『源氏物語』28帖 野分(のわき)
夕霧、義母・紫の上に心を奪われる
光源氏36歳秋 太政大臣時代
夕霧15歳/紫の上28歳/玉鬘22歳
[夕霧、紫の上をかいま見る]
8月、野分(台風)が例年よりも激しく吹いた。
野分」(のわき)は、台風の古い呼び名。
※写真は、「台風での倒木被害」/無料(フリー)写真素材を使用
夕霧は風の見舞いに六条院を訪れます。風によって開け放たれた隙間から紫の上の御姿を垣間見て、樺桜(山桜)が咲き乱れるように華やかで美しい……と心打たれます。
山桜(やまぎくら)~バラ科の落葉高木。
4月頃に薄いピンクの花を咲かします。
※写真は、「山桜」/福岡で私が写したものです。
夕霧は、光源氏が息子の自分を六条院に住まわせないのは紫の上に近づけないためだろうと感じました。
光源氏は夕霧の魂の抜けたような様子から、直感的に紫上の姿を見たのだと見抜く。
[台風の見舞い]
翌朝、夕霧は六条院の花散里と秋好中宮とを見舞い、光源氏は明石の君と玉鬘とを見舞った。
夕霧は御簾の隙間から光源氏と玉鬘の親子以上の様子を見てしまう。
夕霧はまたしても玉鬘の美しさに心奪われる。
夕霧が三条宮に帰ると、祖母大宮が雲井雁に会いたいと内大臣に迫っていた。
【源氏物語28帖に出てくる主な登場人物】
光源氏(ひかるげんじ)
第一部、第二部の物語の主人公。亡き母にそっくりと言われている藤壺の中宮に恋をしてしまう。
その後も亡き母・桐壺更衣の面影を求め、様々な恋愛遍歴をたどる。
紫の上も、女三の宮も藤壺の姪である。光源氏は藤壺中宮の血縁者に強く心を惹かれる人生だった。
紫の上(むらさきのうえ)
幼い頃は、「若紫(わかむらさき)」と呼ばれる。
藤壺中宮の姪であり、顔がよく似ている。光源氏が生涯で最も愛した女性。光源氏は、紫の上が幼い頃に自宅にひきとり、育てて結婚した。
正妻ではないが、正妻格として周囲から扱われている。子はできないが、光源氏と明石の君の娘明石の姫君を養育する。
玉鬘(たまかずら)
頭中将と夕霧の娘。光源氏の養女となる。
源氏が放った蛍の光により、蛍兵部卿宮が玉鬘の姿を見るシーンがある。
光源氏も玉鬘を恋慕するが、最終的には強引な形で髭黒大将の妻となる。
夕霧(ゆうぎり)
光源氏と葵の上の息子。
イケメンだが、真面目で恋愛下手である。雲居の雁と妾の藤典侍だけしか
妻がいなかったが、柏木の没後、未亡人の落葉の宮に惹かれ、妻とする。
今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」(2024年)を解りやすく視聴見るために平安時代の勉強を兼ねて『源氏物語』のブログを書いています。『源氏物語』には、物語に欠かせない要素のひとつとして多くの「植物」が登場します。これなどを切り口に『源氏物語の花』や『源氏物語の風景』をブログで表現できたらと思っています。
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