昨日、胃の合同検討会が開催されました。
今回は、自分が撮影した写真がいくつか提示され、内視鏡写真や手術結果を知らされました。ひとつの症例に対する胃透視と内視鏡写真、さらには手術標本との対比が、自己の撮影の反省点や改善点が見えてくるのだと先日の検討会で感じました。
やはり自分の撮影を、どのように変えていく必要があるのかを勉強できる良い機会でした。
症例の中には、多発胃がんもありました。多発胃がんとは同じ人の胃に2つ以上がんができることを指します。ひとつの病変の発見に満身せず、つねに複数の病変の存在を考えながら撮影する必要があります。
やはり以前から考えてはいましたが、自分の胃がん発見に対する弱点は、正面像では得られにくい部位と感じます。バリウムの流れを観察しにくい箇所の指摘は厳しい。
最近のバリウムは、バリウムの高濃度化が進み、少ないバリウム量で微細な粘膜の状態を把握することができるようになりました。
一昔では、200~300ml以上とたくさんのバリウムを飲んでいたようです。しかし濃度が高くなかったために、思ったようながん発見率が得られていなかったようです。
2000年度あたりから、高濃度バリウムの製材が公に広まり、そして現在、多くの施設で高濃度バリウム製剤の有用性が認められるようになってきました。
当施設も高濃度バリウム製剤を使用し、多くの早期胃がんを発見できるようになりました。集団検診でのバリウム引用量は125mlと、以前よりも少なくなってきています。
現在の胃透視現状は以前に比べて、検診精度、大きく改善されてきています。
今後さらなる進歩を期待します。
今日は胃がん検診の受診間隔の妥当性について書いてみたいと思います。
現在のところ胃がん検診では、年に一度の定期検診となっています。
実際に撮影をしていて年に一度は妥当と考えます。ただ、年に一回ではあっても、検診間隔をきちんと一年間隔で受けたほうが良いような気がします。
というのも…。例えば07年5月に受診していて、次回は09年1月に受けたとします。この場合、年度的には07年度08年度で、年に一回のがん検診が成立していると言えます。しかし実際の受診間隔は約1年8ヶ月くらいであり、一年をオーバーしています。8か月オーバーです。
胃がんは胃粘膜から筋層に到達したとたん、急激な勢いで成長してしまう印象があります。胃がんの組織的種類の違いはあれど、がん発見の観点からいって、定期的な年一回が必要な気がします。
あと胃がんに関与している多くは、ヘリコバクターピロリ菌です。これは有名な話しだと思いますが、ピロリ菌をもつ人は半年に1回の内視鏡検査が必要なのでは。という声も耳にします。
がん撲滅の戦いはまだまだ続きます。
胃透視には、終始、受診者の傍で、体位変換の指示から撮影まで行える近接撮影と
受診者の傍ではなく、鉛ガラスをはさんだ別室からの指示・撮影を行う遠隔撮影があります。
一般に多くの場合、出張バスの検診では、遠隔撮影が採用されています。
一方、術前に行われる精密検査では、近接撮影が多く取り入れられています。
もちろん、検診胃透視でも近接撮影を行っているところもあります。
ここで少し、遠隔と近接の両利点や欠点に触れたいと思います。
近接は撮影者の被ばくがありあますが、受診者との距離が近いため、受診者からの協力が得られやすいことが言えます。また微妙な調整の指示や体位を決定しやすい利点もあります。
一方、遠隔操作では撮影者と受診者の間には鉛ガラスで敷っています。撮影者の被ばくはありません。しかし、鉛ガラスで遮蔽しているということは、お互いが別室にいるため、受診者との距離を感じたり、うまく誘導できない欠点があります。
今日は、遠隔操作と近接操作について触れました。操作の違いはあれど、早期胃がんを発見するという指名は変わりません。
胃がんの早期発見には、バリウムを胃粘膜に塗りつけて撮影していく胃透視があります。
検診胃透視では、胃全体を限りなく盲点なく撮影しなければなりません。
新・胃X線撮影法のガイドラインには、「前壁撮影時には枕をみぞおちあたりに敷いたりし、胃を押さえ胃形を矯正して撮影すること」とあります。
このガイドラインは、少しずつ全国に普及しているようです。
しかしながら、まだまだ満足のいく写真を撮影できていないところがあると聞きます。
いまだに枕を入れずに前壁撮影を行っているところがあると聞きます。
これでは、前壁撮影を広い範囲で描出することができないことが多いため、見落としに繋がってしまいます。
