市ヶ谷日記

喜寿を超えた老人です。日々感じたことを、過去のことも含めて、書き記しておこうと思います。

コロナで混迷する米大統領選挙。クオモ大統領誕生か?

2020-06-23 | 独吟

 来たる11月2日のアメリカ大統領選挙は、共和党で現職のトランプ大統領と民主党のバイデン元副大統領で争われると思っていたが、ここに来てこの構図に変化が生じ始めた。アメリカで猛威を振るっているコロナウィルスが大統領選挙にまで影響を及ぼすようになったのである。

 トランプ大統領は、コロナ被害を最小限に食い止めるべく四苦八苦しているが、選挙を前にしてしくじりが目立つ。その上、白人警察官による黒人男性殺害で引き起こされた「Black Lives Matter !」においても、対応のまずさから逆風に見舞われている。彼が頼りにしている軍関係者や連邦最高裁、そして共和党陣営からも、否定的なコメントが浴びせられ、ボルトン前大統領補佐官からは暴露本まで出版される始末である。

 そのため民主党バイデン候補有利の声も上がっているが、バイデン以上に民主党の大統領候補の呼び声が高くなっているのがニューヨーク州知事のアンドリュー・クオモである。彼は毎日午前11時にテレビに出演し、コロナの状況を州民に説明している。コロナ対策をめぐってのトランプ大統領との論争では、ニューヨーク州住民の圧倒的な支持を得ており、規制を嫌うニューヨーク子がクオモ知事の指示に従い、コロナウィルス蔓延の防御に協力している。

 クオモ知事の経歴をSNSで調べると、彼の父親はイタリア系移民で、1980年代にニューヨーク州知事を勤めている。親子2代の知事であり、それなりにセレブである。また、彼の最初の奥さんはロバート・ケネディー元連邦司法長官の娘で、名門ケネディー家とも関係がある。

 更に、クオモ知事の13歳年下の実弟クリス・クオモはアメリカCNNテレビの人気ニュースアンカーである。彼は現在、たまたまコロナウィルスに感染していて、隔離中の自宅地下室からコロナ感染者ならではの放送を続けており、これが非常に高い視聴率を獲ている。

 民主党の大統領候補は、現在のところジョー・バイデン元副大統領である。彼は、全米各州の過酷な予備選挙・党員集会を勝ち抜き、8月17日ウィスコンシン州ミルウォーキーで開催される全国党大会で民主党の大統領候補に指名される手はずになっている。しかしながら、トランプ大統領の数々の失策にもかかわらず、いまひとつパッとしない。

 元々カリスマ性に欠けている上に、彼が高齢であること(1942年11月20日生まれ)が災いしている。大統領に当選しても就任時の年齢が77歳であり、歴代大統領でこれまで最高齢であったトランプ現大統領の70歳を大きく上回っている。これでは当選しても任期を全うできるかどうか疑わしい。

 トランプ大統領の人気は今、がた落ちである。もうちょっとほんの少しのところで民主党は政権を奪還できる状況にある。民主党員としては、バイデンより人気のある候補者を11月2日に予定されている大統領選挙(一般有権者による選挙人を選出する選挙)に送り出し、民主党大統領の出現を確実にしたいところである。

 クオモ知事は現在62歳。再選にも耐え、8年間の民主党大統領を望み得る年齢である。そして、コロナ対策では優れた危機管理能力とコミュニケーション能力を遺憾なく発揮し、トランプ大統領と対等、いやそれ以上の称讃をアメリカ国民から受けている。クオモ知事は「大統領選挙には出ない」と自ら語っており、またバイデンが大統領候補の地位を移譲することはないと考えられるが、これもコロナ次第である。トランプ対クオモの戦い、そしてクオモ大統領の誕生が夢物語ではないことを期待する。

 筆者は、トランプ以外のアメリカ大統領を切望してやまない。アメリカには、自由民主主義国家の盟主として、世界の平和と秩序を維持する警察官として、まだまだその役割を果たしてもらわなければならない。トランプ大統領はこれらの役割を忌避しようとしている。領土的野心の露わな全体主義国家の中国がアメリカに代わり世界を制覇することになれば、我々日本人の生活がどうなるか想像するだけでも恐ろしい。クオモ大統領の誕生を単なる夢物語で終わらしてはならないのである。


