読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

今野敏著「審議官 隠蔽捜査9.5 」

2025-01-27 | 今野敏
2006年から続くシリーズ第12弾。(スピンオフでは第三弾)信念のキャリア竜崎の突然の異動。その前後周囲にはこんな波瀾があった人気シリーズの名脇役たちが活躍する9つのスピンオフ短編。
米軍から特別捜査官を迎えた件で、警察庁に呼び出された竜崎伸也。審議官からの追及に、竜崎が取った行動とは・・・「(表題作)審議官」。家族や大森署、神奈川県警の面々など名脇役も活躍する、大人気シリーズのスピンオフ。「斎藤治警務課長は、全身から力が抜けてしまったように感じていた」たった今しがた、大森署を去っていった竜崎。新任の署長が一日遅れの時に事件発生・・・「空席」。「内助」「荷物」「選択」は、それぞれ竜崎の妻・冴子、息子・邦彦、娘・美紀の視点で描かれていて家族小説のようだ。竜崎の後任の大森署署長が新たに登場、美人で魅力的なキャリアの女性署長藍本百合子・・・「非違」神奈川県警に異動してからのエピソードも描かれる・・・「専門官」。「参事官」、「信号」は、「たてまえと本音」の相違、考え方が書かれた。一般の常識ではたてまえというのは表向きの意見で、本当のことは別にあるという意味に捉えられているかもしれないが、竜崎はたてまえこそが、真実だと断ずるのだ。なぜなら、たてまえを重んじることこそが、警察官僚の生きるべき道だと信じているからだ。鮮やかさ、爽やかさ、清々しさは何とも言えず、とにかく胸のすくような快感が、読んでいて全身に湧いてくる竜崎マジックが全編にあり満足感一杯の読後感でした。
2023年1月新潮社刊


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香能諒一著「鉄のほころび 刑事花房京子」

2025-01-27 | 香納 諒一
花房京子シリーズ第4弾。無人のはずの自動車修理工場で爆発が起き、アメリカで違法薬物を売って12年の懲役を受け出所後、国外追放された男田中精一が死んだ。現場に残されたパソコンから、国際テロ組織の指示による爆弾製作中の事故の可能性が浮上。警視庁がその線で捜査を進める中、花房京子は男の遺留品から疑問を持ち辿り接触したのは、元公安で犯罪評論家としてメディアを賑わす鉄の女と呼ばれる女性コメンテーター、角松麻由子だった。だが、週刊誌が角松と田中の繋がりをスクープし、事態は予想外の方向へ転がる。「鉄の女」の鉄壁のアリバイが一個づつ崩されていく展開。犯罪の裏に恋愛感情ありの結末は悲しみが残る。
2024年8月光文社刊

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青塚古墳

2025-01-23 | 
写真は青塚古墳。愛知県犬山市青塚の県内2番の大きさの4世紀に造られた前方後円墳を見に行きました。全長123m標高31mの立派な古墳。ここは私有地なので上には登れない。その為公園内にあるガイダンス施設を見学して古墳の周囲を歩いて、同じ犬山市内にある10k程離れた所の登ることが可能な東之宮古墳ヘ行き(全長72m)ウォーキング。古墳のある白山平に登る為に車の駐車場は犬山成田山のパーキングを利用。無料。

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雫井侑介著「互換性の王子」

2025-01-20 | さ行
互換性とは「置き換えても問題なく使える」という意味らしい。主人公は準大手飲料メーカー・シガビオの御曹司、志賀成功(なりとし)。彼はゴルフコンペの夜に泥酔して何者かによって別荘に監禁された。取締役就任と、意中の女性・山科早恵里とのデートを約束し交際を目前にしていたのだが。半年後、絶望の中で解放された成功が会社に行くと、退職扱いにされていて社内の状況は一変し、かつての彼のポストには突如現れた異母兄・実行(さねゆき)が入れ替わっていた。そして実行は早恵里にも近付こうとしている。「奪われたものは、奪い返さなければ」「仕事は作るか奪うかだ」、「与えられたもので満足していたら奪われた時に何も残らない」、「自分の力で地位を築いて替えの利かない人間にならなきゃ駄目なんだ」と、仕事に奮起する。成功は、事件の真相と自らの復権をかけて奔走する・・・。異母兄弟がビジネスと恋で火花を散らすエンタメサバイバルレース小説。監禁ミステリーかと読み始めたがビジネス小説のような恋愛小説のような主人公にあまり魅力を感じなかったがハッキリ物事を言う伴内星奈が良かった。「心から謝ってる人は許してあげなさい。それを許さないなら、あなた自身、一生引きずっていく覚悟が必要なのよ」(P152)
2023年12月水鈴社刊

