歯が大切であることは改めて言うまでもない。テレビでも、歯周病の恐ろしさを潜在意識にまで植え付けようとするかのようなCMが、毎日のように流されている。また、それだけでなく、歯とさまざまな身体症状との関連も多くの人たちが認識するようになってきた。以前であれば、腰が痛いというと整形外科に行くのが通り相場だったが、最近では「この腰痛は顎関節から来てるんじゃないですか?」と歯科に行く人も増えているらしい。ウチでも問診で思い当たる原因について尋ねると、「この○○は顎関節が原因かもしれない」と答える人がいる。
それは実は歯科医も認識していることで、私が行っている手技療法の勉強会は、参加者の約半数が歯科の先生たちである。また私も、何も治療していないのに(違和感があるので普段は入れていないが)義歯を入れるだけで頚部痛の症状の程度が半分くらいになってしまう患者、などを過去に診てきているので、歯の状態が全身状態に大きな影響を及ぼしていることは、自分なりにわかっていたつもりだった。
が、ここ2カ月くらい、自分自身が歯科の治療を受けて、それを骨身にしみて実感することになった。
きっかけは、最近目が悪くなったと感じたことだった。小さい字を読むのに以前に比べて難儀するようになった。昔は目がいいのだけが自慢だったこともあって、もうそんな年になったのかとちょっと寂しくなった。が、よく患者から「病院に行ったんですけど、それは年のせいだ、だから治らない、って言われたんですよ」と言われるたびに、「いや~、年のせいにしちゃいけませんよ」と答えている手前、自分自身のことも年のせいにしちゃイカン
と思い、治療することにした。
まずどこから手を付けるかを体に聞くと、「まず、歯を治せ」という答
。それは自分でできるレベルのことか?-「No」、では歯医者に行け、ということか?-「Yes」。確認のために数回繰り返したが、結果は全て同じだった。普段から「体が指示するままに」をモットーとしているため、その答を見て歯医者に行くことを決め、さっそく次の日の朝、同じ勉強会に出ている東京のN先生のところに予約の電話を入れた。N先生は同じ勉強会でキネシオロジーやクラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)を勉強しているので、全身状態の変化までを視野に入れながら歯を診てもらえるからである。
それまでは会社員時代から数年、新横浜のK歯科医院に年1回、定期検診に通っていた。K先生には会社が新横浜に引っ越してから、ずっとお世話になってきた。それ以前、会社が桜木町にあった頃は、桜木町の別の歯科医院を使っていたのだが、K先生のところに行くようになって、かつて自分が桜木町で受けた治療との差を実感し、それ以降、会社を辞めて草加に引っ越した後も、K先生のところに行っていた。
だが今回、N先生の治療を受けて、まず、これまでずっと消えなかった左上5,6番の噛んだ時の違和感が消えた。直接的な原因は上顎間縫合に生じていた圧縮で、それを解放してもらったのである。また、私は左下4番に重なるように過剰歯があるのだが、舌がそれを避けるために左胸鎖乳突筋が過緊張を起こしていた。そこで舌への影響を減らすため、その過剰歯を削ってもらった(その過剰歯を抜く、という選択もあったが、体はその選択肢に「No」を回答してきた)。
次いで、以前、虫歯治療を受けた時に左上の歯に詰められたパラジウムを除去してもらうことになった。これまでは、歯を削った後にアマルガムやパラジウムなどの重金属を詰めることが普通に行われていたが、近年、その重金属の有害性が認識されてきている。アメリカでは、認知症の患者の歯から詰められていた重金属を取り除いたら認知症の症状が劇的に改善した、という例も報告されている。そんなこともあって、最近はそうした重金属の代わりに樹脂を使うように治療の仕方が変わってきている。今回、私もそれをしてもらったのだが…
パラジウムを除去して樹脂を詰めてもらう治療を受けて3日後の日曜日、銀座に映画『パンズ・ラピリンス』を観に行った。時間があったので本屋に寄った時、突然、激しい頭痛に襲われて、一瞬、意識を失いそうになった。何とか倒れずにすんだが、頭がフラフラして体からドッと脂汗が出てくる。座りたい気分だったが、本屋の中なので椅子もない。外に出てみたが、やはり外にも座れる場所はない。
