彼のお言葉に甘えた。

 彼の使っているサビキに換えると、すぐに三十センチはあるコノシロが釣れた。

 そして、すぐに次のアタリも来た。

 私に春が来た。

 {つづく}

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