東京都知事選挙、コロナで小池知事の一人勝ち

2020-06-19 | 独吟
 東京都知事選挙が始まった。21人が立候補している。うち当選するか否かの議論の対象になるのは、無所属の小池百合子氏(67)、宇都宮健児氏(73)及び小野泰輔氏(46)の3氏、並びに「れいわ新選組」の山本太郎氏(45)及び「NHKから国民を守る党」の党首で「ホリエモン新党」公認の立花孝志氏(52)の5人である。
 なかでも小池氏は、現職であることに加え、コロナ対策をめぐってこの5カ月間、テレビに出ない日はなく、知名度抜群である。引っかかると言えば、「エジプト大学卒」という学歴詐称の問題だけである。
 政府与党の自民党や公明党は推薦・支持をしていないが、これらの政党は強い候補者に追随するしかなく、小池氏の当選は確実である。
 宇都宮氏は、これまで何回も都知事選に出馬(出馬断念)をており、「また出るのか」という感じである。この人の言ってることは、正しくまともであるが、都民が耳を傾けることはない。最大の弱点は、宇都宮氏が共産党などの支持を得ていることである。共産主義は、半世紀前まででは理想の政治制度として若者を中心に熱狂的な支持を得ていたが、崩壊したソ連邦、現存する中華人民共和国や朝鮮民主主義人民共和国の実態が知られるようになり、今では過去の遺物でしかない。
 山本太郎氏は、その選挙公約が激烈であり、こんな人物を日本の首都のリーダーに据えたら、悠久の歴史を誇る日本国が崩壊しかねない危機感を覚える。日本人の心情と歴史観に反する人物を都知事にしようとする馬鹿者はいないと考える。
 小野氏は東大法学部卒で、熊本県副知事であった人である。こうした経歴からどこか国の省庁のキャリア官僚かと思ったが、この人は、民間会社の社員を経て元東大教授であった現熊本県知事に請われて副知事に就任した人物である。したがって、東大卒であっても公務員試験に合格したわけでなく、司法試験に合格したわけでもなく、縁故で田舎県の副知事のポストに就いた人が気位の高い東京都職員を使いこなせるかどうか、不安が残る。
 最後に、立花氏は、選挙制度を利用して安いコストで売名するのが目的の「ホリエモン新党」公認であり、明らかに都知事を目指して立候補したとは考えられず、論評の対象外である。
 以上、今回の都知事選挙は、盛り上がりの乏しい静かな選挙になりそうである。低投票率による番狂わせがない限り、小池百合子氏当選ということになろう。これから4年間、明快で歯切れのよいしゃべり方をする彼女が正しく都政を運営することは確かであり、鈴木俊一知事の後、青島幸男、石原慎太郎、猪瀬直樹、舛添要一と続いた混迷の時代を乗り越え、東京都民は久々に有能な知事の下で都民生活をエンジョイすることになる。

横田夫妻は平和憲法の犠牲者

2020-06-07 | 独吟
 横田滋さんが亡くなった。拉致されためぐみさんを北朝鮮から救出するため、日本国民に訴え、日本政府に要求し、世界の有力者に嘆願して来た一生であった。しかし、痛ましいことに、生きてめぐみさんに会うことは叶わなかった。年端のいかない愛娘が突然姿を消し、直ぐ隣の北朝鮮に拉致されていたことが明らかになった後においても、娘さんを取り戻すことはできなかった。横田さんご夫妻の心情を思うと、いたたまれない気持ちになる。
 筆者は、横田めぐみさん拉致事件に関連して、「横田夫妻は平和憲法の犠牲者である」という思いを強くした。我が国が、平和憲法を堅持し、国民を守るための軍隊を保持していないことが、この事件を生み、解決することができなかった真の理由であると考える。
 我が国が軍事力を備えていれば、無垢の日本人を拉致するというような犯罪行為を犯す国は現れなかったであろうし、少なくともそうした行為を思いとどまらせる抑止力が働いたはずである。めぐみさんの拉致は、領土の帰属問題とか、戦時賠償の有無とか、といった国の運命を左右するような重大な国際紛争とは違うのである。
 我が国では今もって、「国家間の紛争は話し合いで解決できる」、「こちらから仕掛けない限り、相手は攻撃してこない」という前提で、現行憲法を堅持している。確かに、そういうこともあるかもしれないが、善良な日本国民を守るためには、日本政府が毅然とした態度を取ることができるよう手段を整えておく必要があろう。
 憲法改正の機運は熟していると思うが、これに反対する人たちの考え方を聞きたい。特に、熱病にかかったように平和憲法改正反対を声高に叫んでいる人たち、そして、理由もなく安倍政権に反対している人たちの、「北朝鮮の拉致問題」を前提にしての議論を聞きたい。