2004年5月、ルクセンブルク国際作曲賞本選のため空港に到着した僕を、その審査員でルクセンブルク・シンフォニエッタの指揮者のヴェングラー氏が迎えて下さり、ホテルまで送って下さいました。僕と目が合うや否や、「俺はたった今来たところだ。君も時間ぴったりだぞ!」と喜び、挨拶もそこそこ、BMW に乗り込み、ろくすっぽ前も見ずに森の中、蛇行する道もすっ飛ばし…よほど慣れていたのでしょう。中心街はパリそっくりでした。
翌日のリハーサルでは楽譜を忘れたクラリネット奏者が演奏できず、帰りの車中、「君はルクセンブルク語を知ってるか」と真顔で聞かれ(乗り合わせた奥様は笑いをかみ殺し…)当然「No.」と答えると、「ルクセンブルク語には“コンニチヴァ”とか“ヴァカ”とかあるんだ。今日のクラリネッティストは“ヴァ・カ!”」と、ご夫婦で大笑い。
ルクセンブルクは神奈川県ほどの広さの国で、フランスとドイツに挟まれ、ランチはドイツ、ディナーはフランスで、ということも可能な、仏語と独語が公用語、また英語も使えるという、僕みたいに3つとも怪しい人間にはどれか一つ言えたら通じるので便利な国です。
ホテルのテレビ番組もチャンネルによって言語が違ってました。さて、次の番組は何語だったでしょう?
1) ファッション番組 2) 真面目なニュース 3) お色気バラエティー 4) モノクロ戦争映画
[答は一番下]
本選後のシャンペン・パーティーの真っ最中、審査発表と表彰式が行われ、僕は第3位でしたが、オーケストラ団員が選ぶ団員賞には、「どの作品がいいかな?」とのヴェングラー氏の問いかけに、「Fireworks, Fireworks! 」の声が圧倒的で、僕がいただきました。 ♫ 試聴
2次会では食べきれないほどのコース料理が出され、絶え間なくワインが注がれ、コンサート・ミストレス(女性のコンサート・マスター)に、「私は母国のルクセンブルクが好きじゃない。あなたは日本が好き?」と聞かれ、「自分にとって母国は空気のようだから、好きとか嫌いとか、思ったことない」、さらに「ルクセンブルクと日本は似ている。Lux. は独・仏に挟まれ、日本はアジアとアメリカに挟まれているから」と答えると、「それ、どういう意味?分からない。きちんと説明して!」と突っ込まれ、幸い時間切れ。お開き。
先日、ヴェングラー氏から、僕の入賞作「Fireworks」をイメージした年賀メールを頂きました。
(絵をクリック→Add FUN! )
Bonne et heureuse année 2006 ― TNX (=Thanks), Mr.Wengler!
答…1) 仏 2) 独 3) 伊 4) 英
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