蘇州大学「酔話会」

不問過去的事、在中国生活快楽、交換消息

中国江蘇省蘇州市蘇州大学
高嶺者留学生の談話室

むかし「渋沢龍彦」

2012年03月27日 | つぶやき

むかし、と言っても還暦を過ぎたころだが、バックパッカーでたどりついたタイカオサンのドミに沈没していた頃、同世代のTと同宿した。Tとたまり場で酒を呑むうち、渋沢龍彦の話がでた。「快楽主義の哲学」。高校のころ熱中したそうな。 

六十年安保世代、アンチがかっこいい時代にデカダンは少数派。白状すると、ぼくも当時読んで、カバーをはがして本棚の奥に隠していた。あの頃の本はカバーをとると、白表紙。何の本かわからない。思うにその頃のぼくは、表むき社会改革派、樺美智子支持、その実自我意識ありありのデカダン。勇ましい連中が闊歩する表通りをしりめに、裏町でおおいばりで酒を呑んではばかることなくデカダンをいく渋沢栄一にある種のまぶししさを感じていた。

数十年が過ぎた。タイのカオサン、数十年前渋沢栄一に熱中したTと遭遇した。誰はばかることなく語れる。おかしかったのは、やつも当時カバーをはがして本棚の奥にかくしていたと言った。

ときは移り、快楽主義がなんかあたりまえの時代になった。主義なんてもったいをつけて言うのもおこがましい時代になった。でも、渋沢が裏町の酒場で吼えていたころは、別の意味で、現実社会への挑戦。彼が主義と表題した心意気よし。渋沢も還暦までとどかず。昭和末年この世を去ったが、快楽を吼える時代は去っていた。カバーをはがしてかくしたいのは、渋沢本人だったかも知れない。

ともあれ、そういう時代をたどりながら、今を迎えた自分をつむぎだしてくれた時の流れに感謝したい。z


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3 コメント

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春宵 (z)
2012-03-27 22:23:13
また、まちがえた。栄一でなく龍彦。なんで、読みかえさずにクリックするんだ!酔筆ではとおらないぞ!自戒。ごかんべん。ブログ投稿をつまみに呑む春宵の白酒が己を酔わせる。
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シンハビール (z)
2012-03-27 23:35:24
カオサンの映像、なつかしいなあ。累計1年くらいあそこに沈没してたかなあ。あのころは1バーツ10円。とにかく4バーツのシンハビールがうまかった。金がなくなると像のマークの何ていったけ??3バーツのビール。ドミから起きぬけに1バーツのラーメンを食って、1時間20バーツのタイマッサージへ行って、ドミに帰って昼寝して、夕方衛星中継のNHKの大相撲を見て、6時(日本時間7時)ごろ路上屋台へくりだして、欧米のバックパーカーたちと同席して、だべって、気がつくとテーブルは空瓶の山。わりかんでお開き。居ながらにして、世界旅行。よっぱらい英語なので、半分も頭にのこらなかったが、なんかしゃべっているリズムが楽しい。あのころよく思ったもんだ。生きてるって、楽しいもんだなあ!
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軸足 ()
2012-05-22 07:25:23
こないだブックオフへ行ったら、たまたま書架にあった。五十年前に読んだやつ。「快楽主義の哲学」澁澤龍彦。主義とか哲学とか標題がいかめしいので、構えてしまうが、読み進むほどに肩が下がってくる。何のことはない。「軸足の置きようによって、人生気楽なもんだよ」と言ってる本。作文もスッキリしていて肩がこらない。今読み返してみても、文も中身もなかなかいい。五十年前、若いころこの本に出会っといてよかったな、、、と思う。おかげで、半世紀間、肩の力をぬいて、打席に立てた。
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