手技療法家でよかった、と思うのはこんな時だ。何も道具がなくても、その場で治療することができるのだから
。再び本屋に戻り、不審がられないように本を探すようなそぶりで店内をゆっくり移動しながら、自分の体を治療した。本当の原因は樹脂を詰められた部分の歯、と出たが、さすがにそれを自分で治療することはできないので症状を抑えることだけを狙って治療し、15分位で完全とは言えないが何とか持ち直した。ただ、この状態で映画を見るのは辛かったので、本屋を出て有楽町駅に向かって歩きながら、どこか休めるところはないか、と探していたら、あった──ゆっくり座れて、お菓子もドリンクも無料、という、おあつらえ向きの場所が。というわけで、その日は映画が始まるまでの時間、献血センターで一休み(?)することになったのである。調子が悪いのに献血なんかして大丈夫か、という不安はもちろんあったが、根がアバウトな人間なもので
「ま、いいか」と。
その後も頭痛は断続的に続き、(前回のブログに書いたが)カバラーの「生命の木」にはずいぶん助けられた。頭痛の原因を体に聞くと、「詰められた樹脂が合わない」という答が出てきた。樹脂は使う前にN先生がキネシオロジー的にチェックし、私も自分で問題ないことを確認していたが、体全体としてはOKだが、
肝心の歯に対してのチェックを行っていなかった。そこが盲点だった。食品でも薬でも物質でもそうだが、全身としてはOKだが局所的にはNGだったり、逆に局所的にはOKでも全身としてはNGだったりするケースは珍しくない。今回は、それがこのような症状を引き起こすことになったのである。逆に言えば、歯に合わないものを詰めただけで、こんなことが起こってしまうのだ。
その後、またN先生のところに行ってその旨を話し、一度詰めた樹脂を取り除いた上で、新たに合う樹脂を探してもらった。結局、使えるのは保険外の樹脂になってしまったが、樹脂を変えてもらったことで何とか前のような症状は出なくなった。その後、同じように右下の歯に詰められたアマルガムとパラジウム(2度虫歯になって、それぞれ別の歯科医院で治療を受けたため、2種類の重金属が詰められていた)も取り除いてもらった。
というわけで、歯は大事だ。直接的に歯に関わる問題は歯科医院で診てもらうべきだし、私も患者にはそう勧めている。だが、虫歯にしろ、歯周病にしろ、顎関節症にしろ、実は本当に問題なのは、行った歯科医院で本当にキチンとした治療をしてもらえるのかどうかがわからない、ということにあるのではないだろうか。ネット上でも医療機関の口コミサイトみたいなものがあるが、見てみると「○○医院では患者の話を丁寧に良く聞いてくれる」とか「スタッフが皆、とても親切」なんてことで高い評価を受けているようなものばかりで、全く参考にならない。本当は「どんな考えに基づいて、どんな治療をしているのか」が評価されなければならないのに、そんな情報はどこにもないからだ。今回は歯のこともさることながら、医療機関を選ぶことの重要さと難しさを強く感じた。
それと、肝心の私の目の件だが、歯を治してもらっただけでは変化はなかったが、その後、ディクシャを受けたら少し改善したようである。
それは実は歯科医も認識していることで、私が行っている手技療法の勉強会は、参加者の約半数が歯科の先生たちである。また私も、何も治療していないのに(違和感があるので普段は入れていないが)義歯を入れるだけで頚部痛の症状の程度が半分くらいになってしまう患者、などを過去に診てきているので、歯の状態が全身状態に大きな影響を及ぼしていることは、自分なりにわかっていたつもりだった。
が、ここ2カ月くらい、自分自身が歯科の治療を受けて、それを骨身にしみて実感することになった。
きっかけは、最近目が悪くなったと感じたことだった。小さい字を読むのに以前に比べて難儀するようになった。昔は目がいいのだけが自慢だったこともあって、もうそんな年になったのかとちょっと寂しくなった。が、よく患者から「病院に行ったんですけど、それは年のせいだ、だから治らない、って言われたんですよ」と言われるたびに、「いや~、年のせいにしちゃいけませんよ」と答えている手前、自分自身のことも年のせいにしちゃイカン

