中学に入ったばかりの、まだ小学生気分の抜けない頃。
学校が早く終わったときに、友達4、5人と誘い合って、ときどき銭湯に
遊びに行った。風呂には入るのだが、それが目的ではなく遊びに行くのだ。
午後3時頃、みんなで銭湯の前で待ち合わせ、入り口が開くのを待つ。
その時間だと、まだお客が来ないから好き放題に遊べた 。湯舟の中で泳いだり、
潜水したり、お湯をかけあってはしゃいでも、誰も怒る人がいない。
泳ぐといっても狭い浴槽だから、2、3かきもすれば反対側に着いてしまうが、
とても楽しかった。
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熱いが、私たちは顔を真っ赤にして遊んだ。
あるとき友達の一人が、どこから拾ってきたのか、折れて擦り切れた、
プラスチックの定規を持ってきた。 なにをするのかと思ったら、これで
みんなのオチンチンを計って、誰が一番か決めようぜ!
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全員面白い!
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みんなはタイルの湯舟のふちにソレを乗せ、次々に計っていった。
そのうち負けず嫌いのSは、先っぽを、涙目になって引っぱって計った。
「引っぱったらズルイよ!」
「うるせー!」
「そんならオレも引っぱるぞ!」
というわけで、全員、痛い思いして引き伸ばしたオチンチンを計りっこした。
誰が一番だったかは記憶にない。
男の子は銭湯好きが多かった。 あの天井が高く広々として、木の桶が
カラーンと響いたり、壁に描かれた富士山の絵がよかったのか。
それとも小さな庭に面した更衣所の縁台で飲む、瓶の牛乳がうまかったのか。
私も家に風呂があったが、夜、友達を誘って、家から5、6分のところに
あった堀川湯にはよく行った。
浴槽は3つに仕切られていて、真ん中が一番大きな普通の熱さの湯舟。
左側がかなり熱い湯舟で、右側の湯舟はドロリとしたこげ茶色のお湯で、
海草が入っているという大きな袋が沈んでいた。
熱い湯舟は大人でも入る人はごく少ない。 よく渋柿みたいなお爺さんが、
宙をにらむような恐い顔でジッと入っていた。 いかにも大人の入るところ
みたいで、私たちもその仲間入りをしてみたかった。 そして手先だけちょ
っと入れてかき混ぜたりすると、お爺さんは恐い顔で、
「ゆらすな!」
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きっと、『熱いじゃねぇか!
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まるで落語みたいだが、あの熱さは半端じゃない熱さだった。
形之医学・しんそう療方 東京小石川
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