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適当に生きている適当な日常メモ(お返しイイネ&followご無用です🙏thanks!更新通知で読んでます)

香君(上下)/上橋菜穂子を読んだ

2023-09-23 | 
上橋菜穂子氏の割と最近の本。

あらすじは、植物や昆虫たちが香りで行っているコミュニケーションを〈香りの声〉のように感じながら生きる主人公・少女アイシャが、帝国がその支配の基としているオアレ稲の秘密をその能力を活用したり権力争いや自分の出自に翻弄されたり試行錯誤しながら、虫害の発生によって食糧危機に直面する人々を救おうとする物語。


上橋氏は、随分長いこと植物に関わる物語を書きたいと思っていたそうな。

でも他の獣や人間のように勝手に動かないので、あまりなかなか書きたい!と実際に動くには至らなかったらしい。

ところが、バナナの話(ロブ・ダン著/世界からバナナがなくなるまえに)や様々な植物に関する著書(高林純示著/虫と草木のネットワーク)(藤井善晴著/アレロパシー)(松井健二・高林純示・東原和也編著/生きものたちをつなぐ「かおり」)等に触れることによって当作品の草稿を書くに至ったとのこと。

獣であろうが、植物であろうが、上橋氏の書く著書に統一されてある概念のようなものは、人間以外のものも鮮やかにその一生を生きて連綿と生と死を繰り返していて人間が全ての支配者というわけではないのだ、というような感じのこと(語彙力)。

また、人間批判に終始するわけでもなく、人間も他の生きものと同じように必死に生きているだけなんだよね、というような人間を含めた世界に対する慈愛に満ちた眼差しみたいなものも感じる。


本著もその本筋から変わらず、豊かな自然描写だった。

ただ、本書ではあたかも主人公自身がロンサムジョージやバナナみたいな感じ(語彙力再び)なので、やっぱりどこかしら寂しさを残すラストであった。

ワーキングプア/門倉貴史著を読んだ

2023-09-11 | 
ワーキングプア
いくら働いても報われない時代が来る

を読んだ。

今でこそワーキングプアで検索すると沢山の著書が出てくる時代になったが、この本がでたのは2006年11月、まだリーマンショック前の「ワーキングプア」という言葉が生まれた初期の方の著書だった。

今はもう、年収200万未満というのは珍しくはないし、非正規や兼業、個人事業も珍しくなくなった。

なぜこの本を急に思い出したかといえば、この本の取材対象者のひとりでいらっしゃる奥谷せりさんがミニマリストブロガーさんで、良く拝見しているからだった。

私がまだ正社員でやめたいやめたい思っていた頃、シンプルライフと貯金に憧れて彼女の前のブログのときからずっと拝見していたけれど、ふと思い出して図書館で借りてみた。

せりさんは今はもう専門的な職種で安定した職業についていらっしゃるし資産もたんまりあるお方だけれど、当時はトリプルワーカーというミラクルなハードワークをされていたのだった。

取材の該当ページは126ページから。

引きこもり、という言葉も今ではそうめずらしくはないし、精神的に不調になることはその人が社会的不遇者だからなのではなくてまぁ割と良くあること、という感じだけれど、まだ約20年前はそんなに(?)大々的には耳にはしなかった気がする。

ブログには今は配偶者でいらっしゃるその彼のことも書かれていることもあった気はするけれど、ブログ自体は淡々とした文調の方なので、あまり御自身の感情というのが目に見えて分かると思ったことはなかった。

本では取材者である第三者が客観的に書くことによって、より彼女の愛情深さが掘り下げられている気がする。
そんな風に思っていたんだね、と、新たな一面を見る心持ちがした。もちろん良い意味です。

本のまとめは以下の通り。
・年収が200万円に満たない「ワーキングプア」は2005年で546万人に登り男性労働者を中心に年々増加する傾向にある。
・増加している背景には、厳しい競争に直面する企業が正社員を非正規社員に置き換えていることがある。
・ホームレスになる者もいる。
・会社の倒産やリストラで転職を余儀なくされた中高年層の一部はワーキングプアに陥っている。
・家庭を持った中高年層が突然ワーキングプアになると、子供の養育費や住宅ローンなどの抑制することのできない消費支出が他の世代より大きいためにその状態から抜け出すことは非常に難しくなる。
・成長鈍化、少子高齢化で日本型雇用が崩れつつあり、非正規は弱い立場に置かれて雇用不安低賃金に苦しんでいる。
・一方の正社員も長時間労働により心のワーキングプア状態に陥っている。
・若年層でも就職したときに正社員になるか非正規社員になるかで、同じ若年世代でも所得格差は大きく開いてしまう。

本では、
・非正規から正社員への門戸を広く
・消費増税は避ける
・最低賃金の引き上げが必要
・外国人受け入れにより国内のワープア問題は深刻化する
と書かれている。

概ねここ15年くらいの国の方針と一致しているが、ビザ要件緩和に見られるように外国人受け入れは広がっている。
しかし、逆に日本が貧しいしコスパが割に合わないので外国人労働者から忌避されつつあるという当時は予想されていなかった状況になっている。
なかなかに深刻だ。

