本年5月1日、平成に代わって新しい元号が生まれる。
元号改正といえば、昭和から平成に移る際の新元号発表の記者会見が想い出される。当時内閣官房長官であった故小渕恵三氏が、新元号を墨書きした額を前面に掲げ、「新しい元号は『平成』であります」と発表した映像は、元号のことが話題になる度に繰り返し繰り返し放映された。
これで顔と名前を売ったからであるかどうか分からないが、小渕氏は、その後内閣総理大臣の椅子を射止めた。総理候補の本命ではなかったにもかかわらずである。
それ故、今年4月に予定されている新元号の記者発表を誰がするかは、次期総理候補と絡めて考えると、興味津々である。
新元号を発表するのは、内閣である。したがって、現時点において閣外にいる政治家には新元号を発表する役回りはやって来ない。この段階で無役の石破茂氏や衆院予算委員長として活躍中の野田聖子氏は、総理候補からも外れる。また、自民党の要職を占めている岸田文雄氏や小泉進次郎氏も、残念ながら候補外になる。ましてや地方公共団体の首長である小池百合子氏は対象外である。
現在内閣に属している人も、財務大臣や外務大臣、経産大臣は、職掌がら新元号を発表するにはふさわしくない。
前例を踏襲すれば、新元号発表の第一候補は菅義偉内閣官房長官である。しかし、この職にある人が内閣総理大臣のポストに少しでも色気を示せば、政府政党の要職から追い落とされることは、自民党の長い歴史から明々白々である。慎重な菅官房長官は絶対にこの役目を引き受けないであろう。
そうすると、新元号の記者発表をするのは、安倍総理しかいないことになる。つまり、安倍総理の後任は安倍総理ということであり、安倍総理の首相在任期間の更新が確実になる。
最近、安倍総理のメイン・ターゲットが憲法改正よりも長期政権記録の樹立に傾いているように思えてならない。いずれにしても、4月1日の新元号の発表を興味をもって待ちたい。