聖書のことばから  デボーション

聖書のことばから気づかされたことをつづっています。

礼拝メッセージ 「将来と希望を与える神の計画」

2024-11-17 13:39:17 | 日記

益子教会礼拝 メッセージ  聖書箇所   エレミヤ書 29章10-14節  タイトル  「将来と希望を与える神の計画」

 エレミヤ書とは、古代ユダ王国の最後の時期に、約40年活躍した預言者エレミヤが口述したものをバルクという書記により書物(巻物)に記させた書物です。エレミヤは北のイスラエル王国がアッシリア帝国に滅ぼされる前から、イスラエル・ユダの民が偶像崇拝をやめ、神へ立ち帰らなければ裁きが下り国が亡びるという神様からの警告の預言をしました。しかし人々は耳をかさず、かえって自分たちの王国はダビデ王朝が永遠に続くという神の約束に基づき、エルサレム神殿は神が守られるという確信を持っていました。そのため、エレミヤは偽預言者・反逆者として王、高官、民たちから迫害を受け、牢に何度も入れられ殺されそうになりましたが、神様が彼を守られました。エレミヤは涙の預言者と呼ばれ、続く哀歌の作者でもあります。

 本日の箇所は、エレミヤからバビロンの地で捕囚となっているユダの共同体の人々宛ての手紙です。神様が選んだ民ユダ国はバビロニア帝国に包囲され、BC597年に第一回捕囚(3023人)が行われました。その捕囚の地で偽預言者が人々に、「バビロニアの勢力が衰えて、すぐにも捕囚民が故国に帰還できる」と予告しているという消息がエレミヤのところに届き、それに対するエレミヤの捕囚の民への手紙です。当時、ユダ王国でバビロニア帝国により、ゼデキヤ王が傀儡政権として立てられていました。このゼデキヤ王や高官とバビロンの捕囚の民の間に書簡が取り交わされ、それをバビロニア帝国が容認していたようです。

 エレミヤは偽預言者が言うように、すぐに捕囚は終わらないこと、つまり本当の神様の言葉を捕囚の民に伝えました。10節「主はこう言われる。バビロンに七十年の時が満ちたなら、わたしはあなたたちを顧みる。わたしは恵みの約束を果たし、あなたたちをこの地に連れ戻す。」70年間の忍耐の時となるので、捕囚の地で普通の生活をし、悔い改め、捕囚生活が長く続いても神による解放を待つようにと手紙に書きました。ユダの民の絶望と苦悩のただ中にあって、預言者エレミヤは神の将来と希望を与える平和の計画を(11節)、つまり、70年後の祖国帰還の恵みの約束として人々に伝えます。

 また、12-14節「そのとき、あなたたちがわたしを呼び、来てわたしに祈り求めるなら、わたしは聞く。 わたしを尋ね求めるならば見いだし、心を尽くしてわたしを求めるなら、 わたしに出会うであろう、と主は言われ」ました。心を尽くして神を求める者は神を見出すと、悔い改めて神を求める道を人々に指し示します。バビロニアで捕囚となったユダの人々は、以前のように神殿で礼拝ができませんでしたが、彼らは捕囚の身であっても比較的自由に普通に生活が継続できたので、安息日に集まって共に礼拝をすることを始めたのです。安息日に集まることで、彼らがどこにいても、捕囚の地であっても神が共にいて下さるという信仰が強められ、後に会堂という場所に集まるようになって、現代の世界中で散らされて住んでいるユダヤ人の生活に今でも引き継がれています。

 そしてこの捕囚の時期に、今の旧約聖書の編集がなされていったと言われます。彼らは祖先から伝えらえてきた伝承や記録から、なぜ今自分たちがこのような苦しい目に遭っているのか、過去を振り返る時となりました。すると、神様がモーセを通してイスラエルの民に与えた律法をイスラエルの民が守ることで祝福があり、守らなければ呪いとなるという神との契約が記されていることを知りました。彼らにふりかかった禍いは、イスラエルの民が偶像崇拝を行い、神との契約を破った結果であることをようやく自覚したのです。

 こうして彼らは、エレミヤを通して告げられた神様の言葉や、同時期に捕囚の地で活躍した預言者エゼキエルの預言を聞き、神様を求め、悔い改めたのでしょう。ユダの人たちは、このバビロニア捕囚以降、律法を守り、偶像崇拝は一切しなくなりました。しかし、彼らはまだ古い契約の下にとどまっていたので、律法を守ることで自分の救いを達成する律法を守るという教義に発展し、たくさんの生活上の規則をこの時期以降作り上げていき、律法主義が形成されていきました。表面上律法を守っているから自分は正しいと自負し、心は神様から離れ、そして他人を裁き、律法を守ることを他人に強制しました。イエス様は、このような律法主義に対してファリサイ派や律法学者と対決されたのです。どんなにうわべだけ律法を守っていても、心が神様に真剣に向いていなければ、結局神様から離れていきます。キリスト教であってもその後、その歴史において、何度人間は、形だけの礼拝・宗教に陥り、それに対して神様から示された人々が宗教改革や、原点回帰を求めて霊的覚醒運動が起こってきたことでしょうか。