自分は大丈夫なんて思ったことは1度もないけど(むしろ社不なのでしがみつくのに必死)、沢山の事例を読むにつけ、本当にいつ何時何か合って露頭に迷うことは十分にあり得ることだな、と再確認した。


火狩りの王/日向理恵子を読んだ

2023-09-03 | 
WOWOWオリジナルアニメにもなっているらしい。

この本は、仕事関連の知り合いが上橋菜穂子氏の著書が好きならこれも好きそうだからと教えてくれた。

児童文学は「あなたの生まれた世界にはこんな大変なこともあるけど希望もあるよ」が基本なので大概は読後感が良くて好きなのよね。

火狩りの王(ひかりのおう)の世界観は人類最終戦争後の世界。

この時代の人間は、人類最終戦争の影響でそばで天然の火が燃焼すると、 内側から発火して燃え上がってしまう。

大地は炎魔と呼ばれる化物が闊歩する黒い森におおわれ、人々は結界に守られた土地(村)で細々と暮らしていた。
人が安全に使用できる唯一の〈火〉は、森に棲む炎魔から採れ、これらの火を狩ることを生業とするのが火狩り(ひかり)と呼ばれる者である。
禁じられた森に入って炎魔に襲われたところを、とある火狩りに助けられた灯子(とうこ)はその火狩りの形見を返す(という文化がある)ために首都に旅立つ。

その最中、様々な事件や悲劇に遭遇し、灯子はいつしか火狩りや首都の人間、神族の争いに巻き込まれていく。

という話。

お話は、
灯子(とうこ)11歳
煌四(こうし)15歳
の視点が入り混じって進む。

あと
設定がかなり複雑なので世界観を理解するのに難儀した。

児童文学には珍しく、終焉の読後感は「ハッピーエンド、読後感スッキリ」タイプではない。

主人公が死んだりする某ミステリーみたいなことはないが、
ちゃんと死んだ者は戻らないし
あっけなくたくさんの人が死ぬし
お互いの派閥の利害は一致しないまま
なんとなく結果が収束していくような
ちゃんと現実に即した感じの読後感になっている。

それでも人は生きてくんだよね、みたいな。

世界観が難しくて
現実よりややグルーミーな感じで
上橋菜穂子さんのような世界を愛している感じの雰囲気はあまり感じなかったけど、単純な感じにならないのは珍しくて良かった。

ある行旅死亡人の物語 を読んだ

2023-08-26 | 
ある行旅死亡人の物語
武田 惇志, 伊藤 亜衣著
を読んだ。
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現金3400万円を残して孤独した身元不明の女性、あなたは一体誰ですか?   

2020年4月。兵庫県尼崎市のとあるアパートで、女性が孤独死した。 
現金3400万円、星形マークのペンダント、数十枚の写真、珍しい姓を刻んだ印鑑......。   
記者二人が、残されたわずかな手がかりをもとに、身元調査に乗り出す。「行旅死亡人」が本当の名前と半生を取り戻すまでを描いた圧倒的ノンフィクション。
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とのあらすじ。

行旅死亡人、無縁仏というやつで、いつか私がなるであろうやつ(^o^;

亡くなったこの方の場合は
死亡時の住まいの賃貸借契約期間が長すぎ&名義人が違う人で、身元の分かるようなものがことごとくなかったという事例。

スパイ?◯◯事件との関連は?等と色々な可能性を追いつつ、最終的にはどこの誰かがわかって先祖のいる菩提寺に収められた様子。

印鑑や特殊な名字であったことから、辿り着けて良かったね。

そして警察にも辿り着けなかった身元判明ができた記者さんお見事👏

良かったね、という所ではあるのだけれど、長らく数十年親族と縁を断ってきた女性が親族の元に帰らされるのは、本人にとっては良かったことなのかはっきり言ってどうかは分からない。

親族にも絶縁や複雑な感情が数々あるのだし。

そういうわけで、ななしの花子さんから◯◯さんという人生があったことは分かったが、本人はどこの誰かもわからず死んでいきたかったのかもしれないし、事務的には分かって戸籍にも反映できて周りは万歳なのだけど、なんだか複雑な気持ちになる読後感だった。

去年の図書館借りた冊数

2023-08-03 | 
わが町の図書館は
一覧で自分の貸出数が見られる。
(便利よね)

去年2022年度(4-3月)は合計62冊で、すごーい借りる月とまーったく借りない月に分かれていた。

今年は基本的に予約しかしてないので、ボチボチ来る事におよそ毎月2冊ずつとか読んでる感じ。

わが町の図書館が長期に工事に入ってしまうとのことで、そろそろ近場で借りれる機会が失われてしまうのでとても悲しい。

無料というわけではなくて、もちろん住民税を納付しているわけだけれど、サービスを知らないとか、知ってても忙しくて使わないとかだと損よねぇ
あー便利!
と思いながら使っている。

話題の本を予約して、忘れた頃にそうだそうだと読み出す感じ。

可及的速やかに急いで読みたいなんてことはめったにないから、図書館の存在は大変にありがたい。