お話

日々思いついた「お話」を思いついたまま書く

ブラック・ジョーク『名医ハリー・7』

2008年11月03日 | 名医ハリー(ショートショート)
31
 ハリーが広告のポスターに用いられた。
 白衣でメスを持ったハリーがにこやかな笑顔でたたずんでいる写真の下に「私の後はジェームズ葬儀社にお任せを」と印刷されていた。


32
「今日は黒猫、大ガラス、ハゲタカまで見られるわね」
「だって、今日はハリー先生の手術担当の日よ」


33
「すみません、あの先生の後ろに付いているのは・・・」
 診察を待っていた女性が看護師に聞いた。看護師は不審そうな顔をした。
「ハリー先生の後ろですか? 誰も居ませんけど・・・」
「わたし、霊媒師なんですが、黒衣をまとって手に大きな鎌を持っているんですよ」
「それって、まさか・・・」
「ええ、死神です」


34
「ハリー先生、毎年この日には、一日外出するのね」
「今日の日付は、外科医になって初めて手術した日らしいわ」
「その記念日を祝っているのね」
「いいえ、患者さんのお墓にお参りに行くのよ」

35
「さ、手術は大成功ですよ。もう何にも心配はいりません」
「聞いた? ハリー先生、寝言なんか言ってるわよ」



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