夜、真っ暗な部屋で、スピーカーやオーディオ装置が見えないようにしてCDを聴く。目に映るのは、電源のONを示す赤や緑の発光ダイオードのみ。
オーケストラなんか、昼間、小さなポータブルの再生装置で聴いた時には、ウヮンウヮン鳴ってるだけでベターッとした変化に乏しい曲、と思っていたのが、こうして聴くと、まるで万華鏡のような音の雲海の中に浮遊し、全身の細胞が共鳴し合い、眩惑され…ため息…(ただし翌日、同じ環境でもう一度聴くと、技術的に見透かしてしまう曲もあるから、音楽は難しい)。
弦楽四重奏曲のピアニッシモも、ぐっと訴えてくる。音と音の間の完全な沈黙の刹那、この世の一切の音が一斉にピアニッシモで鳴り響いたか、と錯覚を覚える。
せっかくこういう聴き方をするのだから安っぽい曲は聴きたくない。ナンカロウなんかも達者なんだろうけど、ああ、これならヒンデミットの方がもっと巧みにやってるな、と思うと、そちらを無性に聴きたくなる。
何と言おうと「ビッグ・ネーム」は、やはりすごい。CDやFMで放送された現代作品など日替わりで聴いたが、技術・表現内容ともに何人の追随も許さぬ域に達しているのは、カルテットに限るなら、バルトーク、ヒンデミット、シェーンベルク、そして言わずもがなのベートーヴェン。
それはそれとして、ドビュッシーの若書きのカルテットも、ラヴェルもブラームスもモーツァルトも好きだし、ベルクの譜面は見て楽しいし、リームやファーニホウには舌を巻く。ホウー!
最も好きな夜の時間…酒もないのに心地酔い。
(写真:2016年12月)
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