もし、あなたの子どもに育てにくさを感じているなら、一読をお勧めします。
この本は、作業療法士の方が書かれたもので、
子どもの育てにくさのもとに、
本人のやる気のなさや、単なる不注意といった性質の問題ではなく、
脳の感覚情報の整理がうまくできていない可能性があることを指摘しています。
たとえば「自分からは触りにくるのに、触られるのは嫌がる」
といった子の場合、こうした子どもには、
優しく撫でられたり、頬擦りでさえ不快に感じるそうです。
これに気づかずに、よかれと思いスキンシップとして、こうした行動をつづけると、
「親でさえ自分に対して生理的な不快刺激を与える」という体験を
積み重ねる結果となり、「共感性」や「ひとが自分を支えてくれる存在であること」
を学びにくくなってしまう、ということでした。
こうしたことにならないようにと、
この著者は「子どもたちのよき『理解者』になるために」
というテーマを持ってこの本を書かれています。
そして、「育てにくい」子ども達にあらわれる「さまざまな状態像」を理解していくために、
「触覚」「固有覚」「平衡感覚」に問題がある場合、どういう状態像があらわれるか、
また、その場合、どうすれば改善されるかという具体策を提示されています。
この具体策は、「慣れさせる」「我慢させる」というものではなく、
感覚統合療法を通じて、それぞれの感覚の発達を促すことにより、
親にとっても、子どもにとってもストレスの少ない形で、
困った行動が改善する方法です。
触覚に問題のある子どもの場合は、
「散髪してもらうのを嫌がる」
「耳垢をとってもらうのを嫌がる」
「歯磨きしてもらうのを嫌がる」
「つめきりしてもらうのを嫌がる」
「鼻をかんでもらうのを嫌がる」
「口を拭いてもらうのを嫌がる」
「手を洗ってもらうのを嫌がる」
「お風呂で身体を洗ってもらうのを嫌がる」
など、健康のため、身だしなみを整えるための、親ならばあたりまえの養育行為に
抵抗を示す、と書かれており、
こうたんの場合も、結構あてはまっているような。
しかも、風呂場で急に怒り出し、噛み付こうとしたり、引っ掻こうとすることも。
これは、触覚防衛反応で、脳の中での「原始系」=本能的な触覚の機能が
暴走してしまい、本能的な攻撃形態である「噛みつく、ひっかく」という行動として
あらわれたのだと説明されています。
こうたんが、触覚が未発達なのかどうかはともかくとして、
ともかくトラブルなく身体を洗えるようになるならと、
紹介されていた方法をいくつか試してみることに。
まず、身体を洗う場面では、「一定の圧力」で「場所を固定して」触る
のは不快ではないということと、触っている部位を注目させると識別系を
発達させるのによい、ということで、
「肩!肩!肩!」「肘!肘!肘!」など
リズムにのせて、タオルを押し付けるように洗うと、
身体をあらわせるのにあまり抵抗を示さなくなり、
また、楽しそうに合いの手を入れてくるようになった。
また、手探り遊びで、袋に入れたものを当てるゲームや、
目をつぶって手に書いた○とか×といった形をあてるゲームを
することにした。
こうたんの不器用さや多動ぎみのところも、
固有覚や平衡感覚の未発達が原因かもしれないので、
本の中で紹介されていた、シーツに隠れる遊びや
高いところから飛び降りる遊び、ブランコなどで大きなゆれを感じさせる遊び
など、できる範囲で試していきたいと思っています。
他にも、子どもの気になる様子一覧が記載されていますので、
もし、「育てにくいな」と感じる面があれば、
感覚統合療法、試してみる価値ありかもしれません。
まずは、「育てにくい子にはわけがある」を一読されることをお勧めします。
育てにくい子にはわけがある―感覚統合が教えてくれたもの 大月書店 このアイテムの詳細を見る |