わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

二重国籍を考える

2016-09-22 | 時の話題
民進党の蓮舫代表が、台湾当局から台湾籍の離脱手続きが完了したとの連絡を受けたと発表しました。今回の蓮坊氏をめぐる一連の騒ぎのせいで、日本の二重国籍に関しての注目度が高まっています。
 
 日本は多重国籍を認めていないので、本来なら21歳時に日本国籍を維持するのか、放棄して他の区の国籍になるのかを決めねばなりません。ただし、これには強制力がなく、実際には多くの人が日本国籍を放棄しないままに、米国市民権を取得した後や、21歳を過ぎても、二重(か、もっと多くの)の国籍をキープしており、その数は3万人を超えるとも言われています。

 だけど、だからといって国政を左右する国会議員が、更に、首相となりえる可能性が少しでもある政党代表が、実は二重国籍でも良いのかは、全く別の問題だと思います。蓮坊代表の場合、台湾という正式に「国家」としては国際社会に認められていない国の国籍という特殊な事情ではありますが、本人が「自分のアイデンティティーは日本じゃないとまで言っているのだから、更に、その資格に疑問が残ります。

 ネットでは、蓮坊代表の国籍を問題視する人は外国人嫌いだとか、人種差別だと批判したり、スポーツ選手を引き合いに出す声もありますが、国家権力を行使する立場にある人を、スポーツ選手や一般人と同等に語ろうとするのは、頭の中がお花畑のアホなのか、はたまた、実は日本の国益を操作したい工作員なのかと疑ってしまう。

 その昔、私が働いていた国際機関にも、多くの出向国家公務員(キャリア)がいましたが、二重国籍が不可なのは普通に常識でした。国際公務員や外務省の2世も多く、勿論、日本国外で生まれて、その国の国籍を持っていた人も珍しくない。でも、外務公務員法で「国籍を有しない者又は外国の国籍を有する者は、外務公務員となることができない」と規定されているので、日本の国籍一択。また、かつては、日本国籍を有しない配偶者を持つ国家公務員は外務業務に就くことが出来ませんでした。他の省庁なら、海外勤務はしなければよいのですが、実際に、任地で現地の女性と結婚し、外務省を辞任した方も知っています。

 公務員ですら、このような制限を受けているのに、国政を左右する人が「親任せだったから、自分の国籍のことを知らなかった」で済ませられて良いのでしょうか?「二番じゃいけないんですか」発言も、彼女が舵を取った「仕分け」でスーパー堤防建築を中止したことによって、東北震災時の津波被害が悪化した可能性も、ものすごーく悪意に取れば、日本国家に対するテロに匹敵する行為といってもいいのではないでしょうか?



 アメリカでは、トランプがオバマ大統領はアメリカ生まれじゃない~、と、5年間も言い続けてたくせに、つい最近、あっさり覆しましたが、これは、8年前の大統領選中にも散々、議論されたことです。オバマさんが生まれたハワイ州の出生証明書(Birth Certificate)は、免許書サイズなので、小さいから偽物だと、調べもせずに議会で言った共和党議員が恥を晒したこともあったのに。

 ともかく、アメリカ大統領には、ただアメリカの市民権を持っている事だけではなく、アメリカ国内で生まれた事という資格規定があります。移民の国であるアメリカでさえ、トップには純粋性を求めているのです。一国の主席たるもの、常に自国を第一に考え、唯一無二として愛し、他国に目眩まされてはならないのだから、当然ではないでしょうか?

 そして欧州諸国は、移民問題に頭を悩ませている。難民が押し寄せ、国民と自分達の流儀を変えようとしない移民の間の軋轢を、更に悪化させ、テロが後を絶たない。世界は、国粋主義に向かいつつあるようです。私自身も異国に住んで、その国に恩恵を受けているんだけど、それ故に市民でないことの不利さも感じています。外国人と市民は、差別ではなく、区別されているし、蓮坊代表の2重国籍問題が取り沙汰されるのも、差別ではなく、区別だと思う。

 今まで何年間も、国の重要な立場にある人の出自が曖昧だったってのも吃驚だけど、このまま、また曖昧なままになっちゃうんだろうな、って予感もする。なんだかなー、日本には危機感が掛けているのかも?って心配しちゃいますよ。


最後にどうでもいいオマケ話
 実は、息子たちが生まれたワシントンD.C.の出生証明書も免許書サイズで、LAの中学校編入時に、事務のオバハンに、サイズが小さいから受け入れられないと言われました。大統領の出生証明書の事知らないの?ばーか、ばーか!(ホントにそう言ったわけではないが、大勢の前で派手に驚いて見せ、カッコつけた教頭が、そうだよ、キミ、知らなかったのかいとか言い出した)彼女には無茶苦茶嫌われて、顔合わす度に「フンッ!」ってされましたよ。面白いから、更におちょくった所為もあるけどw 言いたいことは、アメリカでも、こういった妙な差別が存在するってこと。

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