わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

映画「Unbroken」反日?真実?ただのバカ?

2014-12-18 | 時の話題
 北朝鮮を揶揄したコメディー、「The Interview」がえらい物議をかもしだし、SONYのお偉いさんのメールは流出するわ、公開時のテロ予告は出るわで大変ですが、同時に収入ジリ貧のソニーには随分と強力な宣伝となったような気がする今日この頃、暴露されたメールの中で「最低限の才能しか持ち合わせていない甘ったれ」と言われた、アンジェリーナ・ジョリーさんの(悪い方で)話題の最新作、「Unbroken」が、トーランス市で先行上映されたそうです。なぜトーランス市かといいますと、映画の主人公、オリンピック選手であり、太平洋で漂流し、日本軍の捕虜として収容所で時を過ごした実在の人物、ルイス・ザンペリーニ氏は、トーランスで育った「おらが街のヒーロー」だから。市内の小型飛行機用の空港が「ザンペリーニ空港」という名前であることからも、市にとっての彼の重要さが伺われます。そんな縁で、ザンペリーニ氏の遺児たちに加え、市長や市の歴史協会の関係者が公開前のプレミアに呼ばれたと伝えるのが、この「Daily Breeze」紙の記事です。

 ところで、ザンペリーニ氏が卒業したトーランス高校は今だ健在で、下の写真がそれなのですが:
   

 あれ?って思われましたか?そう、数々のハリウッド映画やドラマでお馴染みの美しい校舎、中でも「ビバリーヒルズ高校白書」のウェスト・ベバリーヒルズ・ハイの正体がこの高校。このドラマの撮影料で、トーランス市の教育委員会は長年に亘って大層潤い続けたそうな。でも、この市を潤している最大の財源は、撮影料ではありません。

 トーランス市は、Wiki先生の説明にあるように、「全米でも日本人及び日系アメリカ人が最も集中している都市の一つ」です。私も住んでいたことがありますが、日系人だけではなく、駐在する日本人も多く、和食レストランは数えきれないほど、日系スーパーもマルカイ、虹屋、Mitsuwaと全チェーン店が揃う、日本人コミュニティーが確立されている場所でもあります。トヨタが本社をテキサスに移すというニュースに「うちの娘婿もトヨタで働いてるのに、孫に会えなくなっちゃうよ~」と、泣きを入れてた市長というのが、当にこの記事に出てくる市長。市内の学校は、日系企業、特にホンダ、トヨタから巨額の援助を受けており、無論、市を支える税金をたっぷり払っている。トヨタの移転は、市にとって死活問題なのです。

 そんな日本人と日系企業に支えられまくっているにも関わらず、ホイホイと反日・抗日で話題になっている映画に大喜びなのは、一体どうよ?と、私は思った。原作は、日本人は古来からの習慣で人肉を食べる、なんて書いてある信憑性のおけないシロモノ。「らしい」「だろう」で創りあげたセンセーショナリズムを煽る内容のような気がします… って、ごめんなさい、本を読んでないのでなんとも言えませんし、読みたくもないんで。でも、実は映画は、噂とは裏腹で感情的に日本を貶めようとする内容ではないのか?とも、考えられるのですが、ネットで見た映画のポスターは、日本人としては感じのいいものではない。けったくそ悪いんで、自分のブログに貼りたかねーんで、Googleででも見てくださいな。

 この記事の出ていた「Daily Breeze」は、トーランスというより、お隣のBeach Cities:マンハッタン・ビーチ、ハモサ・ビーチ市、レドンド・ビーチ市の地元紙なのでツッコミが甘いのかもしれないけど、そういった日本での物議に全く触れられていないのを不思議に思って、意見を投稿してみました(またか!ですね、はい、分ってます)。私の投稿と、それに対する誰かの返事の和訳は以下の通り。その原文のDaily Breezeのサイトの画面キャプチャが、これ(クリックで大きな画面を見られます)。

わにこのいいたいこと
 この映画の公開は、日本では大いに待ち望まれています…悪い意味で。日本では、ザンペリーニが日本の捕虜収容所で受けた扱いが酷く誇張されていると言っています(日本人が米兵を食べたと??)私は、この映画が本当に反日なのかどうかを確かめるために、この映画を見に行くつもりです。ザンペリーニは疑いなく、トーランス市の英雄でしょう。そして同時に、トーランス市は多くの日本人と、ホンダや(少なくとも今のところは)トヨタの本社を含む日本企業の所在地でもあります。元トーランスの住民として、私はこの映画に対しては複雑な心境であり、本当に言われている通りの日本を貶めるような作品なのかどうかを一刻もはやく確かめたいと思っていますし、この作品が実はトーランスでは全く撮影されていないという事実に失望しています(トーランス高校は多くのハリウッド映画やドラマに登場した学校ですよ!)また同時に、この記事の中で、この映画の反日であるという噂に関する情報が全く含まれていないことにがっかりしました。


自転車乗りさんのおへんじ
映画について語ることはできませんが、日本人の手による捕虜の扱い、戦争犯罪の報告は、原作本の中で描写されているものと単純かつ明快に整合しています。もし、あなたが言うところの実存主義者的な見解が本当だとしたら、日本の収容所を運営していた多くの日本人は本当に化け物のような奴らです。それは以前の軍に支配された日本であり、今の日本には余り関係はありません。


 なんだか、思いっきり、私の意図と外れた返事来ちゃったんですけど… とりあえず、アンタの言う「日本人の手による捕虜の扱い、戦争犯罪の報告」ってののソースくれって返事しといた。こういう映画を黙って受け入れちゃうと、これが真実として根付いてしまう。モノイがある時は、きっちりモノイをつけとかねばならないというのが私の信条。かの「戦場のメリークリスマス」も、ネットのある時代だったら、随分と話題になったでしょうね。悪い意味でw