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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和弐年(2020)3月9日(月曜日)弐
通巻6394号
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日本は心理的恐慌。「経済的な肺炎」を罹患した
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わかりやすく言えば「中国発伝染病」のコロナウィルス災禍であり、中国の隠蔽が災いして、全世界を恐怖に陥れた。
米国はいちはやく中国便を全面停止していたが、それでも西海岸ばかりか、ニューヨークでさえ、感染が拡大、同州は「非常事態」を宣言した。
実際に筆者も体験があって、内蒙古省の赤嶺とか、早朝に汽車でついて駅前のホテルに休憩したが、宿泊に切り替えようと要請すると、「外国人は宿泊できないことになっています」。「なぜ?」「そういう規則です」。
死者が3000名を超えたことは当局も認めたが、巷間言われているのは、「少なすぎる、その十倍ではないか」と公式発表への疑念である。
なにしろ天安門事件を「なかったこと」にしたほど隠蔽と情報操作には天才的な得意技を持つから、犠牲者数の誤魔化しなんぞ朝飯前である。
北京の「外国人特派員協会」(FCCC)は記者査証(ビザ)を盾に外国人記者を脅迫しているとし、ウォールストリートジャーナル、BBCなどが国外追放処分となったほか、1年のビザを半年に短縮されたものが12人いるという。
いや、中国を除くと、日本の被害が世界でももっとも深刻かも知れない。
中国人の入国を規制しなかった結果、感染者が増え続けた。これが最大の失敗で、一説に中国から執拗な政治圧力があって、アメリカ同様の措置がとれず、対策が後手後手になったからだともいう。
左翼メディアは安部批判に問題をすり替え、テレビは恐怖を煽るからトイレットペーパーの買い占めという珍現象まで産んだ。
自宅待機、在宅勤務、学校は休校となり、昨日(3月8日)から始まった大相撲大阪場所も、春の高校野球選抜も無観客体制。イベントは軒並み中止、東京五輪は開催そのものが危なくなった。プロ野球も無観客とし、これらの被害額は巨額、とくにフリーの舞台装置、楽屋関連は月収が十万円以下というのがザラだと言う(日経新聞、3月7日夕刊)。
政府は倒産の危機にある中少零細企業へ、無利子、無担保の融資を実行するとした。
上海株が「下落しなかった」。2月4日、旧正月明けに株価指数は2685・27だった。それが2月21日、世界が大騒ぎで株価下落に陥落する直前に3058・30に上昇していた。当局が投資家に「売るな」と厳命し、金融機関が無理矢理、株を買っていたからである。
二月末、宮崎市で筆者自身が目撃したこと。巨人のキャンプでもの凄い人である季節なのに、深閑として大通りに人影なく、レストランもガラガラ、「八紘一宇」の巨大なモニュメントのある平和台公園は、「いつもなら中国からのツアー客でバスが数十台駐車していますが、みて下さい。バスは一台もいないでしょ」とは乗ったタクシーの運転手のぼやき。
札幌の人通りの無さ、まるで武漢のようだ。
げんに中国で最終組み立てのアップルは、一万二千人の自宅勤務に踏み切った。
二度あることは三度あっても、イスラエル政局の混迷つづく ネタニヤフの「リクード」は第1党に返り咲いたが、連立しても過半数に届かず ****************************************
なにしろユダヤ人の民主主義原理とは「全員一致ならやめちまえ」である。 少数政党の乱立、単独過半の政党は存在せず、その上にアラブ政党があり、ロシアからの移民政党があり、宗教原理主義政党がある(国会=クネセトの定員は120名)。
2019年の四月と九月の二回行われた総選挙でも、少数党が意地をはったため、連立がもたつき、ああだこうだと大論戦に連立工作もお互いの意見が突っ張り合って収拾がつかず、「そんなら、もう一回選挙やろか」となった。
