読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

今野敏著「大 義 横浜みなとみらい署暴対係」

2022-07-23 | 今野敏
「ハマの用心棒」諸橋と陽気な相棒・城島、人間味溢れる刑事たちの活躍を描くスピンオフ集。みなとみらい署シリーズ。7つの連作短編。神奈川県警監察官の笹本に、県警本部長から呼び出しがかかった。みなとみらい署暴対係長、通称「ハマの用心棒」こと諸橋と、地元のヤクザである神風会組長・神野の癒着を懸念した本部長に、笹本は調査、報告を命じられる。折しもみなとみらい署管内で暴力団同士の傷害事件が発生。笹本は諸橋に会うため現場へと向かった・・・表題作「大義」。他に、テキヤがいなければ祭りが成立しなかった。ウェブ掲示板と暗殺計画・・・「タマ取り」。桜木町と伊勢佐木町・・・「謹慎」。マルBと見分けがつかない刑事・浜崎。強面に必要なこととは・・・「やせ我慢」。笹本監察官。報告・連絡・相談。自分に変えられないものを受け入れる。日本丸メモリアル・パークで・・・「内通」。ヤクザの本分・・・「表裏」。署の兵器、倉持の技・・・「心技体」の6編。面白く読み易い。一気に読み終えた
2021年3月徳間書店刊


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今野敏著「宋 棍」

2021-08-21 | 今野敏
「義珍の拳」「武士猿」「チャンミーグヮー」「武士マチムラ」に続く琉球空手シリーズ。 
幕末、琉球王国が滅びゆく時代に、国王の武術指南役を務めた松村宗棍。「手(ティー)」を学ぶ実在の武術家。強さとは何かを追い求め、琉球空手の礎を築いた男の生涯を描いた物語。「他人に勝つことなど、どうでもいい。自分の中に、絶対の強さを培え」・・・ 松村宗棍(そうこん)は13歳の頃、友だちをいじめる少年たちを打ち倒した。それによって高名な武術家・照屋に武の才を見出され、彼に弟子入りする。元服を迎えて首里王府の役人となるが、強さが評判を呼んで、国王に御前試合への参加を命じられる。思いがけず琉球屈指の強豪たちに挑むことになり・・・国王との交流、「最強」の妻との出会い、好敵手との決闘、猛牛との闘い、弟子の自害等々様々な出来事に直面しながら、彼は本当の強さを追い求めていく。東京五輪で空手の形で金メダルを取り一躍有名になった場面を思い浮かべながら一気読み。妻のチルーや親のことは書かれているが仕事と武術のことが中心の構成で個人的なことも知りたかった。
2021年6月集英社刊
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今野敏著「任侠シネマ」

2021-08-18 | 今野敏
任侠シリーズ第5弾。義理人情に厚いヤクザの親分・阿岐本雄蔵のもとには、一風変わった経営再建の話が次々と舞い込んでくる。今度の舞台は、北千住にある古いミニシアター映画館。TVやネットに押されて客足が落ち、映画館を経営する千住興行の増原社長も閉館を覚悟している様子。その上、存続を願う「千住シネマ・ファンの会」へ嫌がらせをしている輩の存在まで浮上する始末。「永神のオジキは、映画館の話でいらしたんですか?」興味津々の若い衆に、阿岐本組代貸の日村は心の中で溜め息をつく。困った人をほっとけず、さらには文化事業が大好きな親分の性分、暴対法でヤクザも生きにくい世の中、マル暴の甘糟に監視されながら、阿岐本組の面々は、存続危機の映画館をどう立て直すのか・・・。今回は乗り込んでではなく会社を取り巻く状況に対応して立て直す展開で、今回も笑わせてもらいました。2020年5月中央公論新社刊
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今野敏著「迎撃」

2021-06-14 | 今野敏
1994年9月実業之日本社刊「シンゲン」の改題作。内戦の続くサラエボを訪れた若きフリージャーナリスト・柴田邦久は、セルビア兵から英雄的傭兵である“シンゲン”という日本人の存在を知らされる。足取りを追いかけ、アフガニスタンからメキシコへ。メキシコの紛争地帯でサパティスタ民族解放軍に居た“シンゲン”にようやく出会った柴田は、取材を兼ねて危険を顧みず行動を共にする。戦いとは無縁の日本に生まれながら「生きるために戦う」と言い切る天才的傭兵シンゲン。やがてアフリカのルワンダに飛ぶこと・・・。設定も展開も奇抜で面白く一気読みでした。古武道・大東流合気柔術の使い手「シンゲン」のキャラがいい。
2010年7月徳間文庫刊 
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今野敏著「天を測る」

