東日本大震災により甚大な被害を受けた岩手県天ノ島で、NPO法人の代表が復興支援金を使い込む横領疑惑が発覚。命の金がひとりの男遠田政吉の私利私欲で消えてしまったのだ。10年後、被災地の海でカバンの中から黄金のインゴットが見つかり、事件は動き始める・・・。2年後の2013年、震災から10年後で現在の2021年と3つの時間軸で、天ノ島出身で記者の菊池一朗、東京からボランティアで来た椎名姫乃、天ノ島育ち元助産師で養護施設の臨時職員をしている堤佳代、この三人の視点から物語が展開されていく。東日本大震災は多くの人を悲しませましたが、それに付け込んで私腹を肥やそうとする遠田、小宮山、江村といったNPO団体と名乗る男たちがどんな悪党ぶりだったのかが私欲を膨張さやがては破滅するまでが巧みに描かれています。時系列がバラバラで読みづらいこともあったが姫乃や江村のことが気になり一気読みできました。実際の「遠田」モデルは、岩手県山田町で事件を起こした旭川のNPOの元代表に着想があるのか、復興支援を食い物にし私服を肥やした輩がいた事は記憶に新しい。津波後の惨状や沢山の犠牲者の様子など生々しく、遅遅として進まない復興、人々の苦悩の様子が読み取れるだけにボランティアや被災した人々を騙して食い物にした事は憤りや怒りで悲しくなりました。
2021年10月光文社刊

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