この春は地方局を合わせて放送されてるアニメが60本!という状況らしくて、そんなに誰が視るんだよ、とツッコミを入れたいところだが、その中で私が『Fate/Zero』と並んで最も楽しみにしていた、そして楽しみにしているのが『謎の彼女X(エックス)』だ。
原作は植芝理一。私にとっては植芝理一といえば『ディスコミュニケーション』で、当時、月刊誌『アフタヌーン』に岩明均の『寄生獣』などと同時期に連載されていた『ディスコミ』を読んでいた。
『ディスコミ』は学園ものの中に魔術的、呪術的要素を忍び込ませた「ノスタルジックでいながらちょっと変」な味わいのマンガで、寺山修司の舞台から土俗的な要素を取り去って、やや淡泊にした感じ──って言ってワカルかなぁ…。
ただ私自身は、その後『アフタヌーン』を読まなくなってしまったため、『ディスコミ』後の植芝理一を全く知らなかったのだが、ある時、本屋に行ったら『謎の彼女X』のコミックが平積みになってて、それが植芝理一の作だった。コミック自体はビニールに包まれて読めなかったんだけど、お試しで第1話だけ読める冊子があったので、それを読んだら──
高校2年生の椿明のクラスに、卜部(うらべ)美琴という名の転校生がやってくる。最初こそクラスのみんなは親しくしようとしたものの、この卜部、授業中に突然、椅子から落ちるほど笑い転げるわ、休み時間はひたすら机に突っ伏して寝てるわで、周りからは完全に変人扱いされてしまっている。
そんな時、忘れ物をして学校に戻った椿は、もう夕方だというのに机に突っ伏して寝ている卜部を見つけて、もう帰るように言う。そして卜部が教室を出て行った後、大量の涎(よだれ)が机に残っているのを目にして、ついそれを舐めてしまうのだが、それがキッカケとなって、椿は「変人」卜部美琴の本当の不思議さを知り、それに翻弄されることになる…。
(せっかくだから、ここで『謎の彼女X』の番宣も入れておこう。)
そう、『謎の彼女X』は相変わらずの「ちょっと変」なテイストに加えて変態的な要素まで加わった「学園ラブコメ変態系」だ。生理的に受け付けない人には絶対に受け入れられないが、第1話を読んで、あるいは視て、面白いと思ったが最後、そのまま抜けられなくなる(ちょうど椿が卜部の涎なしでは生きていけない体になってしまった?ように)──そういうキケンな作品。
え、私? 私はアニメの第3話まで美味しく頂きましたよ。
アニメでは当初、卜部美琴の声を充てている吉谷彩子(この人は声優ではなく俳優らしい)に「イメージと違う」「セリフが棒読み」などの批判が殺到していたが、さすがにもう、その手の批判も減った。個人的は、声優にはない、この人の声の持つ独特の生々しさみたいなものが、最初から好きだけどね(監督も多分、そこを買ってキャスティングしたんじゃないかな)。
現在、第3話まで放送済みだけど「謎の彼女X」で検索すれば、いくらでも過去の動画を見つけ出せる。さあ行こう、変態ワールドへ。
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