来たる11月2日のアメリカ大統領選挙は、共和党で現職のトランプ大統領と民主党のバイデン元副大統領で争われると思っていたが、ここに来てこの構図に変化が生じ始めた。アメリカで猛威を振るっているコロナウィルスが大統領選挙にまで影響を及ぼすようになったのである。
トランプ大統領は、コロナ被害を最小限に食い止めるべく四苦八苦しているが、選挙を前にしてしくじりが目立つ。その上、白人警察官による黒人男性殺害で引き起こされた「Black Lives Matter !」においても、対応のまずさから逆風に見舞われている。彼が頼りにしている軍関係者や連邦最高裁、そして共和党陣営からも、否定的なコメントが浴びせられ、ボルトン前大統領補佐官からは暴露本まで出版される始末である。
そのため民主党バイデン候補有利の声も上がっているが、バイデン以上に民主党の大統領候補の呼び声が高くなっているのがニューヨーク州知事のアンドリュー・クオモである。彼は毎日午前11時にテレビに出演し、コロナの状況を州民に説明している。コロナ対策をめぐってのトランプ大統領との論争では、ニューヨーク州住民の圧倒的な支持を得ており、規制を嫌うニューヨーク子がクオモ知事の指示に従い、コロナウィルス蔓延の防御に協力している。
クオモ知事の経歴をSNSで調べると、彼の父親はイタリア系移民で、1980年代にニューヨーク州知事を勤めている。親子2代の知事であり、それなりにセレブである。また、彼の最初の奥さんはロバート・ケネディー元連邦司法長官の娘で、名門ケネディー家とも関係がある。
更に、クオモ知事の13歳年下の実弟クリス・クオモはアメリカCNNテレビの人気ニュースアンカーである。彼は現在、たまたまコロナウィルスに感染していて、隔離中の自宅地下室からコロナ感染者ならではの放送を続けており、これが非常に高い視聴率を獲ている。
民主党の大統領候補は、現在のところジョー・バイデン元副大統領である。彼は、全米各州の過酷な予備選挙・党員集会を勝ち抜き、8月17日ウィスコンシン州ミルウォーキーで開催される全国党大会で民主党の大統領候補に指名される手はずになっている。しかしながら、トランプ大統領の数々の失策にもかかわらず、いまひとつパッとしない。
元々カリスマ性に欠けている上に、彼が高齢であること(1942年11月20日生まれ)が災いしている。大統領に当選しても就任時の年齢が77歳であり、歴代大統領でこれまで最高齢であったトランプ現大統領の70歳を大きく上回っている。これでは当選しても任期を全うできるかどうか疑わしい。
トランプ大統領の人気は今、がた落ちである。もうちょっとほんの少しのところで民主党は政権を奪還できる状況にある。民主党員としては、バイデンより人気のある候補者を11月2日に予定されている大統領選挙(一般有権者による選挙人を選出する選挙)に送り出し、民主党大統領の出現を確実にしたいところである。
クオモ知事は現在62歳。再選にも耐え、8年間の民主党大統領を望み得る年齢である。そして、コロナ対策では優れた危機管理能力とコミュニケーション能力を遺憾なく発揮し、トランプ大統領と対等、いやそれ以上の称讃をアメリカ国民から受けている。クオモ知事は「大統領選挙には出ない」と自ら語っており、またバイデンが大統領候補の地位を移譲することはないと考えられるが、これもコロナ次第である。トランプ対クオモの戦い、そしてクオモ大統領の誕生が夢物語ではないことを期待する。
筆者は、トランプ以外のアメリカ大統領を切望してやまない。アメリカには、自由民主主義国家の盟主として、世界の平和と秩序を維持する警察官として、まだまだその役割を果たしてもらわなければならない。トランプ大統領はこれらの役割を忌避しようとしている。領土的野心の露わな全体主義国家の中国がアメリカに代わり世界を制覇することになれば、我々日本人の生活がどうなるか想像するだけでも恐ろしい。クオモ大統領の誕生を単なる夢物語で終わらしてはならないのである。
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