つねに、自己の写真の質を追い求める、より良い画像への意識を持ちたいものです。
本日のテーマは、「胃透視で異常を指摘された場合の経過観察」についてです。
さて胃透視で経過観察として、異常を指摘される疾患の代表例は、ポリープであると考えます。
ポリープの中には(簡単にいうと)、健康な胃粘膜にできやすい胃底腺ポリープと委縮した胃粘膜に発生しやすい過形成性ポリープがあります。
いずれも病理組織では、グループのⅠやⅡといった結果がでると思います。
ポリープじたいは、良性の病変であるため、それが原因で命を亡くすことはありません。ポリープでも大きくなりすぎると、内視鏡的手術で切り取ったりすることがありますが。
悪性腫瘍のひとつである「がん」は初期の段階では、ポリープに類似していることがあります。がんは成長するにつれ、一般的に悪性度の診断がしやすくなります。経過を観察してみないと、がんかどうかわかりにくいこともあります。
病理組織像で、良性悪性の鑑別が難しいため、経過を観察することがあるし、
明らかにポリープであると臨床診断上わかってはいるが、念のために経過を観察するなど。さまざまな経過観察のパターンがあるかと思います。
今日は簡単に私なりの考えをまとめてみました。
ポリープ=がん ではありませんし、経過観察の意味をご理解くださいませ。
スキルス胃がんは胃粘膜表面が比較的、正常構造を保ったまま、粘膜下層や、筋層などへ広く浸潤していくがんです。粘膜表面は一見、正常のように見え、臨床診断上ではスキルス胃がんの早期発見がいまだに難しいとされています。スキルスの初期像を見ると、胃底腺領域に発生する未分化型のがんだそうです。早期の未分化型の胃がんのほとんどは、浅い陥凹性病変。つまり胃がん取扱い規約で言う0-Ⅱcということになると思います。つまり、0-Ⅱcをたくさん発見すればするほど、それだけスキルスの芽をつぶすことに繋がっていくと思います。胃透視では、わずかなバリウム斑を見逃さないようにすることが大切です。以前、早期発見法について書きました。参考にしていただけたらと思います。 下の症例、ちなみにスキルスではありません、ご了承を。↓ http://blog.goo.ne.jp/sukikupi/e/dfcfaf316b8fb20cce4329d2d0279087
バリウムを用いた検査では、胃全体を一枚の写真で、表現することができるため、胃全体のわずかなバランスを見極めることができます。内視鏡検査は、葉っぱ一枚一枚をくまなく見るのは得意ですが、その葉っぱのもととなる、木全体を見渡すことは苦手です。
とはいっても術者の読影力が優秀であれば、検査法問わず早期のスキルスを指摘することは可能と考えます。
胃全体がやせ細る前の状態で発見する。それが私たち、胃検診従事者の最大の使命と考えます。
そして透視観察能力を決定づける因子には、術者によるソフト面と、機械によるハード面があります。
このたび、機械の更新をすることができました。以前に比べて透視モニターが見えやすくなることが予想されます。
古い機械で撮影していると、画質の劣化や、被曝増大に繋がります。
機械にもきちんと眼を向けることも大切だと思います。
見えるがんも見えなくなってしまう。同じ撮影者でも画質に大きく差が生じます。
機械更新は重要性です。
私は毎回の撮影時に、その日の撮影した所見をExcelに書き込んでいます。
今回、その所見表をもとに、前庭部小彎病変に対しての統計をとってみました。
すると意外にも、前庭部小彎の病変を指摘していないことがわかりました。
小彎側は、がんや潰瘍の好発部位であるため、必然と前庭部の指摘も多いと思っていました。
しかし、実際には違っていました。個人的なデータでは、胃角小彎へのチェックが多かったです。がんや潰瘍、そして潰瘍瘢痕などを多く指摘していました。特に潰瘍瘢痕を背臥位の第2斜位(振り分け像)での追加撮影が多かったです。
勉強会に参加するようになって、統計をとっております。毎日の入力には、時間と労力がかかりますが、統計をとることによって、自分の弱点などを客観的に判断することができる気がします。
統計データ、あなどることなかれです。
今日は胃透視が不向きな人について話します。
以前にも似たような内容を掲載したことがあると思いますが、大切なことですのでご了承ください。
本題に入りますが、胃透視に不向きな人とはどのようなタイプを指すのでしょうか。