3月2日に国会議員選挙が実施され、五日までに選管がまとめた結果は、リクードが第1党に返り咲いたものの議席数は37(過半数は61)、第二党はガンツ元参謀総長率いる中道派の「青と白」が32議席。 「二度あることは三度ある」となったが、「三度目の正直」は実現しない。
おりからのコロナウィルス災禍で、イスラエルはユダヤ人の多いNYが非常事態宣言を出したため、米国からの入国制限に踏み切った。 これを国難と捉えての大連立構想が言われているが、ネタニヤフも、ガンツも応じる気配がない。それぞれが、独自に連立工作を進めている。しかし昨秋と同様に混迷、政局は暗礁に乗り上げている。
ガンツはいうには、裁判を控えているネタニヤフが党首にいすわる限り、連立には応じないとし、元国防相のリーベルマン率いる「イスラエル我が家」(7議席)も、ユダヤ原理主義者に対して認められている特権(免税、兵役免除)などの身勝手な制度を廃止せよと唱えているため、交渉が進まない。
嘗ての与党「労働党」の残党が組織する「メレツ」は7議席、アラブ系の政党が15議席を獲得しているため、アラブ国家に対して意見が異なるリクードのとの連立はあり得ず、パズルはうまく嵌らない。 やはり今回も「この道はいつか来た道」になりそう。
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2019年10月28日、中国当局に弾圧されている伝統気功グループ、法輪功の女性学習者の劉偉珊さん(51)が湖北省で死亡した。生前、劉さんは武漢市女子刑務所で、残酷な拷問を受け、精神に異常をきたした後、寝たきり状態になった。中国当局はかつて、まだ呼吸をしている劉さんを火葬炉に入れようとしていた。
法輪功情報サイト「明慧網」によると、劉さんは湖北省襄樊市の住民で、同市漢江機械工場(現在は中航工業航宇救生装備有限公司)の附属学校で教員として務めていた。勤勉な劉さんは人望の厚い人だった。劉さんは複数の持病を持ち、1994年に胆のう摘出手術を受けた。1999年初めに法輪功を修煉し始めてから、体調が良くなり、病の苦痛も和らいだ。
1999年7月20日、当時の国家主席である江沢民らが法輪功学習者に対して弾圧政策を実施し始めた。メディアは当局の指令の下で、法輪功に関する虚偽の報道を行った。劉さんは、親族、同僚や上司に、メディアの報道を信じないようにと説得したが、上司らは劉さんを勤務先に一時軟禁した。
2000年、会社は法輪功弾圧の専門機関「610弁公室」の職員らと共謀し、再び劉さんを拘束した。同年12月16日、劉さんは襄樊市の思想教育クラスに連行され、市警察当局の幹部に殴打された。その後、同市漢江派出所で2週間以上拘禁された。
2001年7月3日、地元当局は劉さんを市の労働教養所に入れ、61日間拘束した。劉さんは、人が直立できない鉄製の籠に5日間も閉じ込められた。
2002年5月、市当局が劉さんを再び地元の刑務所に連行した。そこで、劉さんはハンストを行い抗議をした。警官らは劉さんを市の第一医院に入れ、2週間にわたり強制灌食を行った。劉さんは一時危篤状態となった。
当局はその後、劉さんを自宅に帰した。回復した劉さんは、依然として市民に法輪功についての真相資料を配り、当局の宣伝を信じないようにと伝えた。2002年9月14日、劉さんは襄樊市第一看守所に拘束された。ここで、劉さんは裸にされ殴打されたうえ、口から胃まで管を入れられて1日2回の強制灌食をされた。灌食による拷問は1カ月間も続いた。同年10月13日、地元当局は劉さんに4年の懲役刑を言い渡し、武漢市女子刑務所に移送した。
武漢市女子刑務所は、法輪功の修煉を止めない学習者に、後ろ手に手錠をかけて、狭い暗室に閉じ込めた。暗室にいる学習者らに何日間も睡眠をとらせず、トイレにも行かせなかった。ハンストで抗議する学習者には、悪臭のする水を使って灌食を行った。精神的かつ肉体的な苦痛で多くの学習者が精神に異常をきたし、または死亡した。
