今回の話は全くオチのない私のビビりの話です(笑)。
私が通っていた大学は100年以上の歴史がある伝統校で、ただ校舎自体は何度か移転をしているのですが今の場所に移って来てからもかなりたっている(?)ようで、学内に昔旧日本軍の施設があったとかいう話も聞きましたが実際古い建物がいくつも現存していたりする学校でした。
まあ“学校”という特殊な環境に“伝統校”とくればつきものですが、校内のあちこちで“でる”という噂はたえませんでした。
私が在籍していた研究室もかなり古い方の建物で、3年の時は授業の時と前回紹介したキノコの菌の植え替えの時しか研究室に行く機会はなかったのですが、4年になると自分の卒論のための実験がかさみ、ほぼ研究室で生活をする毎日でした。
私たちが学部4年の時、研究室には学部生(3、4年生)が20人ちょいと院生が5、6人いまして、研究室に10時以降までいたり泊まる場合は先生か院生が警備室に終夜届をした上で、立ち合うことが決まりとなっていました。
だから基本的に学部生だけで研究室に泊まったりすることは禁止だったんですが、先生や院生が誰もいないと分かってる場合は、終夜届を院生に頼んで連絡してもらったりしていました。
この“研究室”という空間、4年生や院生にとってはほぼ生活空間と化してしまして、お腹が空けばお中元の素麺を茹でて食べ、お茶を飲んだりお菓子を食べたり、寝袋まで完備していたので朝来ると白衣のまま寝袋にくるまって転がってる先輩方もしばしばでした。
私の卒論は、実験というより観察で、先輩の代から続いている長期性能評価(薬の効き目を確認する作業)でした。観察は3ヶ月に1度1ヶ月間と決まっておりまして、ただその3ヶ月に1度の観察するための準備がやりだすと十数時間かかるので大抵泊まりになりました。
観察自体は薬の入ったシャーレに放たれたシロアリが痙攣とか死亡してないか確認して数えるだけなんですけどね。
数百枚ほど
(←これってシロアリの立場からしたら地獄そのもの)
1回目の時は卒業した院生の先輩が来てくれて一緒にやったので特に問題なく
2回目も無事に終わり、秋も半ば最後の3回目。
この時はなぜか泊まりが誰もいなかったんで、院生に終夜届を出してもらい、初めての1人終夜に挑みました。
でもまぁ学校に1人で夜を明かすこと自体は学園祭の準備やらで慣れていたので、ま、いっか、位にしか思っていませんでした。
うちの研究室は、学生や先生の机やロッカー、書棚やキッチンなどがある研究室とそ隣にドア1枚隔てて実験室があります。
その日は実験を夜中に終えて実験室を締め各電源を落して研究室の方でレポートなどをまとめていました。
しばらくして、草木も眠る丑三つ時。。。
誰もいないはずの真っ暗な実験室から突然
ガタン
と、かなり大きな音がしました。
その音というのが、よく古い学校の理科室やら音楽室にあるあの四角い木の椅子が倒れたような音でした。
研究室と実験室は廊下を通らずともドアで繋がっていましたが、そのドアは開けっ放し
開け放たれたドアの向こうの実験室は電気を消したので真っ暗でした。
一瞬そのドアの向こうの暗がりに目を向けましたがしばらく様子を伺いつつ、洗浄機などの機械音ではなかったか、頭の中で照合作業をしていました。
メッシリンダーなど細いガラス管などは内部の洗浄が手作業ではできないため機械を使いますが、洗浄に時間がかかることもあって結構な頻度で昼夜問わず動いています。でもあんな大きな音するわけないし
しばらく固まっていた私ですがその間何も聞こえませんでした。
な~んだ、気のせいか ドア閉めておくかな
なんて思って立ち上がりドアの方へと近づいたとたん、また
ガタタンッ
と
これは音から想像するに実験台の上にひっくり返して置かれた椅子が床に落ちた時のような音でした
するとまた
ガタタンッ
また椅子が落ちた音
ここの実験室、実は前から院生の先輩に“いる”よ(←なぜか笑顔)とは言われてたんです
ただひたすら試験官をず-っと洗っている白衣を着た男子学生だそうで、いつも姿を見るのは1人の院生のみで、他の先輩は水が突然出たり、水音を聞いたりとかは結構日常茶飯事だそうで
その話を初めて聞いた時も、うちの研究室は学生1人が試験官とマヨ瓶大量に使うから洗うのもめちゃめちゃ大変だし、そりゃ面倒くせ~っていう思念残りまくりだろみたいな話を同期として終わったんですよね。
でもこの音って明らかに聞いてたのと違うし、先輩も、
“うちにいる子は試験官をただ洗ってるだけだからなんもしないし害ないよ”
って言ってたのに
NEWパターンなんですけど
ドアを閉めに行こうとしたまま固まって暗い実験室に目が釘付けになっていると、今度は
ズズズ~ガタンガタン ズズズ~
とゆっくりと落ちた木の椅子を引きずる音が・・・
しかもこの研究室の入口のドアに向かって来ているように音が近づいて来ていました
もしこのまま見ていたら、あるいはその音の正体がドアの前まで来てわかるかも・・・・・・・・
次の瞬間ダッシュで研究室を飛び出してました
とりあえず上の階の電気がついている別の研究室に飛び込み、見知った顔の院生の先輩を捕まえて事情を話しました。
先輩は、
“あ~ぁ。でもあの研究室のは何もしない子でしょ
まいいや、とりあえず今日はうちの研究室泊まれば
荷物とって鍵かけてきな”
Oh my GOD~
この言葉の裏に、3つの驚きがありました
まず、
うちの研究室のアレを知ってるし
(そんなに有名なん)
それから、
言葉の含み的に他にもいるんかいその他のヤツはいかにも何かしそう的な
そして、
状況分かっていて1人でもう1回行けってか
この先輩、笑顔がとっても素敵な好青年の先輩ですがこういう時の笑顔って残酷
結局1人で戻って戸締りしてこの先輩の研究室に朝までいました
翌日、実験室の椅子はいくつか床に落ちていて、もしかしたら誰かが私を脅かそうとしたのかもしれませんが、結局謎です
試験官をひたすら洗う白衣の男子学生が見えるという先輩は、
“暇だったから遊びたかったんじゃないの何年も毎日試験官洗いじゃそりゃ飽きるわアハハ~”
って
しょっちゅう学校泊まってるとこんな感覚になっちゃうんでしょうか
何かおかしくない
正体不明の何かから本気でびびって逃げた経験談でした
誰かのイタズラかもしれないけど
でもなんとなく誰かのいたずらだった気がしてならない(笑)
先輩たちの反応が脳天気すぎるw
でもまぁ何もなくても古い校舎に夜1人で泊まりって怖いよね。
あん時は卒論に追い詰められてたけど、今なら絶対に無理だ。
是非正体を確かめてもらいたかったなぁ。
でも一人で戻るって、アリエナイ・・
カワイそうなバタ子・・・