 現代に生きる私たちは心を尽くして神様を求めているでしょうか?イエス様は、マタイによる福音書7:7-8で「求めなさい・・・ 誰でも求める者は与えられ、探すものはみつかり、門をたたく者は明けられる。」と言われています。誰でもと言われているので、イスラエルの民だけでなくどの人種でも民族でも、心を尽くして神様を求めれば神様は答えて下さる方であるから、求めなさいとイエス様は私たちにも言って下さっています。私たちは、心を尽く、想いを尽くし、力を尽くして主なる神様を愛し、そして、神様を見出す、つまり日々神様と新たな出会いが、御言葉を通して与えられます。そのために、常に聖霊の助けを頂いて、神様に祈り続け、悔い改めるべきことが示されたら素直に悔い改め、赦しを受け取り、また仕切り直して神様の導きを求めていきましょう。

 では、このエレミヤを通して示された神様の平和の計画、将来と希望を与える計画とは、ユダの民のためだけの計画なのでしょうか?この預言の言葉は、さらにもっと大きな、民族を超えた計画の一部分であることが、この後のエレミヤ書の31章31-34節の預言を通して私たちに理解を与えます。それは神様が新しい契約を全ての人に与えるという計画です。新しい契約があるということは、古い契約が存在するということで、それは神様とイスラエルとのシナイ契約です。それは、神様がモーセを通して民に与えた律法(十戒とその他の神の戒め)をイスラエルの民が守ることで祝福があり、守らなければ呪いとなるという内容で、民が守らなければこの契約は破棄となります。しかし、神は守れない民を見捨てず、憐れみの慈愛を持って、ユダの人々をエルサレムに帰還させ、神殿や町の城壁を再建することができるように、導かれました。ユダヤ人はその後、何度も困難な歴史が続き、現在イスラエル国はあっても、周辺国との戦争が続き、全世界に散らされている離散のユダの民はまだ一つに集められていません。神が遣わされた救い主、イエス・キリストを彼らがメシアとして信じていません。しかし神は彼らを神の民として選ばれたゆえに見捨てず、いつかメシアを信じて救われる時がくることが預言されています。

 新しい契約は十戒のように石の板に書かれた文字でなく、イスラエルの人々の心に深く記され、強制でなく、自由意志の選択によって神に従えるように、神様の側がしてくださるのです。この新しい契約はイエス・キリストの十字架の御業によってなしとげられました。イエス様は十字架にかかる前に、弟子たちと最後の食事の時に、「これは罪が赦されるように、多くのひとのために流される私の血、契約の血である」(マタイ26:28)「この杯は、あなたがたのために流される、私の血による新しい契約である」(ルカ22:20)と言われました。神様が私たちの心に、神様の律法を書きつけ、わたしたち個々人がこの神様の愛と赦しの契約に、自発的に応答するかが問われます。古い契約のように民族や血筋で自動的に契約が成立するのではなく、イエス・キリストの贖いを信じる信仰によって、信じるすべての人が新しい契約に入ることができます。これが新約聖書の、新しい契約の意義です。

 へブライ人への手紙9:15ではキリストは新しい契約の仲介者であると記しています。

「こういうわけで、キリストは新しい契約の仲介者なのです。それは、最初の契約の下で犯された罪の贖いとして、キリストが死んでくださったので、召された者たちが、すでに約束されている永遠の財産を受け継ぐためにほかなりません。」

 私たちは、イエス様の十字架の救いの御業を信じることで、エレミヤが預言していたこの新しい契約、 神様の愛と赦しの契約を神様と結ぶことができるのです。その新しい契約では、わたしたちが良い行いをすること、律法を守ることが要件はなく、一方的に神様の恵みとして与えられます。またさらに神の子供として永遠の財産を受け継がせてくださるとの約束が与えられています。

神様の御心、ご計画はヨハネによる福音書6章39-40節にこう記されています。

「わたしをお遣わしになった方の御心とは、わたしに与えてくださった人を一人も失わないで、終わりの日に復活させることである。 40わたしの父の御心は、子を見て信じる者が皆永遠の命を得ることであり、わたしがその人を終わりの日に復活させることだからである。」

 わたしたちはこの地上の生活において、与えられた聖霊の助けによって、神様に心を尽くして、神様の御心を祈り求めることができます。この神様の恵みに感謝しつつ、神様の最終的に将来実現される、神様の御心、平和の計画、将来と希望を与える計画を信じ、委ねて歩んで行きましょう。


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