心の支え。
その存在に気付いてしまった三毛猫。
色々と振り返る。
喜怒哀楽を確り出してる自分を目の当たりにして身体中から冷汗を流す三毛猫。
予想の範疇なんて綺麗に越えてしまい、挙げ句の果てに尻尾と耳を綺麗に立てて喜びを顕(あらわ)にしてる始末。
穴があれば潜りたい。
と、若干、羞恥に駆られつつも必死に冷静さを取り戻す。
無意識、怖っ!
只、その一言を発すると三毛猫はまた思考に沈む。
自分は何故、白狐に心を開き許したのか。
なんて云う思考は飽きたし、あまりにも答えが見えず建設的では無いので別の事柄に対して思考に沈んで居た。
何故、あのタイミングで白狐と縁が繋がったのか。
それは疑問であり、意味がある。
三毛猫はそう考えたのだ。
もし、あのタイミングで白狐と縁が繋がってなければ恐らくつい最近、起きた様々なイレギュラーを乗り切るのは不可能だったに違いない。
その自覚が有るからこそ三毛猫はこの縁に有難みを感じて居るのだ。
抑も己に不用な縁は繋がった事が皆無な三毛猫。
それ故にこの縁はとても意味が有るし、大事な縁なのだ。と、頭でも心でもちゃんと認識して居る。
けれどそれは…あくまで己にとってである。
故に思考を沈ませる点は白狐にとってはどうなのか。
此処に着目したのだ。
寡黙と云うか…
感情表現しないと云うか…
意見意志を表示しないと云うか…
兎に角、白狐は此方から水を向けないと中々、話してくれない。
口下手。と、言われたらそれまでだが。
それでも偶に核心を敢えて避けてる部分を感じるのだ。
そんな時は敢えて深追はしない。
それが三毛猫のポリシー。
だが、実際はかなり気になって居たりするのだ。
言葉にされない不安はあるもの。
けれど決して察しが悪い方では無い三毛猫はある程度ならば言葉を発した際の視線や口角から8割方は外さないで読み取れる。
けれど白狐に対しては少しだけ己の感覚はアテにしてはいけない様に感じて居る。
己が恋愛モードにスイッチが切り替わってしまってる中で信じるのは禁物。
無意識に己に都合のいい解釈になる場合がある。
流石に腐っても自己陶酔だけはしたくない三毛猫は判断が付けれない自信が無い又は酷く曖昧な事柄は何々かも知れないと、捉える様にしている。
が、かも知れない。って云う考えだけでは中々に厳しい心持ちになりつつあるのも事実。
だからと云って無闇に白狐に問いを投げ掛けるのも如何なるものか…
と、三毛猫は悩んでいる。
自分勝手な振舞いはしたくない。
更に焦ってる自覚はあるので、もう少し腰を据えるべきだ。
と、強く感じて居る。
けれど不安な気持ちが勝りつつある。
大丈夫かな?
これは不快じゃないかな?
この距離感でいいのかな?
様々な事を考える三毛猫。
己の振舞いにいまいち自信が無いのは三毛猫が単にコミュニケーション能力が皆無。と、云うのもあるが、過去の誤ちにも有るのだろう。
同じ轍を踏む事は避けたい。
同じ轍を踏む事により失うのは厭だ。
そんな強い気持ちが三毛猫に問い掛ける事に対してブレーキをかける。
そう、三毛猫は怖いのだ。
愚かな行いの果てに何もかもを失ってしまう事も言葉にされない不安を抱えたまま過ごす事も。
何方も三毛猫は怖い。
何だか最近、怖いと感じる事柄が増えたな。
そう、三毛猫は己を嘲笑する。
怖れを抱くと云う事は弱くなると云う事。
三毛猫はそう解釈している。
つまり三毛猫は己は凄く脆く弱くなったと認識している。
こんなにも弱くなるなんてね…
考えた事も無かったな…