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逸木裕著「祝祭の子」

2025-01-18 | あ行
2014年山梨県のある村にあった宗教団体コミューンで起きた大量虐殺事件。首謀したのは石黒望。彼女は幼い頃から軍事教練で鍛え洗脳してきた5人の少年少女を33人の殺人の実行役としたのだ。驚く事件に世間は震撼したが5人は年齢故に罰せられることがなかった。殺人を犯し生き残った子供は「生存者」と呼ばれ、その存在は多くの議論を呼んだ。時が経ち、生存者の一人わかばは警察に唯一逃亡していた石黒の遺体が発見されたと聞かされるが、その後何者かに自分も襲われる。共に暮らした仲間と14年目に再会するが彼らもまた被害に遭っていた。そんな過去と向き合いながら、襲い掛かる謎の刺客と対峙するサスペンス。大人になり、一般社会でひっそりと暮らしていた彼ら「生存者」の日常が突然崩されていく。SNSで身元をバラされ、次々とナイフで襲撃される。手口から相手は素人ではなさそうだ。敵は誰なのか。彼ら5人は生き残れるのか。主犯者の動機も、過去の契機も、一応書かれてはいるが納得できるものではないし、荒唐無稽な展開は不満だが、だからといって、まるで面白くないことはなくアクションミステリーゲームに引き込まれた如く、アクションシーンを想像しつつ、バイオレンスの映画の如く500頁楽しめた。後半小さなドンデン返しがセットされているが後味の爽快感は皆無。
「正義の本質とは、同質性の追求だ。正義によって染め上げられた社会では、異質なものは生き残ることは出来ない、正義を掲げる集団は、自分たちを同じ色に染めようとする。<お前は本当に正義なのか>と問い、答えられなければ排除されるだろう。すでに内ゲバがはじまっているのは、その証左だ。人は、そんなことでは結びつけない。・・・支配・被支配によってのみ、人は結び付けられるかも」(P100)
2022年8月双葉社刊




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柴田哲孝著「抹 殺」

2025-01-14 | さ行
2012年1月から2017年5月まで、日本国政府は自衛隊を南スーダンへ派遣していた。 過去にも自衛隊は海外派遣されているが、南スーダンでのPKO活動はその中で最も過酷とも言われている。その南スーダンでの過酷なPKOの中で、非戦闘地域での非戦闘活動のみとされていた自衛隊の活動が、実際には戦闘地域であった事などから、後に自衛隊日報隠蔽事件に発展する事となった。その自衛隊日報問題を題材に描かれた緊迫の軍事サスペンスミステリー。政府軍に占拠され人質になった国境なき医師団の邦人女性医師の奪還作戦を遂行し一人の隊員の犠牲者を出すも成功する。しかし、その作戦は隠蔽され、参加した隊員たちの命が次々と狙われていく。あの救出作戦は何のための闘いだったのか。「殺られる前に敵を殺れ」自衛隊特殊部隊「特戦群」では常に、そう教えられてきた。元自衛隊員の遺体がまた見つかった。共通するのは、政情不安下の南スーダンにPKO部隊として派遣された「特戦群」メンバーだったこと。俺たちは狙われている同じ隊に所属していた風戸亮司の疑惑は深まり、危機からの突破口を探り始める。時を同じくして長谷川麻衣子医師が南スーダンから帰国し愛娘と再会した。だがその直後、元夫は何者かにひき殺される凄惨な悲劇に遭遇する。彼の地に関わった者たちに迫る不穏な影の正体は? そして、その目的とは?史実と創作と虚実入り混じった小説だが愛知県内奥地過疎地で繰り広げられる在り得ない攻防はスリル感あり中々面白かった。
2024年9月光文社刊

