池田 悟≪作曲家≫のArabesque

・・・深くしなやかに・・・(音源リンクしてます)

訪ウクライナ・リヴィウの作曲コンクール

2018-12-10 | 作曲コンペ歴

12月5日午後2時、リヴィウ着。フィルハーモニー協会に行き、マエストロ、フェルディナンド・ナッツァーロと待ち合わせ、一緒にいたイタリア人の入選作曲家・サントーニと3人で「サクラリウム(宗教作品)作曲コンクール」のオケのリハ会場まで歩く。会場は取り壊し前かと思われる大変古い建物。不要な場所の照明は消され、全館暖房も無く、リハは緞帳を閉め切って行われた。その響きの悪さと二流の奏者で水増しされたと思われる弦楽セクションに、コメント出来たのは「全てのフォルティッシモをもっと強く」のみ。
6日朝はホテル周辺を散策し、美術館を見学。レオナルド・ダヴィンチやルノアールのような傑作が生まれる背景には、このような凡百もの秀作があって成立すると感じた。
昼食は前の晩も利用した手ごろなレストランにて。壁面のディスプレイや盛り付けが美しい。
午後4時、「アルフレッド・シュニトケ作曲コンクール」のゲネプロ。こちらの奏者は少数精鋭。ゲネプロでは天才肌のピアニスト、ナタリヤ・マルティノーヴァの読譜のミスを一つ指摘したが、本番ではクライマックスでピアノパートに事故が起きてしまった!録音はどうなるのだろう。実は本番の演奏中、前列でひたすら新聞を隈なく読んでいるおばあさんがいて新聞をめくる音が耳障りだったが、ゲネプロの録音を使わない限りこのままトルソーみたいな録音になってしまうのか…?石造りのホール内ロビーも寒く、僕は審査結果を待たず食事に行った。

翌7日は雪。朝大きな教会(聖アンドレイ教会)に行くとミサをやっていたので、信者の振りをして1時間近く列席した。長い説教の間、頻繁に十字を切り、時に床に跪き…偶に歌われるグレゴリオ聖歌に感激。教会の外のキリスト像に接吻した。
街を歩いていたら英語で「君、教会にいたね」と他の作曲家に呼び止められ、前日の拙作は第3位入賞との事。その後市庁舎に入り、塔を上った。リヴィウの街並みが一望出来た。
午後4時、「サクラリウム作曲コンクール」のゲネプロのためホールに行くと、レベルの高い学生風のオケと若いヒステリックな女性指揮者がショーソンみたいな曲のリハをやっていた。1時間遅れで「サクラリウム」のゲネプロと本番。5日のリハで楽器が鳴らなかったのは寒過ぎたせいもあったのか、ホールでの響きは格段に改善され、両日お客はまばらだったが拍手は温かかった。「サクラリウム」の他の作品は概して保守的で、バッハのカンタータ、マーラーの第4交響曲、ショスタコーヴィチ、サティ「パラード」、ドビュッシー…などの影響が伺われた。
審査結果は入賞者無し、全員入選。これに憤慨した作曲家もいた(後日第2位のみ発表された)。
その翌日はホテルから空港まで7.2km歩いた。空港に古いアップライトピアノがあり、バッハの平均律第2巻ハ短調フーガを弾いたら、子供を含め数人に囲まれた。
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