バリウム日記 がんの早期発見をめざして

医療に関する話題提供をはじめ、日々学んだことを配信できればと思います。

胃角部前壁小彎寄り

2009年03月08日 | 早期胃がん発見 Point

先日、胃の研究会に参加してきました。
最近、研究会の数が多いので、体力的に消耗しつつも、勉強になることばかりです。
撮影技術向上のためには、研究会への参加が必要です。
来月も開催されるため、また勉強しにいこうと思います。

さて、今日は先日行われた研究会の内容を簡単にまとめてみました。

講演していただいた先生は、現状に満足せずつねに向上心を持ち続けることが重要である。NPOが提案した基準撮影はあくまで基礎であって、そこで慢心するのではなく、病変発見に努める撮影技術を体得するようにとおっしゃっていました。


私は胃角部前壁小彎寄りの病変発見について質問しました。
NPOで決められている前壁の撮影には腹臥位の正面と第2斜位像があります。
私が普段から行っているのは対策型検診(Population-based screening)である間接撮影8枚法であるため、腹臥位の第1斜位像をルーチンとして撮影していません。
しかしながら、小彎や胃角はがんの好発部位であり、腹臥位の第1斜位像は必要な撮影体位です。時間的制約やコストの関係から、受診者全員に対して、この撮影体位を追加するわけにもいきません。そこでどうすれば良いのかを聞いてみました。

先生からの回答は以下のようなものであり、私なりにまとめてみました。

①検査序盤で撮影する背臥位の撮影時、まずは胃角の正面(真接線)を基本通りに描出する。そのさいにわずかな胃角の辺縁や粘膜面の異常を透視下で確認する。

②ルーチン中、胃角の正面を表した状態で、寝台の角度をいろいろと調節しながら、起頭のみを利用し、胃角の状態を見る⇒もし異常があれば、辺縁ラインがイレギュラー化するかをみる。

③背臥位の第1斜位像、弱頭位の第2斜位像で胃角のアーチを確認する。もちろん基準通りに斜位像を撮影する。

④腹臥位の撮影時、枕を用いるのは大前提で、胃角を正面視して撮影する。そのさい、背臥位時と同様に、胃角のラインを読み取る。そして寝台を逆傾斜するときの透視観察はきちんと行う。

①から④をきちんと行えば、比較的高率に胃角部周辺の異常所見には気づけるとの回答でした。
後壁寄りにあるか前壁寄りなのかを撮影中に認識し、前壁寄りであるならば、腹臥位の第1斜位像の透視観察、および撮影に移行する。
この流れが良いとおっしゃっていました。


体験として、実際の撮影現場ではすでに、胃角部前壁小彎寄りの病変(浅い陥凹性)を捕らえてはいますが、もう一度再確認、そしてもっと良い方法はあるのかを疑問に思ったので質問してみました。


横胃の撮影

2009年03月08日 | 胃(全般)


今日も研究会で学んだことをまとめていこうと思います。
今日は、横胃に対する幽門前部の撮影についてです。
幽門前部は、がんの好発部位です。こと病変に拾い上げについて考えた場合、
二重造影法で勝負するか、圧迫撮影で勝負するかで意見が分かれるところであります。
学会中でも疑問に思ったのですが、病変の存在やその肉眼形態を分析するさいには
二重造影法のほうが、指摘しやすいと思います。
病変拾い上げの観点から考えると、圧迫撮影法は二重造影法の補足的な意味合いを持つと思います。
圧迫撮影の写真を検討するのは、やはり困難を極めるのではないでしょうか。
実際に、症例検討で二重造影と圧迫撮影の両方の写真が提示されていましたが
だれも積極的に圧迫撮影の写真を読影していませんでした。
圧迫撮影は深達度の判定には威力を発揮しますが、こと病変全体の肉眼状態を把握するためには、二重造影法が有用でしょう。
客観性に乏しい撮影法であると考えます。
研究会中の発表では、非常に浅い病変に対しては、圧迫撮影法は有用であるというご指摘もありました。
研究会への参加はためになることばかりで、今後の撮影に役立てていきたいと思います。