2021-05-21 | 今野敏
幕末~明治の数学者、海軍軍人にして財務官僚・小野友五郎。知られざる幕末の英雄の物語。安政7(1860)年、咸臨丸が浦賀港からサンフランシスコを目指して出航した。太平洋の長い航海では船室から一向に出てこようとしない艦長・勝海舟を尻目に、アメリカ人相手に互角の算術・測量術を披露。さらに、着港後、逗留中のアメリカでは、放埒な福沢諭吉を窘めながら、日本の行く末を静かに見据える。彼は帰国後の幕末の動乱の中で公儀、そして日本の取るべき正しい針路を測り、奔走する。読んでいてどこかでこんな人物がと、作者人気「隠蔽捜査」シリーズの竜崎氏とよく似てる。勝海舟・福沢諭吉・坂本龍馬・榎本武揚など有名人物の知れれざる一面が語られ面白かった。
「おしなべてこの世は足し算です。」(P72)「たりないものを補っていくことで、強くも大きくもなれます。」「己にないものを自覚し、他者のよさを認めて足し算をしていく。品格というのは、そうして育っていくものでしょう。引き算ばかりを考えている連中には、品格が備わることはありません」(P276)
2020年12月講談社刊

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今野敏著「帝都争乱 サーベル警視庁2」

2021-05-16 | 今野敏
舞台は日露戦争勝利で沸く東京赤坂。明治38年8月30日、ポーツマス講和条約では、国民の期待に反してロシア側から賠償金を一銭も取れなかったという『時事新報』の号外で、莫大な戦費捻出の為に増税に喘いでいた国民は怒りを爆発それまでの戦勝の喜びが消え去り、世間に失望と怒りが広がっていった。警視庁第一部第一課・葦名警部と岩井・荒木・岡崎・久坂ら四人の巡査たちは、赤坂榎坂にある桂首相の妾宅(お鯉)の警備を担当。九月五日、「講和問題国民大会」が日比谷公園で開かれ日比谷焼打事件が勃発する。暴動が広がるなか、伯爵の孫で探偵の西小路が妾宅で死体を発見。葦名警部たちは「騒擾による死亡」として片付けようとする赤坂署に疑問を持ち捜査を始めるのだが・・・・。新撰組生き残り斎藤一(藤田五郎)が助太刀として登場するは前作通リでいい味を出している。フィクションと歴史上の出来事(ノンフィクション)と取り混ぜて登場人物たちの人間味を楽しませてくれた。
2020年9月角川春樹事務所刊
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今野敏著「オフマイク」

2021-04-21 | 今野敏
「スクープ」「ヘッドライン」「クローズアップ」「アンカー」に続く報道番組の名物記者・布施と継続捜査担当の敏腕刑事・黒田の活躍するスクープシリーズ第5弾。二十年前に起こった大学生自殺と現役大物政治家の黒い人脈。二つを繋ぐ人物を追ううちに見えてきた意外な真実。黒田とペアを組んでいる若手刑事谷口の視点で展開される。イベントサークルと半グレに、今は成功したIT企業社長、人気の美人キャスターなどTVのニュース番組を支える面々、登場人物の描写と記者の布施と刑事の黒田の駆け引きなど馴染みのキャラの登場とちょっとご都合主義の展開に十分楽しめまたシリーズです。
2020年7月集英社刊
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今野敏著「清明 隠蔽捜査8」

2020-10-20 | 今野敏
シリーズ第8作。竜崎は大森署署長から神奈川県警本部の刑事部長として異動になり、神奈川県警刑事部長に着任早々、県境で死体遺棄事件が発生、馴染みの警視庁の面々と再会するが、どこかやりにくさを感じる。さらに被害者は中国人と判明、公安と中国という巨大な壁が立ちはだかることに。一方、妻・冴子が自動車教習所で軽い事故を起こすという一報が入り・・・。今回も「隠し事はせず筋を通す」正義を信じ、妥協せずに自分の本文を押し通す姿勢は公安とのやり取り、警察OBとの軋轢にも発揮され痛快です。続編が待ち遠しい気持ちです。
2020年1月新潮社刊
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今野敏著「焦 眉 警視庁強行犯係・樋口顕」

