仕事上のお付き合いのある3社でホテルのレストランで打ち合わせをし、そのうちの一人を送り出した後、私は家族が待つホテルのロビーに向かいました。
すると、ホテルの入り口から何か金属製の棒のようなものを引きずりながら歩いてくる人が見えました。少し古く、私たちの他に客も従業員もいないそのホテルで、その人があきらかにこちらに向かって歩いてくるのがわかりました。異常性を感じ、急ぎ足でロビーに向かうと、そのままその人はついてきます。家族を見つけ、その場を離れようとしても、その人はそのままこちらに向かってきます。急いでエレベーターのボタンを押してもなかなかエレベーターがやってきません。
その人がまだこちらに向かってやってきているので、私は近くにあった椅子を手に取り、何かあったときに備えました。もうその人との距離は10メートルほどしかありません。まだエレベーターの扉が開きません。もう目の前にその人は迫ってきています。金属製の棒は金属バット、ほかにも何か手に持っていることが近くに来てわかりました。ようやくエレベーターの扉が開きましたが、その人との距離を考えると私が乗り込んでいる時間的な余裕がありません。私が乗り込めば、きっと一緒にエレベーターに乗り込んでくるでしょう。
私は妻と息子がエレベーターに乗り込んだのを見て、あとはその場に残っている娘に「早くエレベーターに乗れ!」と叫びました。
家族がエレベーターに乗り込んだかどうか確認する暇もなく、その人は私に向かってきました。私は椅子を使って何とか応戦しましたが、武道の経験も無く、力が特別強いわけでもない私が持ちこたえられる時間はそう長くはないでしょう。「家族の誰かが早く警察に電話してくれ!」と心の中で叫びながら必死に応戦しているその時…目が覚めました。
先日、夜になっても気温が高く寝苦しい日がありました。普段すぐに眠れてしまう私にしてはなかなか寝付けず、ようやく眠れたところでこの嫌な夢を見てしまったのです。もしかすると先日の立川駅での殺人事件などが印象に残ってのことかもしれません。
ただ、この夢の中で自分が盾になって家族を守ろうとしたことには、自分自身安心できました。これで家族よりも自分を守ろうとしていたなら、その嫌な夢がもっともっと嫌な夢に感じられたに違いありません。ちょっとだけ自分を褒めてやろうと思った瞬間でした。