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香能諒一著「川崎警察 真夏闇」  

2025-01-09 | 香納 諒一
「川崎警察 下流域」の第2弾。神奈川県警川崎署のデカ長・車谷一人の活躍を、昭和の刑事の生き様を描く警察ミステリー。舞台は沖縄返還を翌年に控えた川崎。京浜運河沿いで死体があがった。身元は暴力団員、伊波肇の母親照子。陰部をナイフで抉られ、腹部から腸がはみ出る陰惨な殺しだ。家族には手を出さないのがヤクザの掟のはずが対抗する組の犯行とするとなると、報復の連鎖で大変なことになる・・・。発見現場に臨場した川崎警察署捜査係デカ長の車谷一人は、軽のバンの荷台から不審な荷物を下ろして走り去ったふたり組の男がいたことを聞きつける。男の一人は足を大きく引きずっていたという。被害者は故郷の沖縄に里帰りし、事件当日午後二時着の飛行機で羽田空港に帰ってきた。だがその後の足跡が不明だった。翌年五月に沖縄は本土返還を控えており、帰郷はそれからの方が便利ではという大家に「返還されてからでは、遅い」と伝えたという。捜査を進めるうちに、有力容疑者として浮かびあがった男を、全力で探す車谷。だが、予想外のところで別の殺人事件が起きた。被害者は沖縄の開発や本土との交流に尽力しているという大阪の会社社長。本土復帰を目前にした沖縄を食い物にしようする者たちの暗躍が明らかになるにつれ、ふたつの事件が絡み合っていく・・・。昭和の世相をバックにその雰囲気漂う骨太で人情味に溢れた刑事の生き様が描かれていて、1971年の歴史的転換点の風景と臭いが又好い。沖縄の本土復帰以後も米軍基地問題、経済格差など解決されないことが思い浮かんだ。
2024年4月徳間書店刊  

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堂場瞬一著「ポップ・フィクション」 

2025-01-05 | 堂場瞬一
「POP FICTION」とは「通俗」。大正時代1920から1930年、出版華やかなりし頃。徳川夢声、谷崎潤一郎、作家や文化人たちが侃々諤々の議論を交わしながら、面白いものを作ろうと奮闘し、100万部突破の上昇雑誌を作くろうとする様を描いた人間ドラマお仕事小説。主人公の「市民公論」編集部の松川は、担当した企画のせいで、筆者が帝大を追われることになり窮地に立たされていた。奔走する松川に、主幹は驚きの決断を下し対立し衝動的に退職する。同じころ、当代きっての人気作家・菊谷は、「書きたいものを書く」ための雑誌を立ち上げようとしていた。1年の浪人の後、菊谷が立ち上げた文芸誌「文學四季」のテコ入れに参加する。関東大震災を経験してそこでも菊谷と対立して退職。大衆雑誌「エース」創刊に誘われる。主人公、菊池寛、芥川龍之介や中央公論、文芸春秋、講談社・キングなどの雑誌は仮名になっているのを想像しながら一癖も二癖もある登場人物たちやり取りを読むのも楽しかった。
2024年10月文藝春秋社刊 

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篠田節子著「四っの白昼夢」

2025-01-03 | 篠田節子
コロナ禍がはじまり、終息に向かった。これは目眩? 日常の隣にある別世界。分別盛りの人々の抱えた困惑と不安をユーモアと活力あふれる文章で描く四つの中編集。
ミステリー、人間ドラマ、ホラー、ファンタジー。売れっ子イラストレーターの妻、音楽家の夫。30代の夫婦が不動産屋の仲介で移り住んだ理想の家。しかし夫が出張中のある夜、天井から異様な物音がする。気のせいかも、事故物件か。そしてある日、夫婦は隣家の秘密を知ることになる。・・・「屋根裏の散歩者」
酔い潰れ、夜更けの電車内でヴァイオリンを抱いて眠る老人が、慌てて下りていったさいの忘れ物は、なんと遺骨だった。有名なピアニストと再婚した「才女好き」と噂された公務員の男の、四十年に及ぶ家庭生活に、秘められたものはいったい何だったのか。・・・「妻をめとらば才たけて」。
 亡き父の後を継いだレストラン経営がコロナ禍で破綻に瀕している。家庭がきしみ始め、しっかり者の母が倒れ、妻は子供を連れて出て行く。負の連鎖の中でどん底の男が、はまった沼は、因縁付きの謎の植物。完璧なフォルム、葉の緑のグラデーション。マニアの世界は地獄より深かった。・・・「多肉」。知症の義母が亡くなりようやく見つけた葬儀用の遺影。素敵な笑顔のしかしその肩先には人の手が写り誰も知らない男が一緒に写っていた。背景からすると、近くの動物園で撮影されたようだ。慎ましく物静かで、実の娘息子にも本音を語ることのなかった人の心の内にあったものは何だったのか・・・「遺影」現実と非現実の裂け目から見えた、普通の人々の暮らしと日常の裏側。人の心の不思議と腑に落ちる人生のリアリティにあふれる力作です。


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小牧山で初日の出

2025-01-01 | Weblog
今年の初日の出は小牧城のある小牧山。木立ちが高くなり見難くなりましたが沢山の人と一緒に初日の出を拝みました。「今年も健康で無事に過ごせますように」



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