[ 小魔人の小部屋 ] 枚方市の学習塾“ベスト学習会”の別宮利彦の一昔前の回顧録

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別宮利彦の『小魔人の小部屋』
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脳を鍛える

2005-09-25 | コラム

先日、「脳の世界」“脳をいかにはぐくむか”というテーマのシンポジウムに参加しました。
脳科学の第一人者たちによる講演とパネルディスカッションがあったのですが、中でも、東北大学の教授である川島隆太氏の講演が最も興味深く感じられました。子どもたちの間で流行っているNINTENDO(任天堂)のDSというゲームで、「脳を鍛える 大人のDSトレーニング」というソフトを監修をしており、ゲーム上の画面にもその顔が登場する教授です。CMでもやってたと思うのですが…。今回、ちゃっかりとそのゲームソフトのチラシが配布された資料の間にも入っていました。(なんや、宣伝しとんのかい!) 氏のシンポジウムには昨年も一度参加したことがあるのですが、脳科学の分野で現在行われている最先端の研究成果が紹介され、前回とはまた違った多様な角度から「脳」についての話が聞けて、とても有意義な時間を過ごすことができました。

中学の理科では、中2の2分野で脳のはたらきについてちょびっとだけ出てくるのですが(教科書改訂などでかなり削減された)、具体的にどの部分にどういうはたらきがあるかなどを学ぶ機会はほとんどないという状況です。

川島隆太氏は脳科学と教育との関連で言えば、脳のオデコの後ろにある前頭前野が思考や記憶、意思決定、コミュニケーションなどの働きをつかさどっています。また、前頭前野が命令を発することで、脳の、他の領域の機能がはたらくという点で、「前頭前野は、脳の司令塔」ということもできます。したがって、学力を向上させる秘訣は「前頭前野を鍛えることだ」と提唱しています。

前回のシンポジウムの際には、前頭前野がどういう状況で活性化するかを調べた様々な実験例を紹介していました。子供の脳機能を計測すると、前頭前野は、テレビゲームをしている時、ケータイでパチパチとメールを打ち込んでいる時はほとんど反応しない。一所懸命になって指先を動かしているので、一見、脳はすごくはたらいているのではないかと思われがちですが、実際は、脳は休憩しているに等しいとのことでした。それとは逆に、計算問題や文章問題に取り組んでいる時や両親とコミュニケーションをとっている時などは活性化すると説明していました。

昔から、「よみ・かき・そろばん」といわれますが、「読み書き計算のトレーニングで、読み書き計算そのものの技術が身につくだけでなく、前頭前野は活性化し、記憶力や認知力の向上も含め、総合的な学力が期待できると結論付けていました。

また、前頭前野の発達時期ということでは、0歳から3歳までと、11、12歳頃から18歳までの年齢で最も著しい発達があるのだととのことでした。よく、子どもの口から「化学反応式とか、連立方程式を勉強しても、実社会で別に役に立てへんやん?」とか「日本から出て行けへんから、英語なんか使えんでもええわ!」いうようなひねくれた主張があります。しかし、結局のところ、国語・数学・理科・社会・英語というツールによって、バランスよく脳を鍛えるということが、あらゆる面での成長となるのでしょう。肉体の筋トレでも同じです。腕立て・腹筋・背筋など、色々な方法によって、全身をバランスよく鍛えることが大切なのです。腹筋ばっかりやってて、腹の筋肉は6つに割れてるけど、腕立て10回もできない…なんて、カッコ悪いしね。勉強も全く同じですね。

脳科学の研究は近年、急激に進んでいます。これを学力向上に役立てる方策という上でも、はまだまだ可能性はいっぱいあるようです。脳科学の今後から目が離せません。