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桜城 信濃 諏訪下社大祝の城 後に武田氏によって大きく改修された山城

2025-02-28 | 歴史

桜城は長野県諏訪郡下諏訪町にあります。諏訪大社下社の大祝 金刺氏の居館・神殿(ごうどの)に付属した城として古くに築かれた山城ですが、今見る姿は後に武田氏の支配下で大きく改修が行われたとされます。近年の公園化や耕作地化により改変を受け一部の遺構の原形が失われたようですが、規模の大きな堀切や竪堀を堪能することが出来ました。今回の参考資料は(1)「信濃の山城と館 6」宮坂武男著 2013  (2)ひなたGIS 長野県CS立体図 などです。

桜城 大祝・金刺氏の居館 神殿(現 下諏訪中学校)のいわゆる詰城として築かれた
 桜城は眼下に甲州街道と中山道が見下ろせる場所に占地し、山下の居館・神殿や諏訪湖も一望できる好立地でした。

桜城 Ⅰ郭(主郭)の展望台 からの眺望は素晴らしい
 Ⅰ郭には展望台が設けられていて、眼下の街並みや居館のあった神殿(現 下諏訪中学校)、諏訪湖などが一望でき、ここに築城した意図を納得できました。

桜城 鎌倉街道から登る道が城道
 登城路は昔の鎌倉街道からの道aを1から登る道が城道だったようですので、麓のコミセンに車を停めて登りました。途中には木曽義仲の矢倉、金刺盛澄の一念石などの史蹟があり説明版も立っていました。道ⅾから平場5・6へ登る道もありましたが、付近で作業中の方にお聞きしたところ「四駆の軽なら登れるよ」とのことでした。

桜城 鎌倉街道から道aの1を登る
 写真の平場に昔の鎌倉街道があり、左奥の道aの1を登ります。

桜城 CS立体図で見ると段々だらけ
 CS立体図で見ると、資料(1)の図では描き切れていない山腹の細長い段々の平場が見えますね。往時の帯曲輪も含まれていると思いますが、多くは耕作地の跡ではないかと思われます。
桜城 帯曲輪状の細長い平場が数多く見られる
 図3では主だった平場を描きましたが、図2のように斜面には無数の細長い平場がびっしりでした。一部には城郭遺構もあるでしょうが、耕作地跡も多いのではないかと思いましたがどうでしょう。

桜城 Ⅱ郭(二の曲輪) ブッシュで地表面は良く見えない
 資料(1)ではⅡ郭には竪堀イが登城路aまで延びていた可能性が記されていましたが、現況ではブッシュに覆われて明確に遺構の確認をすることはできませんでした。※CS立体図ではそれらしい地形が見えます。

桜城 平場3 馬出し曲輪かも
 道aがⅠ郭に入る直前の下段には資料(1)で馬出しとされる平場がありました。城道aは両サイドの多数の平場からの横矢とⅠ郭直前の虎口を守る平場3で源重に守られていたことが伺えました。なお、土塁が一部残存しているようですが、ブッシュに隠れて見つけられませんでした。

桜城 竪堀ア 東上から
 竪堀アは北側斜面を遮断する横堀のようにも見えるもので、写真左側上の平場からの横矢がかかる位置関係でした。

桜城 竪堀イ Ⅰ郭への横移動を制限する竪堀
 資料(1)によると、Ⅰ郭の北側の地名は城の腰といわれ、北側の沢からの侵入に備えて竪堀と帯曲輪の組み合わせで侵入を防いでいたようです。こうしてみるとⅠ郭の北辺には土塁があった可能性が有りそうに思えますね。※草に覆われていますがCS立体図だと竪堀イは明確

桜城 Ⅰ郭(主郭) 北西から 奥に展望台
 資料(1)によるとⅠ郭は2段の削平地だったそうですが、耕作地化や公園化に伴ってほぼ平らに整地されていました。十分面積がありますので、建物が建っていた可能性がありそうでした。

桜城 竪堀ウ 南側を上から 右手の手すりは公園化による
 南側の竪堀ウは写真のように手すりが付けられ、公園化に伴う見学通路となり遺構が一部失われていました。土橋部分も公園化に伴って一部が埋められていました・・残念!

桜城 水の手曲輪7 北東から
 桜城のⅠ郭東側には尾根を断ち切る大きな堀切-竪堀が4条ありました。尾根北側下端部には水場のある水の手曲輪7がありました。ブッシュに覆われて地表面は良く見えませんが、水の手を確認することができました。

桜城 堀切カ 北上から
 堀切カは自然地形の谷を利用したように見える大きな堀切でした。上端部は耕作地化で平場になっていて、原形は失われたようでした。

桜城 平場5 左下に平場6 東から
 この辺りも耕作地化で平場が造られたように見えました。遺構の原形は不明ですが、谷地形を利用した堀切カが6の下まで延びていたかもしれないと想像しましたがどうでしょう。

桜城は、古くから下諏訪地区を抑えていた諏訪大社下社の大祝の大きな権力により築かれ、武田氏が侵入してさらに強固で規模の大きな山城に造り替えたとする流れを感じる見学が出来てよかったです。