私なりに考えてみました。
ひとつは体位変換困難な方が挙げられると思います。
胃透視は、被験者自身に身体を動かしてもらい、胃内のバリウムを胃粘膜に塗りつける検査です。体位変換の具体的な指示は、撮影者がしますが、結局は被験者みずからが動けないと難しい検査となってしまいます。特にこの傾向は高齢者に多く見受けられます。
誤解のないように言っておきますが、決して高齢者を悪く言っているわけではありません。お年の方でも、年齢を気にさせることのない、身体を素早く動かせる元気な人はいらっしゃいます。
知り合いで、体位変換に対しての苦痛を感じている方がいれば、一度、内視鏡検査を勧めてあげてください。
最近では、鼻からいれる経鼻内視鏡が普及してきております。苦痛をあまり感じさせない検査です。
前庭部小彎の発見には腹臥位の第2斜位と、背臥位の第1斜位が指摘体位になるかと思います。
病変発見には、透視観察の併用が威力を発揮します。
透視観察が容易なのは、腹臥位の第2斜位かと思います。
腹臥位の第2斜位は、圧迫枕を入れ、水平位から右腰を持ち上げるさいに、前庭部小彎のバリウム流動観察が可能です。
一方、背臥位の第1斜位は、透視観察が難しいように思います。
また後日の勉強会で、議題にあがるかと思いますが、楽しみです。
みなさんは普段から、前庭部小彎の病変を、どの体位で指摘されていますか???
ここ最近、残念ながらまた1例、進行胃がんが発見されました。
過去歴を調べたところ、1、2年前ではなく、それ以上に検診間隔が空いている方でした。
胃がんは、臨床上、胃の粘膜に顔を出してから2~3年くらいは、粘膜内または粘膜下層に留まっていることが多いようです。
したがって、肉眼的に発見できるこの段階で胃がんを見つけることが重要になってきます。
今後もこのブログを通して、胃がん早期発見の重要性ならびに有効性を説明していこうと思います。
少しでも多くの方のお役に立てればと思いながら、ブログを継続していこうと思います。
一人でも多くの人が胃がんで亡くなるのを阻止したい。
早期胃がんとの戦いに終わりはないのかもしれませんね。
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先日、インターネットを見ていると、ポリープをがんだと思っている方がいらっしゃるみたいですね。
ポリープは良性の腫瘍です。ポリープ自体は命を脅かすものではありません。
ある程度まで成長すると、大きくなりにくくなるようです。(解釈が違っていたらすみません・・・。)
一方、悪性腫瘍のひとつであるがんは、留まることを知らず、大きくなり続けます。
そのため、がんは命を脅かす。放っておくと死に至ります。リンパ節へ転移したり、血管を介して他の臓器にまで、がん細胞が侵入していきます。
ポリープは、がんと違い良性なので、一般には経過観察になります。
検診で行われる胃透視では、ポリープの診断がついても、念のため内視鏡検査が勧められることがあります。
それはなぜかというと、がんのごく初期では、ポリープとの鑑別が困難なことがあるからです。初期の段階では、がん量が少なく、一見ポリープに類似していることもあるためと考えられます。内視鏡検査で生検を行い、がん細胞が見つかることは事実あるようです。大抵は、良性のポリープですが。
今日は、ポリープをがんと勘違いしている記事を目にしたので、ポリープとがんについて簡単に触れました。
ポリープ=がん ではありません。ご安心を・・・・。
先日、胃透視の院内勉強会を行いました。
院内の胃がんを集計していると、発見される胃がんは小さなものが増えてきているのを実感します。勉強会の成果の表れでしょうか。
早期胃がんの5年生存率は、90%を超えております。
今後とも早期発見に努めていくしだいであります。
受診者の方々はこれからも定期的に受診していただきたいと思います。
特にヘリコバクター・ピロリ菌に感染されている方は、胃がんになりやすい(ハイリスクグループ)ことがわかっています。
消化管の学会では、胃がんになりやすい方には、始めから内視鏡検査を持ってきたほうが良い。ともいわれています。
そうなれば集団検診の胃透視、撮影件数じたいを減らすことができ、時間的に余裕のある検診を提供できると思います。
近い将来、胃がんの罹患率が高い人には年に1度の内視鏡検査、そうでない人には2~3年に一回の検診、しかも胃透視で良いのでは??という考え方がスタンダードになるかもしれませんね。