「草もちの きな粉落せし 胸のへん ・虚子」、お菓子屋さんで買って来た「草もち」に黄な粉を掛けて二人で頂きました。
「故郷や 母がいませば 蓬餅 ・正岡子規」の句です。
私の育った田舎では「ヨモギ」を「もち草」と呼んでました。春になって芽生えてくると、どこの家でも「草餅」を自分の家で作ったものです。
お袋が新芽を摘んできて茹で、上新粉をこねて蒸し、もち草と一緒に捏ねます、白からだんだんに緑になっていくのを傍で見てました。小豆を煮て潰して餡子を作り、餅にまぶして「草餅」を作りました。素人ですから、お菓子屋さんのように餡を包むのではなく、餅を餡子で包んでました。
甘いものの無い頃でした、生菓子など買ったことはありません。子供たちは出来上がるのを傍で見ながら待ってました。大きな草餅を腹いっぱい食った幸せな気持ち、この歳になっても忘れられません。なつかしいお袋の草餅の味、もう口にすることは出来ません。
「おらが世や そこらの草も 餅になる ・一茶」
「桜もち 草もち 春も半ばかな ・正岡子規」