劉さんも武漢市女子刑務所に入れられて数カ月で、精神状態が悪化し、生理が止まり、両腕が震え続け、両足で真っすぐに立つことができず、身の回りのこともできなくなった。刑務所側は、劉さんが死亡すれば、刑務所側の法的責任を問われるのを恐れて、刑務所内の医務室の職員に対して、劉さんに薬物注射を打つよう命令した。
2006年1月31日、危篤状態で意識不明となった劉さんは襄陽市364医院に搬送された。劉さんを見舞いに行った友人や同僚らは、「健康だった人をなぜここまで苦しめるのか」と悲しんだ。その時、劉さんは骨と皮ばかりに痩せこけて、全身が絶えずけいれんしており、目もうつろになっていた。
家族らによると、この時の劉さんは寝たきり状態になって、両足の筋肉が萎縮し、「之」の字に曲がっていた。劉さんは精神がほとんど錯乱状態になっていたが、時折看護師に「家に帰りたい」と話していた。
2011年8月、襄陽市「610弁公室」の職員と364医院党委員会書記の樊智勇は、病院のスタッフに、まだ息をしている劉さんを葬儀場に運ぶよう指示した。劉さんが火葬炉に入れられる直前、葬儀場の従業員が劉さんがまだ生きていることに気づき、火葬炉に入れるのを拒否した。
病院側は劉さんを連れて戻り、病室に監禁した。2013年、劉さんの同僚らが病院へ見舞いに行った際、女性看護師に「610弁公室」と病院側の命令で、「見舞いはできない」と阻止された。この時、劉さんはすでに植物人間になっていた。
2019年10月28日、劉偉珊さんは364医院で亡くなった。
湖北省武漢市の法輪功学習者は過去20年間、当局から残酷な迫害を受けてきた。明慧網の統計では、2019年、中国全土で約1万人の学習者が拘束された。武漢市の拘束者は217人に達し、各都市の中で2番目に多かった。なかには80代の高齢者もいた。
一方、武漢市広播電視局の元局長で、武漢市テレビ局のトップを務めた趙致真らは、1999年6月、法輪功を中傷するドキュメンタリー番組を制作した。江沢民がこのドキュメンタリー番組を使って、党内の他の高官に対して、法輪功弾圧政策に賛成するよう説得した。同年7月22日以降、国営中央テレビ局はこのドキュメンタリー番組を繰り返し放送し、世論操作を行った。
(翻訳編集・張哲)
中国副首相の武漢入りに住民が大声の罵声 「今頃なにしに来た」「お前らの無能が災禍を拡げたんだ」 ****************************************
孫春蘭は中国現代政治でトップの女性。現職の政治局員であり、国務院副総理である。御年70歳。 彼女は共産主義青年団のメンバーで、改革派とされるが、2012年に政治局員に選ばれて以来、注目され、同年には張高麗にかわって天津市長を兼務。また令計画失脚直後には女性で統一戦線部長にも抜擢された。 「働く女性」の象徴ともいえ、国民から人気がある。だから武漢に派遣された。
武漢の住宅地を孫春蘭が視察し始めると、住民がわっと集まり、拍手するのかと思えばまったく逆で罵声が飛んだ。 「今頃なにしに来た」 「お前らの無能が災禍を拡げたんだ」
武漢に非常事態宣言がでる八時間前に、共産党幹部らには事前に通達があって、およそ50万の武漢市民が逃げた。早朝に発表を聞いた武漢市民は、町が封鎖されており、逃げ場のないことを知った。
李克強首相がマスク姿で武漢を視察し、医療関係者を慰問したのは1月26日だった。二月になって習近平は北京の住宅街に現れて、アリバイ工作をしたが、ネットには「習近平よ、武漢へ行け」との書き込みで溢れた。
よほどの不人気を悟ったのか、中国共産党は不満の対象をすり替える作戦に転じ、日本が発生源であるかのようなキャンペーンを始めた。 「日本に同情する」などと言って、マスクや防護服を寄付するとした。
死者の数は鰻登り、中国のコロナウィルスによる死者はついに3000名を超えた 「ワースト5」は、 中国本土 3042 イタリア 197 イラン 124 韓国 42 米国 14 (数字は『サウスチャイナ・モーニングポスト』、3月7日付け)
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