2020-06-02 | 今野敏
樋口顕シリーズ最新刊。東京都世田谷区の住宅街で投資ファンド会社社長の中年男性が刺殺され、捜査一課の樋口顕も現場に急行した。警視庁が特捜本部を設置すると、東京地検特捜部の検事・灰谷卓也が現れる。灰谷は野党の衆議院議員・秋葉康一を政治資金規正法違反容疑で内偵中だった。秋葉は殺された男性と大学時代から親しかったらしく、殺害現場付近の防犯カメラには秋葉の秘書亀田が映ってもいた。それらの事実だけを理由に灰谷は亀田秘書の身柄を拘束。樋口は証拠不充分を主張するも、灰谷は独断で逮捕に踏み切ってしまう。冤罪を作ろうとする地検特捜部と真犯人を追う警視庁特捜本部の競い合いを通じて、樋口の観方考え方生き様を描いて面白い。自己評価が低く、上司の顔色を窺い、部下を気遣い、家族も大切にする樋口。上司に対する忖度がテーマか。特捜本部の人間関係や政治家と検事、思春期の娘との関係など会話中心のこの著者の作品は読み易くいつもながら一気読みができる。
2020年4月幻冬舎刊
新型コロナの感染防止の為3ヶ月間閉鎖されていた市の図書館がやっと厳重な感染防止対策をして貸出のみ再開されて早速借りて来て一気読みした新刊書でした。
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今野敏著「炎天夢 東京湾臨海署安積班」

2019-12-03 | 今野敏

強行犯係長安積剛志警部等が活躍するシリーズ。グラビアアイドル・立原彩花の死体が江東マリーナで発見され、近くのプレジャーボートで被害者のものと思われるサンダルが見つかった。船の持ち主は、立原が愛人との噂がある芸能界の実力者、プロダクションサミットの柳井武春だという・・・。

芸能界の闇に、安積班メンバーがそれぞれの持ち味を出して事件の解決に立ち向かう。

お馴染みのメンバーの活躍、ぶれない安積など心理描写を面白い。意外性がないのが難点か。

20196月角川春樹事務所刊

 

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今野敏著「機捜235」

2019-10-26 | 今野敏

MOBAILE  INVESTIGATION  UNT235。警視庁第二機動捜査隊所属の高丸(34歳)の相棒としてやってきたのはすっかり髪が白くなった、皺の目立つ男「縞長省一」だった。機捜にこんな定年間際のロートルがきて、しかも俺のパートナーになるなんて・・・。しかし、縞長は独特の能力「見当たり捜査」の経験を秘めた刑事だった。次々に起こる事件を、時に痛快に、時に味わい深く解決していく機捜の刑事コンビの活躍を描いた九つの連作短編集の警察小説。

見た目や雰囲気はダメだけど合気道の有段者でもあるところなど実に良くできる、淡々と覆面パトカーで街を流して次々指名手配犯を捕まえていく様子はちょっと出来過ぎか?

20193月光文社刊

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今野敏著「キンモクセイ」

2019-10-07 | 今野敏

日米関係の闇に挑む本格的警察インテリジェンス小説。法務官僚の神谷道雄が殺された。警察庁警備局の隼瀬順平は神谷殺害事件の専任捜査を極秘に命じられる。神谷が日米合同委員会に関わっていたこと、コードネームらしい“キンモクセイ”という謎の言葉を残していた事実を探り当てる。しかし警視庁は捜査本部を縮小、公安部も手を引くことが決定される。やがて協力者である後輩の岸本行雄の自殺体が発見される。隼瀨はキャリア仲間の土曜会メンバーの木菟田(外務省),燕谷(厚労省),鷲尾(防衛省),鵠沼(経産省)とで情報交換をし,さらに同僚の水木と極秘に捜査継続。捜査本部の解散は.日米関係の圧力か,と考えているウチに,岸本の自殺は殺人の可能性も出てきて隼瀬自身が岸本殺害の容疑者として逮捕されそうになる。記者の武藤の計らいで野党代議士の力を借りることに。・・・・

「米地位協定ってのは、要するに、在日米軍は日本国内で好き勝手やっていいですよっていう協定だ。こんなもん結んでいるのは世界中で日本だけだ。」「共謀罪を含む改正組織犯罪処罰法が施行されたときに、こんなことを言ったやつがいる。俺たち公安はこれでようやく特高に戻れたってな・・・。」国家の秘密というが、国家って何だ? 国民を守るための器が国家なんじゃないのか?

