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とりとめのない違和感

2019年10月09日 21時37分39秒 | 障害者権利条約Vs障害福祉

とりとめのない違和感

今日の会議は本当に疲れた。いつもなら、こんなことを不特定の人が見るブログに載せたりしないのだ。特定の「友達」限定のFacebookに書いて終えるところだ。ただ、どうしても気になる。整理のつかないまま、残しておくことにする。

今日は、大田区自立支援協議会の相談支援専門部会で、「①個別支援会議を通して抽出された地域課題」と、「②個別支援会議を経ずに討論する地域課題」の2点を、年度中間報告にあたる本会を前にして整理する会議であった。

①では障害児童の事例から抽出する地域課題のまとめ、②ではいわゆる8050問題といわれる、家族介護に依拠してきた当事者と親の高齢化問題の地域課題のまとめであった。

特に①については、専門部会での5グループでの討議から出た課題抽出を作業部会で整理を試みたが、2時間討議してもやりきれず、ふたたび部会にかけることとなった。

何に疲れたか、といえば、自分の提起したことが記録に反映されないことだ。

先月の部会グループ討議でも、先日の作業部会でも、今回の部会の討議でも、ほぼ同じ内容を指摘してみたが、同様に、記録者の記録にも、グループ発表者の要旨にも反映されないのだ。

いずれも、決して不適切な指摘でも提案でもないと思うし、実際に討議の過程で反論や否定的な意見があったわけではない。

ちなみに、①の事例は実際の事例を加工した架空事例だ。小学校にあがった子どもがグループになじめず、注目が集まらないと他の子どもを殴ってしまう、という事例だった。
発達障害が疑われるが、母親はそのことに否定的で、比較的理解があったと思われる父親は離婚してしまった、としている。

どのグループも同様に、課題は母親の障害受容、3歳児検診、医療と福祉と学校の連携、といったことが出された。

僕が問題提起したのは以下のようなことだ。

専門的な療育が障害の軽減をはかるすべてであるかのような視点、早期に専門的な療育が介入することに重点化するのは、障害の見方として不適切だ。母親に問題があると決め付けるのもおかしい。本人を変えることよりまず環境を整えることに重点をおくべき。

長期的な視点では、障害福祉サービスのようなフォーマルな支援で支えられる部分は限定的で、また長期にわたって連続するものではない。地域のインフォーマルな関係性に支えられる部分は大きい。本人と家族が地域から切り離されないための環境保障こそ重要だ。

具体的には、地域の多くの子どもが利用する児童館や学童保育の場が、地域の同世代や、家族以外の親密な人たちとの接点になる。そこにいられるための工夫が必要。

親は平日は仕事、休日は子どもの世話に忙殺され、地域のコミュニティや、日ごろ支援に関わっている人たちともコミュニケーションを取る時間がとれず、結果として、家族が地域から孤立する。

具体的な提案としては2点をあげた。
(1)学校はすぐには変わらないとしても、学童保育や児童館は委託を受けている事業体によって受け入れに大きな差がある。特定の児童しか受け入れない閉鎖的なところもあるし、介護や見守りの必要のある児童の利用を拒まないところもある。放課後等デイサービスと学童保育の併用も可能だ。学童保育等から排除されないための取り組みをするべき。
(2)平日フルタイムで働く親が参加できるように、学童保育や放課後デイサービスは土曜日に親が参加できるプログラムを準備すべきだ。

というような意見と提案を繰り返したが、いずれもグループ報告、記録のどちらにも反映されなかった。
今日の最終的な全体確認の段階で、もう一度「どうしても言いたいこと」と問われていたので、ここで主張をすれば、今日の議論の記録としては残すことができたと思う。そうすべきだったのかもしれない。でも、ためらってしまった。

目の前で起こっていることが信じられず、混乱していたのだ。


実は、10年ほど前、自立支援協議会の障害福祉サービス専門部会に初めて招かれたころ、やはり発言が記録に残らない経験をした。
そのときは、医療ケアが必要な児童の受け入れ場所がない、という議題だった。当事者の親から、医療ケアが必要な児童を受け入れる施設が1箇所あれば、という話だった。僕は大田区に1箇所あればいいのではなく、日常的に利用される地域の施設で必要なケアが受けられるようにするべき、それは権利保障の観点から当然では、と意見を言った。区のメンバー(立場としてはオブザーバー)から、「石を投げないでください」というコメントをもらった。結果、この意見は部会の議事録には載らなかった。以降、「大田区の障害福祉の世界では、権利を言うことは石を投げることなのだ」とあちこちで言ったものだ。

ただ、今回は、3回とも、同席したグループメンバーも、記録者も、報告者も異なり、特に異論も出なかったにもかかわらず、3回とも同じように「聞き流された」のだ。

この部会の記録のルールだけは確認すべく提案した。
当部会の課題抽出において、抽象的な課題の存在だけは記録されるが、具体的な対応策を提案しても、なかなか記録されないことが多い。それは、具体的な対応策については個々の見解の違いもあり、現実に実行することへの評価も異なるからかもしれない。区として報告書に残すものとしては、見解が統一できない、また実行の担保が保障できない意見は掲載しない、は止むをえないかもしれない。しかし、部会内部の記録としては、実行の担保や見解の相違はとりあえず措いて、後の検討の資料として記録に残すルールにできないか。

かろうじてそのような提案だけは、した。

この何年間か、この、大田区自立支援協議会の相談支援専門部会において、僕の提起してきたことは部会の中でよく受け入れられ、反映もされてきたと思う。部会への参加は今年度を最後と決めているので、順調な推移を見届けていける、と思っている。そのことは大きく変わりはしないのだが、そして部会メンバーとの信頼関係は築かれていると思っているのだが、何か、寒いものがある。いまだによくわからない。

 

 


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