「おい、あれどうした」
「ああ、あれネ、済んだわよ」
お互いの共通の事柄をよく理解しあってるから出来る対話です。夫婦もこのツーカーの領域まで達すると安泰です。
「お砂糖は? ミルクは」
わかってるだろう、聞かなくとも」
私も覚えがあります。夫婦になりたての若い自分、これを連発してました。生まれ育った環境も歴史も違う二人が一緒になったのですから、最初からツーカーは通じません。男がこれを何度か繰り返すと、其のうちの女は無言で砂糖とミルクを一緒に出します。女が賢くなるのは良いのですが、男が「そこに置いといて」と言葉にだして伝えれば済むことなのです。
「おい、あれどうした」
「あれって、何よ」
「ほら、この間のあれさ」
「だから、そのあれって何なのよ」
そして段々エスカレートしてきます。
「馬鹿だなあお前、ほらあれだよ」
「馬鹿はそっちよ、何に言ってるの」
「何んだっ、このボンクラ」
長く夫婦をやってるとマンネリ化します。お互い何を言ってるのは察することが出来なくなってる状態です。
先日、私たちもこの状態になりかかりました。痛み止めの薬をボトルから取り出すとき2-3粒がテーブルの下にこぼれ落ちました。前日転んで腰を痛め、身体が曲がらす、妻に助けを求め、
「ほら、そこにあるだろう」
「分からないわよ、見えないのだから」
「見えないわけ無いだろうがーーー」
痛みも手伝ってか語気が荒くなる。
ふと我にかえり、一呼吸して妻に「馬鹿、何をやってるのだ」と言ったら,君はどうするかと聞くと、「馬鹿はどっちよ」と言い返すに決まってるわよ。なるほど、じゃー続けてみようかと、お互い、売り言葉に買い言葉の連続、こんなにも言葉があるものかと、イヤハヤ驚きです。仮想の口喧嘩、なかなか良いものです。是非試してください。