深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

臨床の現場から 7

2016-11-25 13:16:33 | 症例から考える

紹介でウチに来たその患者(女性)は膝の痛みを訴えていた。ずっと以前から膝に断続的に痛みがあって、寒いと腫れも出て立つのも大変になることもある、と。

早速、膝を含め腰下肢の整形外科テスト(理学検査)を行ってみたところ、骨や半月板、靭帯などに物理的な損傷が生じている疑いはなく、大腿四頭筋の弱化などを検出したため、そうした筋肉へのケアを中心に行った。それが1回目の施術だった。

2回目の施術の最初に前回施術後の様子を聴くと、以前よりは多少よくて「膝の痛みがなくなりそうだが、その先に行かない」という。
そして2回目の施術も前回に引き続き、体のどのライン上に弱化や過緊張などの異常を起こしている筋肉が並んでいて、それが姿勢バランスや重心など構造的な部分にどう影響しているかを中心に調べ、それを処理する方向で行ったのだが、クラニオセイクラル・ワーク(頭蓋仙骨療法)を行なっていた時、私は彼女の中の何かが「異様に前のめりになっている」感じがして、それにつてい尋ねてみたが彼女自身もよくわからないようで、あまりはっきりした答えは得られなかった。

3回目の施術では、2回目の施術の後からは膝に痛みは出ていないが、雨のせいか違和感があるという(3回目の当日は雨だった)。

ウチではしばしば言葉に対する反応を調べることを行う。例えば化学物質過敏症の人の中には、「化学物質」と書いた紙を体に置いただけで反応出てしまう人がいる(この時、患者本人にはどんな言葉を書いたのかを一切知らせていないにもかかわらず)。つまり、こういう人は化学物質以前に「化学物質」という言葉を意識的・無意識的に見聞きするだけで既に体にはさまざまな異常が生じている、ということだから、そのレベルから取っていかなければならないのだ。

今回の患者に対しても2回目の施術で感じたことを含めて、キネシオロジーの筋反射テストを用いて特に膝や下肢に反応の出る言葉を探していくと、「前のめりに何かをしなければならない」と「娘」という言葉で、膝ではないが大腿部の遠位に著名な反応が現れることがわかった。それについて患者に話をすると、彼女には娘がいて今その写真もあるとのことだったので、上記の言葉とともにその写真を体に乗せた状態で改めて反応を調べ、その時は三陰交と足三里へのお灸、それにクラニオセイクラル・ワークを行った。

その後でいろいろ話を聴くと娘には障害があって、患者はその子の行く末を非常に危惧していることがわかった。ただ患者のところは自営業で、彼女が言うには「娘がそこにいると、不思議とお客さんがみんな笑顔になるんですよ」とのことだったので、「だとしたら、そういうふうに娘さんのことを考えてみれば、何かこれからの方向性が見えてくるんじゃないですか」と応じていたら、それまでの重い空気から一転して突然、彼女が笑い出した。そしてケラケラと笑いながら「膝が治っちゃったみたいです。でも、どうして治ったのかわからない」と。

その患者には一応念のためと4回目の施術の予約も入れてもらったが、その日を前に電話があり「非常に調子がいいので、このまま様子を見たい」ということでキャンセルとなった。

これは1つの解釈だが、彼女の膝の痛みは娘が障害を持って生まれたことで無意識的に自分に与えていた罰だったのか、娘の将来を危惧する気持ちを本人は膝の痛みとして感じていたのかもしれない。だからそれを他人に吐き出し、これからの展望のキッカケが見えたように感じたことで、不要になった痛みは消えたのだろう(そういうことも患者には伝えた)。痛みとはそうして起こることもあるのだ、ということを実感したケースだった。


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