日本の法律が及ばない米軍基地。基地を通じて自由に出入りするCIA達。普段は見えてこない日米関係の闇が怖い。政府の上に米軍があるかのような状態が戦後ずっと継続している現実に吃驚した。

キンモクセイ・・・「禁止の禁、沈黙の黙、制圧の制・・幻の監視システム。」

「マスコミの役割報道・教育・娯楽・警鐘つまり権力の監視」(P279)

2018年12月朝日新聞出版刊

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今野敏著「呪 護」

2019-08-28 | 今野敏

鬼龍と孝景シリーズ。常識では解決できない事件に、必ず現れる安倍孝景と鬼龍光一の二人。都内の私立高校で、男子生徒の西条文弥が教師の中大路力也を刺す事件が起きた。警視庁少年事件課の富野輝彦は、事件の供述に違和感を覚える。女子生徒の池垣亜紀と中大路が淫らな行為をしているところを目撃した西条は、彼女が襲われていると思ったという。だが、亜紀は、西条とは食い違う奇妙な供述をしていた。中大路が入院している病院に向かった富野は、そこでお祓い師の鬼龍と孝景に再会する。彼らがいるということは、間違いない、この事件は常識では測れないところで起きているはずだ。大災害の序章なのか?

二つの宗教組織の対立で起こった事件を、鬼龍と孝景、そしてトミ氏の末裔である主人公で少年課に属する富野が解決していく。その過程で、著者の伝奇的な知識が豊富に出てくるので、その方面に興味がある人はとても楽しめると思うのだが。・・・歴史的事実がちりばめられているのだが、ちょっと全体的にオカルトチックな感じで書かれているため、記述が全部作者の創作のように感じられて楽しめなかった。

20193月角川書店刊

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今野敏著「スクエア 横浜みなとみらい署暴対係」

2019-06-27 | 今野敏

「逆風の街」「禁断」「防波堤」「臥龍」に続く、横浜みなとみらい署シリーズ。神奈川県警みなとみらい署刑事組織対策課暴暴力団対策係係長「ハマの用心棒」こと諸橋のもとを県警本部監察官の笹本が訪ねてきた。県警本部長が諸橋、そして相棒の城島との面会を希望しているという。横浜・山手の廃屋で、中国人の遺体が発見された。被害者は中華街で一財産を築いたが、三年前から消息不明だった。事件の背後に暴力団関与の疑いがあると判断した本部長の要請で、所轄外ながら捜査に加わることになった諸橋と城島だったが・・・。

会話中心の文体は展開の面白さもありサクサクと読める。今回は何かと難癖付けるキャリアの笹本監察官が一緒に行動して、いつものメンバーや登場人物とのコラボがいい。後半の畳みかける展開は楽しめた。

2019年2月徳間書店刊 

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今野敏著「任侠病院」

2019-05-05 | 今野敏

任侠シリーズ第3弾。日村誠司が代貸を務める阿岐本組は、東京下町で長年ちっぽけな所帯を持っている。堅気に迷惑をかけない正統派ヤクザであったが、地元新住民の間から暴力団追放運動が起こってきた。そんなおり、組長の阿岐本雄蔵が、潰れかけた病院の監事となって再建を引き受けることになった。暗い雰囲気の院内、出入り業者のバックには関西大物組織の影もある。再建先と地元、難題を二つ抱え込んだ阿岐本組。病院の理事もさせられた日村は・・・。

どの登場人物もキャラが際立って展開も痛快。医療現場さえも暴力団のフロント企業の餌食とされている展開にビックリさせられた。耶麻島組との争いがあっさりしすぎてちょっと物足りなりなかったが病院の裏事情も解り、今回もこのシリーズは面白く一気読み出来ました。

201110月実業之日本社刊

 

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