一昨日、相方の Info で急遽映画に出かけることに。
ヴィム・ヴェンダース監督で、日本で作った作品・・・というのでググってみると、役所広司主演でよさげな感じ・・・。
観終わって帰り道、相方が『良かったネ』を連発するので、私の感想もなんとなく『良かった』になってしまった・・・。
それで映画の雰囲気に近づきたくて、普段敬遠していた似非ラーメン屋でラーメンをすすり、ちょっぴり映画で醸していた和風感を味わう。
翌朝になってYoutube案内ページを見ると、先日知り合いになった日本人女性(スイス在住)がこの映画『パーフェクト・デイズ』の評論をしていた。
彼女の話が刺激になって、私も真剣にこの映画について考察することになった。
彼女の感想のように、私もなんだか中途半端な感じがしたのと、問題の最後のシーン(恐らくこのシーンによって役所広司氏はカンヌ主演男優賞を得たか)
・・・がピンと来なかった。 しかし、彼女は2週間後にはその意味がわかったらしく、感動したとのこと。
じっくりこの映画のことを考えてみると、なんだか一時期の私の生活そのものような気がしてきた。
例えば、鍼灸学校の学生だった頃、私は目黒にあるインドネシア学校の住み込み夜間管理人?的仕事をしていた。
金曜日は体育館をモップでの掃除、あとは月曜〜金曜まで夜間小さな管理人小屋に居ることが仕事のような規則のゆるい楽な仕事だった。
ここには、結局5年ほどいたが、トイレも部屋には無く学校のトイレを使用し、近くの銭湯に毎日通っていた。
一応、夜間の勤務中は変な人が学校内に侵入していないか、不穏な事がないか気を配っていたが、そのようなことは一度もなかった。
ここに勤務して2年目、昼間は鍼灸学校、で週末は円覚寺居士林で禅修行・・・というルーティーンの生活が29歳〜32歳ぐらいまで続いたが
今考えると、このころの私の生活は『マイ・パーフェクト・デイズ』ではなかったか・・・と思う。
インタビューで私の前世は『日本人であったであろう・・・』とは映画監督ヴィム・ヴェンダースの弁であるが、
彼がこの映画で描きたかったのは、もちろん『心の郷里』という『サトリ』の世界ではなかったか。
ヴェンダース監督はホームレス役の田中泯に『あなたの役はこの映画の魂の部分なのです』と言ったという・・・。
トイレを掃除する主人公がチラリと公園に眼をやると、このホームレスが無心に踊っている・・・そんなシーンが何回かあったが
私には、それがあの良寛さんに観えて仕方なかったが・・・果たして、ヴェンダース監督はまさにそれを欲していたのだろう。
それであるならば、私にとっては話は早い・・・方程式『色即是空即是色』を使えば、どんな現象も『観自在』に観えてくる。
ただ、『色空』について関心のない人にその話は、わかってもらえない・・・であろう。か?
映画のタイトル『パーフェクト・デイズ』・・・であるが、これは、禅的に言うと『無事是貴人』ではないだろうかと思う。
逆に、『無事是貴人』を的確に訳す言葉がないので『パーフェクト・デイズ』にしたのではないかな?
『行き着けば 無事是貴人の 境地かな そうとも知らず ただ道を行く』 馬骨
写真はインドネシア学校の夜間管理人の私。着物姿のようだが、坐禅を始めた頃であろうか。未だ『無事是貴人』などという言葉は知らなかった。
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