まずどこから手を付けるかを体に聞くと、「まず、歯を治せ」という答

それまでは会社員時代から数年、新横浜のK歯科医院に年1回、定期検診に通っていた。K先生には会社が新横浜に引っ越してから、ずっとお世話になってきた。それ以前、会社が桜木町にあった頃は、桜木町の別の歯科医院を使っていたのだが、K先生のところに行くようになって、かつて自分が桜木町で受けた治療との差を実感し、それ以降、会社を辞めて草加に引っ越した後も、K先生のところに行っていた。
だが今回、N先生の治療を受けて、まず、これまでずっと消えなかった左上5,6番の噛んだ時の違和感が消えた。直接的な原因は上顎間縫合に生じていた圧縮で、それを解放してもらったのである。また、私は左下4番に重なるように過剰歯があるのだが、舌がそれを避けるために左胸鎖乳突筋が過緊張を起こしていた。そこで舌への影響を減らすため、その過剰歯を削ってもらった(その過剰歯を抜く、という選択もあったが、体はその選択肢に「No」を回答してきた)。
次いで、以前、虫歯治療を受けた時に左上の歯に詰められたパラジウムを除去してもらうことになった。これまでは、歯を削った後にアマルガムやパラジウムなどの重金属を詰めることが普通に行われていたが、近年、その重金属の有害性が認識されてきている。アメリカでは、認知症の患者の歯から詰められていた重金属を取り除いたら認知症の症状が劇的に改善した、という例も報告されている。そんなこともあって、最近はそうした重金属の代わりに樹脂を使うように治療の仕方が変わってきている。今回、私もそれをしてもらったのだが…
パラジウムを除去して樹脂を詰めてもらう治療を受けて3日後の日曜日、銀座に映画『パンズ・ラピリンス』を観に行った。時間があったので本屋に寄った時、突然、激しい頭痛に襲われて、一瞬、意識を失いそうになった。何とか倒れずにすんだが、頭がフラフラして体からドッと脂汗が出てくる。座りたい気分だったが、本屋の中なので椅子もない。外に出てみたが、やはり外にも座れる場所はない。
手技療法家でよかった、と思うのはこんな時だ。何も道具がなくても、その場で治療することができるのだから


その後も頭痛は断続的に続き、(前回のブログに書いたが)カバラーの「生命の木」にはずいぶん助けられた。頭痛の原因を体に聞くと、「詰められた樹脂が合わない」という答が出てきた。樹脂は使う前にN先生がキネシオロジー的にチェックし、私も自分で問題ないことを確認していたが、体全体としてはOKだが、

その後、またN先生のところに行ってその旨を話し、一度詰めた樹脂を取り除いた上で、新たに合う樹脂を探してもらった。結局、使えるのは保険外の樹脂になってしまったが、樹脂を変えてもらったことで何とか前のような症状は出なくなった。その後、同じように右下の歯に詰められたアマルガムとパラジウム(2度虫歯になって、それぞれ別の歯科医院で治療を受けたため、2種類の重金属が詰められていた)も取り除いてもらった。
というわけで、歯は大事だ。直接的に歯に関わる問題は歯科医院で診てもらうべきだし、私も患者にはそう勧めている。だが、虫歯にしろ、歯周病にしろ、顎関節症にしろ、実は本当に問題なのは、行った歯科医院で本当にキチンとした治療をしてもらえるのかどうかがわからない、ということにあるのではないだろうか。ネット上でも医療機関の口コミサイトみたいなものがあるが、見てみると「○○医院では患者の話を丁寧に良く聞いてくれる」とか「スタッフが皆、とても親切」なんてことで高い評価を受けているようなものばかりで、全く参考にならない。本当は「どんな考えに基づいて、どんな治療をしているのか」が評価されなければならないのに、そんな情報はどこにもないからだ。今回は歯のこともさることながら、医療機関を選ぶことの重要さと難しさを強く感じた。
それと、肝心の私の目の件だが、歯を治してもらっただけでは変化はなかったが、その後、ディクシャを受けたら少し改善したようである。

クラニオセイクラルで検索したらたどり着きました。
エンタプライズの本をいくつか訳されたようで、感謝の念にたえません。
目についてですが、ご存じかもしれませんがこういうメソッドもあります。
http://eyebody.com/
「Eye body」の本はまだ日本語訳が出てないみたいですが、
日本のATAのサイトにちょっとだけ訳文が載ってます。http://www.alexandertechnique.co.jp/modules/weblog1/index.php
もし良かったら参考にしてください。
さっそくATAのサイトに行って、片桐ユズル氏の訳されたグルンワルドの文を見てみました。
歯が全身の問題を反映していて、歯を治療することで全身への働きかけが可能なように、目も同じなんですね。考えてみれば至極当然のことですが、これまで全く思いつきもしませんでした
現在は、Hugh Milneの"The Heart of Listening"を訳しているのですが、それに続いてPeter Grunwaldの本を読んでみたいと思います。
日本語の翻訳はもうすんでいて今年中に日本語版が出版されるそうです。
今「クラニオセイクラルバイオダイナミクス」(エンタプライズ社)の一巻を目を通してみましたが、これは翻訳にすごい時間と労力がかかったことでしょうね。
2巻もこんな感じでしょうから、翻訳し終わった後、他の方が翻訳していたことを知ったときのショックはご想像して余りあります、、、
>日本語の翻訳はもうすんでいて今年中に日本語版が出版されるそうです。
そうですか。それは楽しみです。日本語版、ぜひ読んでみたいです。
>2巻もこんな感じでしょうから、(中略)
CBの2巻は、1度目の訳が終わって、2度目の訳にこれから入ろうとしていた時、出版されることを知りました。ショックでしたが、2度目の訳に取り掛かる前でよかった